花朝
2月14日、今日は普段より少し暑くて、テレビでは「チョコが溶けないようにお気をつけてください。」などと若干皮肉かと思ってしまった。
そんななか、来客を知らせるチャイムが鳴って、花朝がやってきた。
何用かと出てみると、二つのカップケーキの入った子袋を突き出された。
「これ、受け取ってくれない?」
くれるというなら貰うが・・・。と若干よくわからないけれど、おいしそうなカップケーキを頂けた。
時間は昼過ぎ、菓子時にはちょうどいい。せっかくだからと、お茶に誘うと、
「いいの?」
と聞いてくるので、もちろんと答え居間に誘う。
置いてあった紅茶のパックを取り出すと、それを手で制してきて、さっき渡された袋からパックを取り出す。
「これと合うもの選んできたから・・・。」
それはきっと、何かのハーブティーなのだろう。
ありがとうと伝えると、そのままカップの中に入れてくれた。
再度ありがとうと言うのも、なんだか違和感だなと思いながら、コトコト音を立てるやかんを手に取る。
湯を入れようとすると、パックの紐をしっかりと持ってくれているので、助かるよ。と伝えて、気を付けて熱湯を入れる。
すぐに透き通った赤茶の液体になり、目には見えない速度で濃くなっていく。
花朝が慣れた手つきで二つのカップをソーサーに乗せて持っていく。
手が空いてしまって、そのまま戻るのもなんだか申し訳なかったので、ミルクと砂糖をもっていくこととした。
机を見ると、二つのカップケーキを出していた。
二つ食べてね。ではなく、一緒に食べようね。だったか、これは参った。細かいところがものすごく可愛い。
「君ってそういうの使った?」
今まで使ったことが無かったからの疑問だろう。もちろん使うつもりはないので首を振る。
「じゃぁ・・・。あ、最初に私があげたセットだ。」
仲良くなって、初めてのプレゼントがこれだったことを懐かしく思った。
「えへへ、君も人が悪いな。さすがに照れるよ。」
はにかむ彼女の顔は、何度でも惚れそうだった。
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