第2話偽善も独善も結局は善を成そうとしているのだからそこに貴賎があってたまるか! 

ぞろぞろと子供達を引き連れて、というより子供達に引き連れられている俺は物凄く目立っていた。


ヤバい性癖の大人と思われていそうで気が気ではない。


見るからに嫌悪感をむき出しにした視線が感じられる。


居心地の悪さを感じながらも胸を張って子供達についていく。


すると子供達の歩みがだんだんと遅くなっていきついには立ち止まってしまった。


「やっぱりいいや!じゃあな兄ちゃん!」


「おい!いきなりどうしたんだよ......。」

いきなり無理矢理に浮かべた笑顔で走り去っていく子供達に呆然としながら何事かと辺りを見回すと子供達が去っていった理由がなんとなくわかった。


あの嫌悪感をむき出しにした視線は俺にではなく去っていく子供達に向けられていた。


おそらく子供達は最初は飯を奢ってくれると聞いて勢い余って俺をここまで引っ張ってきたが周りの視線から冷静になり俺に悪評がつかないように気を使ってああやって無理に笑顔を浮かべて去っていったのだろう。


おそらく子供だけで生きていくには綺麗事でなにも罪を犯さず生きていく何てことはできなかったのだろう。


なにをしてきたのかはわからないがおそらくああゆう目で見られるなにかを行ってギリギリで生きるしかなかったのだろう。


だがそれは子供達が背負うべきものじゃないと俺は思う。


それは大人の責任だ。


すくなくともあんな目で攻め立てる資格はない。


俺は気分が悪くなり舌打ちして近くにあるベンチにどっかりと座り込んだ。


そして大きくため息をついて空を睨みつけた。


誰かと目があったら怒りが溢れ出してしまいそうだった。


何度か海外に遊びに行くこともあってああいう子供達を見る機会はあった。


だがここまで酷いのは、はじめてだった。


元の世界では俺が知らなかっただけかもしれないがそんなことは関係ないし、気分が悪いものは気分が悪い。


そうはいっても現状他の大人と同じで俺には余裕がない。


金はあっても現状この世界の情報がなにもない俺ではなにも手が出せない。


「さて、どうするか。」


ふと自分の口から漏れ出た言葉に苦笑する。


己のことすらままならないのに心は子供をどうすれば救えるのかもう模索し始めている。


そして同時に恐れている。


確かにこの財力があれば子供達を救えるかもしれない。


だが子供達に金だけ渡してお前たちだけで生きろというのはあまりにも無責任だ。


だから手を差し伸べるなら最後まで面倒をみるべきだ。


つまり俺がこのダメ人間の最低最悪の人間失格が子供を育てるというわけだ。


俺は根本的に自分のことが信用できない。


そんな俺が子供達を育てることができるのか子供達の人生に関わってもいいのだろうか。


そんなことが頭の中をぐるぐると巡り巡って結局現状ではそれ以外に選択肢がないという結論にいたった。


どうやったって俺の人生はろくな終わりを迎えはしないだろう。


なんといっても悪魔に魂を売ったのだから。


そんな俺が情にほだされあの子達を庇護下に置いてしまったらどうなるか、答えは簡単であの子達まで不幸に巻き込んでしまう可能性があるということだ。


だから俺が今しようとしていることは完全に愚かな独善であり偽善でしかない。


だから何もしないとそういうわけにもいかない。


どうあれあの子達とはもうすでに出会ってしまった。


ならばどんな残酷な形であの子達と再会することになるか。


俺と出会ってしまった時点であの子達の運命はどうあれ悲惨なものに書き換えられたことだろう。


俺はとんだ疫病神になってしまったようだ。


だから責任をとらなければいけないどこまで抗えるかはわからないがあの子達を守らなければ本当にただ不幸をばら撒くだけの存在になってしまう。


たとえ独善でも偽善でもそれが成そうとしているものが根本に善であるならば足掻いてみるのも悪くはないんじゃなかろうか。


まあそれこそ独善的な考えだと自分でも呆れるわけだが。


まあそれはそうと方針は決まった。


そして問題はまずこの世界のことがなにもわからないこと。


もっと氣になるのはどうやって入国したことになるのかとか関所通ってないってことなんだが


さてどうしよう。

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