白露
彼女は月を眺めていた。
月のように白く丸い団子をほおばりながら、頬を大福のように膨らませて。
「おいひぃ~。」
幼馴染の彼女とは、毎年月を見上げている。
月のきれいなの日は、いつも決まって彼女と月を見る。
「ほら、君も食べなよ。」
そう言って、私の口に団子を無理やり詰め込む。
「ふふっ、もごもご言って可愛い。」
「梨もあるよ、団子と梨を一緒に食べたら、どんな味になるのかな?やってみてよ!」
と言いながら、私の口に一口サイズに切った梨を詰め込む。そろそろきついっす。
「どぉ?おいしい?て、まだ口の中いっぱいでしゃべれないか~。」
若干腹が立ったので、同じように団子と梨を白露の口に詰め込む。
「むぐー⁉むぐぐー!」
何言ってるかわからないけれど、抵抗むなしく、口の中には団子と梨が収納された。
「乙女の口にいきなり突っ込むなんて人のすることじゃないよ!」
その言葉のチョイスは果たしてわざとなのか、それとも天然なのか。
「でも思ったよりおいしかったね、梨団子。」
切り替えが早い。すでに梨と団子を一つとしてまとめてるよ。
「はっ!梨団子として売ったら売れるのでは⁉」
既にどっかで売ってそう。なんて言うと、
「そりゃそっかぁ、おいしいもんなぁ。」
と、若干しょんぼりするけれど、なぜか足元を見てにやけている。
どうしたのだろう。と疑問に思いながら見ていると、視線に気づいて、
「ん?今年も二人だなぁって思って。」
毎年のことだから、今更なんだというのだろうか。
「去年は雨降ってて見えなかったけどさ、今年はきれいな月が見えたじゃん。だから、」
少し間を置くように、白露は庭を歩く。
月光に照らされてから、彼女はこちらを向き、口を開いた
「来年も、月がきれいだといいね。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます