花晨
今日は1月7日、日曜日。
私は彼女、花晨と服装をお互いチェックする名目とともに、初詣に行くことにしていた。
「さてさて、戸を開いた先には、可愛い可愛い花晨さんがいるのですが、覚悟はできましたか?」
着替え終わったかを確認してきたのだが、とても遠回しである。
もちろんだと答えると。
「じゃじゃーん!」
もう普段着でも楽しめるのではないかとさえ思えてくる。
それはそれとして、花柄の着物に白いフワフワの防寒着は、雪をかぶった梅の花のようである。
「どう?どう?」
感想を待ちきれない。と言わんばかりに聞いてくるので、よく似合っててかわいいよ。と答えておく。実際そう思った。
「えへへ~。わかっててもうれしいねぇ、アトチョットテレル・・・。」
そう、花晨は褒めさせようとするくせに、褒められると照れるのである。
まぁそこが可愛いところではあるのだけれど。
「ん?あぁ、君も似合ってるね。」
はにかみながら不意にそんなことを言うものだから、クリティカルヒットと言わざるを得ない。
しばらく歩いて、二人で近くの神社に向かった。
「いつもは大きなところに行くけど、こういうところにだって、神様は居るんだよね。」
花晨が確認するようにそういう。
調子が合うように、付喪神。とつぶやくと
「そっか、全部に宿ってるんだっけ、この服、私のこと嫌がってないかな?」
幼馴染でなければ、らしくない。なんて思っていたのかもしれないけれど、花晨は昔からこういう人だった。
周りには花のような笑顔で接するのに、中身は脆くて繊細。私の前でだけ弱音を吐いているのは、許してもらえるからだろうか。
花晨の言葉に反応したように、私も自分の服を見ると、
「大丈夫だよ!君は似合ってるもん!嫌がられるわけないよ!」
と、強く励ましてくれた。
だから、それなら、花晨の服だってそうだよ。と返すと、
花晨は顔を真っ赤にしてうつ向いてしまった。
「そ、それより、初詣なんだから詣でなきゃ(?)」
なんて、ちょっと変になりながらも、賽銭箱の前で神様への挨拶をする。ついでに境内でいちゃついたことを謝罪しておこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます