301 お節介ルーク②
「なんか言ったか」
「ああ、言ったっスよ。シェアハウスの空気悪くされると、大迷惑だって」
「ふん。じゃあ出てってやるよ」
「そういうこと言ってんじゃないっスよ」
脳天にそこそこ痛い衝撃が降ってきた。にらみ上げるとルークは横に移動し、ベンチの背もたれに尻を預ける。
「あんた、ジェーンちゃんとはただのルームメイトでいいって言ったっスよね」
「それがなんだ」
「それにしちゃさっきのは言い過ぎなんじゃないんスか。戸惑うのは当然……。ジェーンちゃんも言ってたっスけど、強がりに決まってる。あんなの痛々しくて見てらんないっスよ」
「俺にどうしろと? 謝れば満足か?」
違う。ルークがきっぱりと否定すると同時に、ベンチがきしむ。向きを変え、背もたれを掴む手が見えてディノは顔を背けた。
「俺が見るに、あんた挙動不審なんスよ。無口で他人に興味ないのかと思えば、ジェーンちゃんを構い倒して。お次はルームメイトでいいとか言い出して、ダグ先輩のお膳立てする。挙げ句にはジェーンちゃんを突き放すって、なにがしたいんスか? めんどくさい構ってちゃん?」
「うるせえな。あんたには関係ないだろ!」
うざったい視線を振り切って立ち上がる。その瞬間、いつになく低く空気を
「気づいたんスよね。自分の本心に。でもそれを受け入れられなくて、空回ってる。違うっスか?」
「なにに、気づいたって?」
「あんたは、からかってるうちにジェーンちゃんにマジになったんスよ。でも人と深く関わってこなかったあんたは、戸惑いのほうが大きくて逃げた。養子縁組も、だから認めるわけにはいかない。あんたはジェーンちゃんを、愛してるから」
当たらずも遠からずといったところか。ロンの企てを除けば、よくここまで察しがつくものだと胸中で拍手を送りながら、ディノは鼻で笑う。
「大した妄想力だな」
「……自分の幸せより、ジェーンちゃんの幸せを取ったんスよね? だからダグ先輩にゆずったんだろ。あんたそんな……、それだけ深く愛してるならなんであんた自身がジェーンちゃんを迎えに行かないんスか!?」
「ダグラスがいるだろ」
「それ本気で言ってないっスよね。あの人はプルメリアへの想いも捨てられてないんスよ」
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