第7話 父親が、血相を変えて、朝散歩から帰宅しました。「お前の通っている中学校が、家出したみたいだぞ?」それって、ま?ま?ま?

 こうでもしなけりゃ、中学生活なんて…。

 男子をゴミの日に出す計画が、現実的になり続けていた。

 …かも。

 保健室に近付くたびに、あの質問を、思い出してきて。

 「先生?私たち、男子が、子どもに見えてなりません。どう扱ってやれば、良いんですか?」

 そして…。

 「燃えるゴミの日に、出してください」

 これ言ったの、何先生だったかな?

 忘れた。

 男同士でも、衝突があるんだろうな。

 スクールカーストっていう言葉ができちゃったのも、わかる気がしただろう。

 「こりゃ、参ったね」

 皆は、不思議な気持ちを分かちあい、顔を合わせながら、笑うしかなかった。

 気付けば、梅雨の時期を越えて、夏休みに入っていた。

 「ねえ、ミナト?」

 「何、カンザキさん?」

 「大変なことになりそうな、予感!」

 「また?」

 「うん」

 「事件ばかり、だねえ」

 「そういう年頃、だから」

 カンザキさんの予想は、当たることが多いから、怖かった。

 「年頃なの?カンザキさん?」

 「年頃です」

 「ホント、かいな」

 そうしたら、カンザキさんの予感が、当たっちゃった。

 「おい、ミナト?」

 「何、お父さん?」

 朝食の準備をしていたら、彼女の父親が、血相を変えて、朝散歩から帰宅したのだ。

 「ミナト?お前の通っている中学校が、家出したみたいだぞ?」

 「ま?」

 「ま、じゃないぞ。中学校だよ!」

 「…」

 「あ…、違うな?」

 「何?」

 「学校がいなくなっちゃったときは、家出って、言わないな。父さん、間違っていたかもしれん」

 ちょうど、そのとき。

 彼女のポケットの中が、ブーブー、バイブレーション。

 カンザキさんから、LINEが入ったのだ。

 「ミナト?私たちの学校がいなくなったって、聞いた?」

 うわ。

 本当に、中学校がいなくなったのか?

 「あ、もしかして」

 心当たりがあった。

 事件ばかり、ですなあ。




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