第2話 学校の先生に、生徒の気持ちは、わからない。…先生なんかに話しても理解できないんだろうってあきらめちゃっているから、悩んでいるのに。

 悩みの中ですが、何か?

 違反?

 彼女のリボンが、違反?

 「…違反なのは、どっち?新卒教師が女子生徒を追いかけ回すほうが、不純で、違反だと思うよ」

 「…そうだね、ミナト?」

 「かわいそう」

 「まじ、かわいそ」

 気遣ってくれる、クラスメイトたち。

 「あいつ、新卒教師でしょ?」

 「気にしないほうが、良いよ?」

 「そうそ」

 「病んでいるんだからさ」

 ありがとうよ、クラスメイトたち。

 新卒教師っていうのは、存在感を出したいと思ってか、つまらないところで、がんばっちゃう。

 「校則を、守りなさい!」

 そう言って、生徒をしばるのが生徒をまとめることなんだって、思っちゃってる。それって、勘違いですから。

 どうして校則があり、その校則を守らなければならないのか、理解していない。先生自身が、わかろうともしていない。

 集会から教室に戻っても、反抗期は、終わらない。

 「ハマグリ、どうした?」

 「はい?」

 「どうしたんだ。ボーッとして」

 「…」

 新卒国語教師の男ツボイに、注意された。

 学校の先生。

 コームインって、いうのか。

 日本、終わりそうな予感ですな。

 「どうした、ハマグリ?悩みがあるなら、先生に、話してみなさい」

 あんぽんたんは、ここにも。

 「…どうせ、お前に話しても理解できないんだろうなあって、あきらめモード。ちそれで、生徒は、余計に、悩んでいるんじゃないか。そういうのが、わからないんだよね。新卒教師は、生徒に近付けないわけだ。…っていうか、近付くな」

 思わず、小さく、つぶやいて。

 「…何だ、ハマグリ?」

 「…」

 「何か、言ったのか?」

 「…言ってません」

 まったく。

 …話しても理解できないんだろうなあって、あきらめちゃっているから、悩んでいるんじゃないか。

 学校の先生には、生徒の気持ちなんか、わからない。

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