201 反旗をひるがえす革命者たち②
自分になにができるかわからない。最悪、解雇になったとしてももう怖がらない。どうせ記憶といっしょに、一度すべてを失った身だ。二、三歩振り出しに戻ったところで、どうということはない。
けれどその時は、アナベラも道連れだ。彼女の横暴な振る舞い、一部の部署をひいきする迷惑行為、部下の不当評価。全部ぶちまけて、部長の席から引きずり下ろす。
自分を奮い立たせるため、整備士の制服に着替えてから事務所に向かったジェーンだったが、中がなにやら騒がしかった。
「どういうことか、説明頂きたい。アナベラ部長」
「なんでジェーンが解雇なんだ!」
日中にいるはずのないニコライとラルフの声が聞こえて、ジェーンは事務所に飛び込んだ。
「ジェーン! おまっ、体調はいいのかよ!?」
「無茶するなって言ったのに」
まっ先にレイジとクリスから気遣わしげな目を送られる。ふたりのそばにはやっぱり、夜勤のニコライとラルフがいた。
「レイジとクリスから話を聞いた。今度は俺らがお前のために徹夜してやるからな」
そう言ってラルフはウインクしてみせる。
昨夜から今まで帰らずに残ってくれたのか。ジェーンは息を詰め、ラルフとニコライの厚意に熱く震える胸を押さえる。
「どのみち、こんなふざけた解雇理由を聞かされたら黙ってられねえよ」
ニコライはメガネをずらし、タカのように鋭い目で奥の部長席に座るアナベラをにらみつける。
ノーマンはその端っこでうつむいて佇んでいた。
「ふざけた? ずいぶんな言い草だね、ニコライ。全部本当のことじゃないか。その小娘はろくに仕事も覚えず、ふらついてばかりいただろ。半年も経って依頼書をこなすどころか、コピーもまともにできない」
イスにふんぞり返り、にたにた笑うアナベラにレイジがすかさず噛みついた。
「それはお前がまともに仕事を教えなかったからだろ!」
「教えてもすぐ忘れるのさ。障害者だから」
「あなたから創造魔法士としての仕事を教えてもらった覚えはありません!」
堪らずジェーンは叫んだが、とたんアナベラのまっ赤な唇は愉悦に歪んだ。
「ほらね。言った通りだ」
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