第8話バールの素晴らしさをまとめて話してみようと思う。結論、バールは素晴らしい

それから結局奴隷たちのことは金を渡して放置することにした。


奴隷たちとダンジョンに行っても急激にレベルは上がるが全く楽ではなかったし、なんの訓練にもならない。


本来の俺はこんなヤリかたじゃない。


あんな縦横無尽に戦い続けるなんてどこの無双系物語の主人公だと言いたい。


俺はそれこそもう本当にコソコソと卑怯にノーリスクで狩る。


それがいつもの俺だ。


あんなの全然楽しくない。


必死すぎて楽しむ余裕などまるでなかった。


ゲームなら楽しめたろうがあくまでこれは現実で現実とは小説みたいなことが起こることはあっても10人んたちからしたらただひたすらその非日常というのは大変で現実で余裕がなく人ごとではない。


あの激戦を振り返っても経験という意味では何の収穫もなかった。


必死すぎてどうやって瞬間移動を上手く使っていたとか武器を扱った感想とかがまるでない。


俺はバールが素人が使うことのできる原始的な武器の中で(まあ本来の用途としては間違っていることはわかっているが)もっとも使い勝手が良く汎用性が高いと考えていた。


剣やら槍やら弓やら斧やらとにかくこの世界では武器を堂々と持っていられるが日本ではそんなわけにはいかない刃物どころかバールだって持ち歩くのは目立ってしょうがない。


だから俺はそういうのは基本持って歩けなかった。


だいたいは、はさみなんかみたいなあからさまなものじゃない鉛筆やシャープペンシル、他にはビンや缶、ビニール袋なんかぐらいしか持ってあるいて問題がないものはあまりなかった。


だから日本にいた頃は生きた心地がしなかった。


まあそのおかげで楽に金は手に入ったがともかく俺もそんな平和ボケした日本人の一人である武器なんかまともに使えるわけがない。


大抵の普通の武器はまともに使う以前に振り回したりなんだりした時に怪我すること間違いない。


バイオレンスは大好きだが痛いのは大嫌いだ。


その点バールはいいと思う。


鈍器として優秀なのはもちろんバールは建築物の解体に使われるバールという道具は板と板の間に差し込みテコの原理で引っぺがす事に使われる。


いくら槍のように鋭くなくとも生き物の皮膚に差し込むには十分だろうし槍よりも力の入れ方が簡単でそれこそ素人でも容易に扱える。


さらに言えばテコの原理でさらにダメージを増やせるかもしれないし、アイテムボックスに予備を何本でも入れておけるから折れても抜けなくなっても問題ない。


確かに無限に金はあるから働かなくても問題はない。


だから命の危険を冒す必要はない。


だが俺は暴力が好きだ。大好きだ。


その上この世界にはそれしか娯楽がない。


人間は働き過ぎれば死ぬ。


時には病むし、休みたい辞めたいと思うものだ。


だが、何もする事がなくひたすら暇というのもそれはそれで病んでしまうし死にたくなるものだ。


日本というか前の世界にはそれこそ金さえあればいくらでも時間は潰せた。


だがどうやらこの世界の文明レベルを見る限りこの世界ではいくら金があってもあまり楽しめる事はなさそうだ。


それこそ性欲は元からないようなものだし、食欲もあんな色の肉を食いたいとは思えない上料理も自分で作った方がよっぽど上手いものが食えそうな感じだ。


まだこの世界の事は何も知らないがどうやら旅も国に余裕がなさそうで楽しそうではない。


物欲も刺激されるような事はなさそうだし結局趣味の狩りくらいしかする事がない。


だからとりあえずダンジョン巡りをしよう。


もしかしたらこれも観光旅行と言えるのかもしれない。


とりあえず人型を狩り尽くす事にしよう。


なぜならとても暇だから。


街に帰ってしまったら何かしら奴隷にしろ子供にしろコミュニケーションをとらなければならない。


それを考えると憂鬱だ。


さあ、やっぱり狩りをしよう。


問題は先送りにしてアドレナリンでハイになってさいっこうにご機嫌な狩りをしよう。


どうせ俺にできる事などそれくらいしかないのだから。

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