『小慈羅さん 2』 その四


 博士は、ストレートに、舞鶴基地のかぶらだに会う必要があるとして、出張伺いを提出し、決済前に出発した。


 隊長にごたごた云われたくない。


 もっとも、めったに、言われることはないが、もしかしたら、秘密事項に触れているかもしれない……その通りだったが………ので、敬遠させてもらった。


 公用車を、むりやり用立てて、高速を飛ばした。


 もしかしたら、危険が伴う可能性がかなりあると踏んだが、鉄道はいざというときに、役に立たないかもしれない。


 しかも、独自の機材をもって行きたかったのである。


 そいつは、いささか、重たくなる。


 なので、選択の余地はなかった。


 ヘリコプター何てものは、使わせてはもらえない。


 災害救助は別として、まだ、アルバイトみたいな地位であり、そうした立場にはない。


 舞鶴は、立派な港がある、歴史ある街である。


 ただし、舞鶴が地名になったのは、明治期であるという。


 また、近代化には、土地を奪われたりなど、民衆の犠牲もかなりあったらしいが。


 1901年には、日本海側唯一の、海軍の基地が置かれた。


 第二次大戦の末期には、模擬原爆(パンプキン爆弾)が落とされて、97人が死亡したとされるし、空襲では、他にも多くの犠牲者があった。


 



 彼女に電話をしてきた小慈羅さんという、くじら属と名乗る存在は、いま、その舞鶴にいるという。


 なるほど、彼女以外には、そんな話しに乗る人間もあるまい。


 ハシラーの研究というのは、あくまで裏側のことで、その理由で正式な研究はできない。


 しかし、研究施設側も、そうは言いながら、ハシラーのことが気になっていると見えて、彼女が、古いハシラーの資料を探るのは、スルーしているらしい。


 前の所長さんは、昔のことは、掘り返したくなかったが、現在の所長さんは、正式にではないが、調査をすべきという立場にある。


 ただし、隊長は、違う。


 違うと、思われる。


 

 


 


 

 

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