24 よろしくねジェーンさん②

「ほら! このへんの壁、寂しいなってずっと思ってたんだ。あとで取っ手創ってもいい?」

「創るのはいいっスけど、俺らレベルだと引き払うってなった時戻すの大変スよ。物質変化は俺そもそもできないし」


 肩をすくめるルークの脇を通って、私はプルメリアの横に立った。彼女がさっき掲げて見せた高さにプラスチックの取っ手を創り、布リースにもリボンの輪をつける。


「私がやりますからだいじょうぶですよ」


 にっこり微笑みかけると、プルメリアとルークはなぜかハッとして顔を見合わせた。


「お前らジェーンがいれば簡単に模様替えできるって思っただろ今!」


 すかさずダグラスの指摘が飛ぶ。


「お、思ってないよ! カーテンの色ピンクにしたいなんて!」

「俺もベッドのハゲてるとこ直したいとか思ってないっスからね!」

「正直か! あとルーク、ベッドのハゲはお前が全力で直せ」


 過労死しろと!? と頭を抱えたルークに呆れの視線を送ったカレンが、私の背中を押して次の部屋へとうながす。

 その時「飽きそうにないでしょ」と耳打ちされ、私はカレンとくすくす笑い合った。


「階段の左脇にあるのが洗濯室ね。中で隣のサンルームと繋がってるわ。サンルームはさっきリビングで見たかしら? そう。じゃあ二階に行きましょ」


 カレンは洗濯室の案内を簡単に済ませ、玄関ホールの奥、中央に堂々と構える階段を上っていく。踊り場から左右に分かれる階段を右へ進んだ時、私は思わず足を止めた。

 入ってきた時は緊張して気づかなかったが、玄関ホールは二階まで吹き抜けになっている。高い天井には植物を模した照明が四つ吊り下がっていて、つたの支柱からほんのり桃色に染まるつぼみ型のガラスカバーが咲き、中で電球のやさしい光が灯っていた。


「まっすぐ行った突き当たりがお手洗いね。その横にあるドアが脱衣所とお風呂だよ」


 二階へ上がり廊下の曲がり角に立ち、プルメリアが正面の奥を指して言う。そして角を右に入ったところで、すぐ現れる扉に飛びついた。


「ここが私の部屋。カレンは奥の角部屋を使ってて、その向かいの部屋しか空いてないんだけどいい?」

「はい。どこでも構いませんよ」

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