第20話 「鬼滅の刃」の外国語版タイトルは、デーモンスレイヤー。「鬼を殺す人」っていう意味。それが、スペイン語圏で、ロマンチックな感じに変わります。

 中学校も、中学生女子たちの生活も、夢の中のよう。

 その生活は、ラピュタ。

 えっちな意味でのユートピアにならないように、願います。

 「おかえり」

 中学校は、戻ってきてくれた。元の、大きな大きな姿に戻って、ぽっかり空いた穴に、ちゃんと、はまってくれたのだった。

 「オカダ先生は、元気かな?」

 「会いに、いってこよう」

 「保健室も、元通りになったことだし」

 お気に入りのリボンをなくしてしまったことは、痛かったけれど…。

 「ミナト?とにかく、中学校が、帰ってきてくれたんだ。良いこと、あるよ?」

 カンザキさんが、リボンをなくして落ち込んでいた彼女に、なぐさめの声をかけた。

 「ありがとう、カンザキさん」

 オカダ先生は、不思議なことを言った。

 「そうだ。ハマグリさんは、私の母親に、会いませんでしたか?」

 「…はい?」

 「私の母が、ヘビ柄のリボンをした中学生女子に会ったって、言っていたんですよ」

 「?」

 こりゃあ、不思議だね。

 「ヘビ柄リボンの中学生女子は、珍しいでしょう?」

 …やっぱり、あのおばあちゃんの、正体って!

 「オカダ先生?」

 「はい」

 「鬼滅の刃は、外国語版だとどんなタイトルなんですか?」

 「たしか、デーモンスレイヤー」

 「おお」

 「鬼を殺す人っていう意味、ですね」

 「おお」

 「日本語版は、刀に…。外国語版では、人に焦点が当てられるところに、考え方の違いがありますね」

 「おお」

 「あ、そうだ」

 「何ですか、オカダ先生?」

 「鬼滅の刃は、ドイツやフランスでも、デーモンスレイヤー。それが、スペイン語圏では、ロマンチックなタイトルになるんですよ?」

 「え?」

 「スペイン語の鬼滅の刃は、夜の守護者っていうタイトルなんです」

 へえ。

 さっすが、オカダ先生。

 大人だねえ。男子どもとは、違いますなあ。勉強、してますなあ!

 やっぱり、あのおばあちゃんの子、なんだろうな。





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