286 ショーの反響①
結局三回放り投げられて、ジェーンはへろへろになった。だけどどさくさに紛れ、ダグラスに抱きとめてもらえたことがうれしかったのは内緒だ。
次は俺の番、と言わんばかりに腕を広げたジャスパーを尻目に、今度はクリスの悲鳴が響き渡る。ジャスパー部長は一年間の打ち上げ会で毎年やってるからダメ、と誰かが言った。
ニコライがしょんぼり下がった肩をなぐさめていた。
「演劇部のみなさん大変です……っ!」
ハロウィンショーの反応は翌日、扉をぶち破る勢いで突入してきた広報部員によって知らされた。
「今朝からショーに関する問い合わせの電話が止まりません! どうしたら観れるのかっていう電話ですよ!? しかも土日の前売券が飛ぶように売れて! すでに九月分は完売しました! こんなことは前代未聞ですよ……! ジャスパー部長! うちの部長が十月の毎週金曜に追加公演を園長に打診するべきだと言っています!」
ジャスパーの手からバサリと落ちた台本、それ以外の物音が一切なくなった静寂が、部員たちに走った衝撃を物語っていた。
驚きはそれだけではなかった。
土産物屋からハロウィングッズが消えた。補充をしてもその日のうちになくなる。販売部員は、いつ入荷するんだとしつこい質問への対応に追われるようになった。
苦肉の策として、どこにでも売っているようなまんじゅうに、ハロウィン仕様の包装紙を巻いただけのものも、売れた。ぶっちゃけバカ売れだった。販売部部長は昼食にデザートをつけるようになった。
ショーの観客数も目に見えてふくれ上がり、比例してなぜかショーのない平日の来園者数も増加した。しかしこれでは平日のお客さんに申し訳ない。と、演劇部員たちは考え、毎日やっているパレードにハロウィン衣装で出演した。
これが爆発を生む。
クリエイション・マジック・ガーデンは連日超満員。土日には入場規制をかけざるを得ない事態とまでなった。路面電車やバスの直行臨時便も出され、騒ぎに気づいた各種報道陣が殺到する。
そんなガーデンの人気ぶりをジェーンが強く実感したのは、帰宅時だった。
「あ。出待ちされてるっスね」
たまたま廊下で出くわしたダグラスとルークとともに帰ろうとした時、正門前広場にいる人々を見てルークがつぶやく。
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