第9話 「いつか、やろう。あの、計画!」公民館の横にできた、小さなプレハブ教室が、新しい保健室。 心の、オアシス。あの計画を実行します宣言!  

 中学校のいないさみしい夏休みが、はじまった。

 「僕の中に、住まないでください」

 学校に嫌われてしまった先生たちは、行き場を失っていった。

 悲しい、生き物だよ。学校の先生なんて、学校がなければ、ただの人たちだもの。

 私たちの中学校があった場所は、ずっと、ぽっかりと、穴が空いたまま。

 「カンザキさん?」

 「何、ミナト?」

 「私たちの中学校って、いつ、帰ってきてくれるのかなあ?」

 「…わからないよねえ」

 「どうする?」

 「尋ね人の、広告を出そうか」

 「人じゃあ、ないけれどね」

 町中広告やネットで、呼びかけ。

 これが、男子ゴミの日計画の、真相だったんだろうか?

 「中学校さん?お願いです!帰ってきてください!」

 夏休みが、明けた。

 中学校は、まだ、帰ってこなかった。

 中学校に通えなくなっていた私たちは、公民館などを借りて、臨時の授業を受け続けていた。

 「さみしいねえ」

 「我慢しなよ、ミナト?」

 「カンザキさんは、強いなあ」

 教科書などを頼れなくなっちゃった先生たちは、哀れだった。

 「どうしよう。何も、できなくなっちゃったよう!教育課に言ってみたけれど、何も、してもらえなかったよう!あー…」

 何人かの先生たちは、泣き崩れた。

 「皆さん?こういう大人になっては、なりません。自分の頭で考えて生きてこなかったツケが、出たのです。こういう人と結婚したら、どうなるのか?女の子は、良く、考えましょうね?」

 オカダ先生なら、言っただろうなあ。

 そんなオカダ先生は、公民館の横に、小さなプレハブ教室を作ってもらっていた。そこが、新しい保健室。

 小さいながらも、勇気の出る、心のオアシス。

 「いつか、やろうね?」

 「あの、計画」

 「もちろん!」

 女子生徒らは、無意識に、ゴミの日計画をあたため続けていた。






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