第15話 新時代の、スクールカースト。中学教師タカハシは、中間テストの採点用のペンを握ったまま、連行されていく。ドナドナ、ドナ、ドナ~♪

 あの計画が、本格的に、はじまった。

 テニス部顧問のタカハシは、涙目。

 先生いじめ。

 「早く、立ちなさいよ」

 「…ちょっ」

 「あんた、学校の先生でしょ?」

 「生徒の悩みには、ちゃんと、向き合ってよ!」

 「立ちなさいよ、タカハシ!」

 完全に、先生いじめ。

 「ちょ、ちょ…先生は、採点の仕事があるのに…」

 「聞いた、皆?」

 「うん」

 「聞いた」

 「私も!」

 「自分のことを、先生って、言ってる」

 「先生って何か、わかってるのかな?」

 「誰かの手本になる人、でしょ?」

 「オカダ先生とは、ずいぶん、違うな。オカダ先生なら、生徒に、寄り添えるのに」

 「それが、この男には、できない」

 「こいつらが、何の手本になるんだ」

 「まじ、受けるんですけれど!」

 「チホーコームイン」

 「ほら」

 「早く、立ちなさいよう!」

 英語教師タカハシは、英語も、日本語も、もう、何も、言えそうになかった。強い中学生女子たちに取り囲まれて、震えていた。

 「見てよ、こいつ?」

 「あ!」

 「泣いちゃってるし!」

 「こいつ、本当に、学校の教師なの?」

 「これが、チホーコームインか」

 「じいじとばあば大好き世代と、似ているな」

 「今どき男子」

 「だよね」

 「その男子を育てているのが、この、教師たち!」

 「そりゃあ、似るわ!」

 「チホーコームイン」

 「チホーコームイン」

 「それな!」

 「ホント、オカダ先生と、違うよね」

 「同じ、チホーコームインなのにね」

 新時代の、スクールカースト。

 中間テストの採点用のペンを握ったまま、彼女らに、連行されていった。

 「こいつ、まじ、泣いちゃってる…」

 「この泣き顔、撮ってやろう」

 誰かが、スマホで、泣きじゃくるタカハシの顔を、撮影。

 「それ、どうするの?」

 「あたし、ネットで、流す」

「公開処刑」

 かわいそうに。

 どうなる、ことやら?




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