『小慈羅さん 2』 その漆


 『なにか、大切なお話があるのでしょう?』


 博士は、先を急いだ。


 時は命なり。


 『はいれす。まさに、時ら命なりれす。人類が知らない間に、地球の生き物たちは、大きくぜんしんしておりまし。それは、ひとかめの登場によりまし。亀と言っても、地球の亀さんとはちょっと違って、はるか五千年前に、月で生まれた亀さんれす。彼は、先の2度目の地球大洪水の際には、地球を救う働きをしたのれすが、このままでは、いずれ、また、人類はしくじると確信し、ある、秘密結社を作りましたのれす。そうして、協力者である、幽霊人工衛星などと共に、特殊な信号で、人間以外の生き物を統合し、地球の主導権を、人類から奪う計画を立てましたのれす。人類を、滅ぼしはしないが、生き物たちの、下に置くのれす。つまり、生態系の逆転れす。我々は、協力するよに、かめさんから、強く求められていて、我が大統領は、協力を表明しましたれす。しかし、内容的に、これでは、人類が築いた文化を、破壊する可能性が高いと、壱分、我々は見ております。かめさんの言い分にも、一理も二理もあるが、そのままでは、地球は混乱時代に突入するくじらあ。なにか、戦争以外の方策を早くみつけなければ、好戦的でプライド高い人類は、必ずや、戦いに出るくじら。』


 『ふうん。』


 博士は、かぶらだを、じっとりと、眺めました。





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