第11話 騎士の素質

「赤崎研究員こちら資料の持ち出し完了しました。」

「わかりました、引き続き最大限警戒をして撤収してくだい。」

「了解しました!」

私がこの場所に来てすでに4時間が経過し都内ビル4階の事務所は机と椅子と残しても問題の無い資料しか残っていない。

「もしもし、こちら赤崎です。」

「赤崎研究員どうしたんだい?」

「撤収作業が終了したのでその連絡をさせていただきました。今後の指示を頂いてもよろしいですか?」

「なるほど撤収作業はつつがなく終わったと、なら今夜はそこに泊まり込みで警備をお願いするよ」

「…」

「もしもーし?聞こえたかな?」

「…了解しました」

「では頼んだよ赤崎研究員」

私は面倒だと思いつつパソコンを開きレポートの続きの制作を始めるのであった。

・・・・

2030年7月19日午前2時15分

ガチャリと撤収が完了した事務所の入口から扉が開く音を聞き逃さなかった。

「…はぁ面倒ですね」私はこれからの事が憂鬱になり思わずため息をこぼしていた。

隠しきれていない足音を立てながら3人の匂いが近づいてくるのを背中越しに感じ取る。

「動くな、手を頭の上に置いて立ち上がれ。」

後から、首筋に爪を立てながら声変わり直後の声で脅しを入れる。

「早くしろ!」

声の主は苛つきを隠しきれずにはやし立てる。

「…」私は抵抗せず言われた用にする。

「白羽雪音この名前を知っているか?」

「その少女の事は諦めた方が良い。」

「知っている事を全部話せ!」

その幼い声の主は隠しきれぬ怒りを抱きながら私に質問を問う。

「知っているも何も彼女の研究のレポートをいま作っていた」

私は彼が話を飲み込む前に言葉を綴る

「彼女は王族種と呼ばれる非常に珍しい感染者でね、そのため人工天使の被験体に選ばれた。」

「なぁ!そんな事だけで彼女を!雪音を攫ったって言うのかよ!」

「他に何か質問はあるかしら?このレポートを本社に送信したいのだけど。」

「ふざけやがってこの野郎!!」

「ちょっと落ち着いて綾部君」

「ふっそっちのお嬢さんの方が冷静見たいね」

私は二人の意識が一瞬それた隙に身を縮み綾部と呼ばれた幼い声の主に拳を叩き込む。

碌な防御も出来ずに拳を叩き込まれた少年は体を浮かして後に吹っ飛んでいく。

少年に注意をしていた少女は手を私に向けて伸ばす、その手は、バチバチと小さな稲妻が走りその稲妻は私が一瞬前にいた場所を通過する。

外した事に焦りを覚えて少女は一歩下がる、私は獣の爪を構えて少女の腹目掛けて二歩前に詰める。

だがその瞬間何もないその空間から青白い光が私の前を通過し私の攻撃の手を緩める。

私はその何も無いその空間に匂いを頼りに青白い光を本能で避けて距離を詰める。

獰猛な獣に対し少女は手から稲妻を放つが獰猛な獣はその毛深い体毛が稲妻を受け止める。

獰猛な獣が何も無い空間に噛みつくとすぐに変化が訪れた。

何も無い空間から赤い血飛沫が上がり金髪の男が現れ男は意識を失いその場に倒れる。

少年がそれを見て怪物を殺すその為にその力を発揮する。

少年の体から爆ぜる光が漏れ出し少年の腕が燃え上りその炎から出る光すら燃え爆ぜる。

その光爆ぜる異形の拳を獰猛な獣に叩き込むただただ叩き込む、獰猛な獣はその攻撃を一歩前に詰めながら右へ避ける。

爆ぜる光の少年は燃え爆ぜる光を短剣に変化避けた私に追撃を行う。

獰猛な獣は左手でその短剣を受けながらその獰猛な牙を爆ぜる光の少年に突き立てる。

獰猛な獣はそのまま少年の血液を操作し少年の体を破壊する。

少年は意識を失い燃え爆ぜる光は収束しそこには急激に傷が塞がる少年の遺体が転がっていた

獰猛な獣はその牙に残る血を啜り赤崎研究員としての意識を取り戻す。

「あぁ~クソッ最悪の気分だ…」

私は口の中に残る甘美な味に嫌悪感を覚え悪態をつく。

「君らそいつ連れてもう帰りな」

私は白衣から注射器を取り出し首筋に打ち付けながら少年達に告げる。

「これ以上は私手加減出来そうに無いから帰って貰っていいかな?」

「■■■■■■■■■■■■■■!!」

「■■■!■■■■■!」

薬と異形化の影響でまともに動かない頭を抱えながら、少年達の私が理解出来ない話を聞き流しながら告げる。

「私達の組織は別に君達の組織と敵対したいわけじゃ無いの、だから帰ってくれないかな?」

私は最後通告を告げる。

「■■■■■■」

「■■■■■■■■」

「■■■■■■■」

どうやら少年達は撤退するようだ。

燃え爆ぜる光それを見て少年とその数奇な運命き興味を持ってしまった私は。

「糸切り山の奥にある人類進化研究会研究所で君達の探す少女は居る。」

「」

「明日の23時から少女の天使化の儀式が行われる。」

らしくない。私は今薬でイカれてしまい好奇心だけで発言をしてしまっている私自身にらしくないと思ってしまった。

少年達は何も言わずその場を去っていく。

残されたのはイカた研究員唯一人だった。

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