第6章 女帝の仕返し
189 解雇通達①
二日間の休日が終わっても、ジェーンの生理痛は治まらなかった。それどころか頭痛に加えて、咳、のどの痛みが増えて体調は悪化の一途を辿っている。
けれども身近な女性――カレンやプルメリア、アナベラが生理痛で仕事を休んでいるところなんて見たことがない。ロンのやさしい言葉に甘えそうになる足を運んで、ジェーンは今日も出勤した。
「ジェエエエン。お前は本日づけで解雇だ」
「はい?」
出勤早々、アナベラに呼びつけられてそう言われた時も、ジェーンは頭痛のせいで聞き間違えたと思った。
「聞こえなかったのか。解雇だよ、カイコ! クビだ。お前はもう来なくていい。ロッカーの荷物まとめて出ていきな」
「お、仰る意味がよくわかりません……」
「ふふふっ。そおかい。それじゃあ、園長に提出したお前の解雇申請書を読んでやるよ」
そう言ってアナベラはもったいつけるように一枚の書類を取り出した。澄ました咳払いをひとつこぼして、アナベラは楽しそうに口ずさむ。
「クリエイション・マジック・ガーデン、整備部ジェーン。上記の者を以下の理由により解雇の申請をいたします。一、遅刻。連絡事項の確認
勝ち誇った笑みを添えて、アナベラは書類から目を起こす。突然、床板に柔軟加工が施されたかのようにジェーンは足元が覚束なくなった。
遅刻、客との会話。身に覚えはあれど、どれも解雇通達されるほど逸脱した自覚はない。
それに三番目の理由だ。経費の不正請求? そんなこと考えたこともなければ、やり方さえ知らない。
「デタラメだ! ジェーンがそんなことするか!」
レイジが部長の机を叩きつけ、身を乗り出す。その横からクリスも食ってかかった。
「撤回してください! 遅刻も会話も問題視されるほどのこととは思えません!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます