第11話 どこかのおばあちゃんに出会って、ヘビ柄リボンがほどけてなくなってしまっていることに、気が付いて…。本当の気持ちにも、気付きました。

 「私たち、これから、どうしたら良いんだろう?」

 「ミナト、ファイト!」

 「もう、ファイトできそうにないよ」

 「私も、ファイトするから!」

 「わかったよ。カンザキさんになら、付き合う」

 「こういう時代、だものね」

 地域の公民館やらに、通い続けていた。

 そこが、仮学校。

 「…おや。中学生さん」

 「あ、おはようございます!」

 どこかの、おばあちゃんだ。

 「…中学校も、反抗期だったんだねえ」

 中学校の家出(?)事件は、近所でも、話題になっていたようだ。

 「ははは…。とりま…」

 「とりま?」

 「…じゃなかった。とりあえず、まあ、公民館や公共図書館などの一角を借りて、授業をおこなうことができるようになりました」

 「そうかい」

 「ええ」

 「中学校は、好きかい?」

 「はい。同じ学年の男子と先生が、もっと、しっかりしてくれれば、もっと、好きになれるんですけれどね」

 「お嬢ちゃんたちの中学校は、今回が、初めての、家出ですかな?」

 「プッ…」

 おかしくって、吹いてしまった。

 「初めての家出、か…」

 あれ?

 「マジ?」

 彼女のヘビ柄リボンが、ほどけてなくなってしまっていることに、気が付いたのだ。

 しまった!

 お気に入り、だったのに!

 家を出たときには、つけていたはずなんだけれど?

 「ああ。…いつ、帰ってくるのかなあ」

 「帰ってきて、ほしいんだね?」

 「はい!」

 絶対に、帰ってきてほしい。

 絶対に…。

 帰ってきて…。

 「お嬢ちゃんは、学校が好きなんだねえ」

「たぶん。…じゃなくって、絶対!早く、帰ってきてもらいたいものですよ」

そう答えた、瞬間。

 彼女は、心が痛くなってきたのに気付いた。

 「…何、この気持ち?私にとって、本当に早く帰ってきてほしいのは、学校なのかな?もしかしたら、お気に入りのリボンのほうじゃないのかな?」

 




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