第6話 嘘がいけない理由

 嘘をついてはいけないと思う人は物凄く多いと思いますが、何故いけないかという事を考えている人は少ないと思います。その理由は、恐らく嘘をついて叱られた時にその理由を説明されていないからかもしれません。


 そんなことを自分で考えろ!という事ではあるのですが、日本での学校教育はそれを推奨していません。大抵は、教科書に書いてある通りに、或いは教師の言う通りに、そして、学習指導要領の指示通りにというマニュアル教育だからです。


 当然、それに従う者ばかりではないのですが、従う者を反抗する者も、その意味をキチンと理解しているわけではないのは同じではないかと思います。


 嘘をついてはいけない理由はいくつかあります。そういう理由の中でもトップに来るのは、数少ない教えられている理由でもあり、嘘がもたらす結果から知る理由でもある「他人に迷惑を掛ける」とか「他人からの信用を無くす」と言った、他人本位の理由があると思います。


 しかし、そういうことは実際はどうでも良いのです。最大の理由は、自分を殺すからなのです。それはどういうことかと言えば、この世界から本当の自分を消してしまうという事です。


 嘘をつく理由で最も多いのは「自分を守る」ためだと思います。他人から自分を守るためにつく嘘が最も多いのかもしれません。しかし、その嘘が自分をこの世界から抹殺していることに誰も気づかないのです。


 嘘をついた瞬間に起こる事は、本当の自分を隠し偽物の自分が誕生する。それは、他人から見て理想的な自分でもあり、他人からどう思われるかを気にするところからつく嘘になると思います。


 それによってとりあえず自分が批判されることから逃れられ、自分を守れた気になるのですが、他人は別の自分を認識してしまうのです。それは騙しと言える行為となるのですが、自分にとっては自分を消す行為でもある。


 それが仮に一度なら、その部分だけを誤解させておくだけで済むのですが、これを日常的にやり続けると、ついた嘘で作られた自分によって本当の自分が消えてしまい、自分自身でも自分という存在が認識できなくなるという恐ろしい事態を招くのです。


 それはある意味、自分が死んでいるのと同じこと。


 そうなると生きていても詰まらなくなる。何も楽しめなくなる。その結果、そういう人は何かに依存していくのです。依存と言えば、薬物依存が有名ですが、それ以外にも代表的なのが仕事への依存となるでしょう。


 趣味などへの依存もあると思います。何かに没頭することで消えてしっまった自分を忘れたい行動ではないかと思われます。


 次に、大きな嘘をついてはいけない理由が、他人を惑わすことです。嘘から出たマコトという言葉の通り、嘘というものが現実を作るから、それに人が惑わされ、結果として自分の人生を歩けなくなるからです。


 例えば、駅はどこですか?と誰かに聞いたときに、本当は通りを右に曲がったところに駅があるのに、左と答えると、聞いた人は左へと進むという時間を刻む。当然、そのまま左に行ってしまったら永遠に駅はありません。


 それは死ぬまで家には辿り着けないということです。もちろん、駅であればそんなことはありません。しかし、駅ではなく「幸せ」と変えたらどうでしょう?


 人はどうすれば幸せになれるかを知らない中で幸せを探して生きるのです。


 人は賢いですから、幸せに見える人にそれを聞くのです。もしくは、お節介な大人がそれを教えることも多いでしょう。その時に左と教えられたら、人は永遠に幸せになれないのです。


 もちろん、それは厳密に言えば嘘ではないかもしれない。教えた人はそれが正解だと思ってそう教えたのかもしれません。しかし、たどり着けないという結果から見れば、それが嘘だったと見るべきではないかと思います。


 宗教は、神の思し召しで生きれば幸せになれると説くのでしょうか?

 学校では、勉強して良い仕事に就けば幸せになれると説くのでしょうか?


 そして、そうした教えで生きてきた人が幸せになったのか?そもそも幸せとは何なのかを知らない中で、それを掴むことが出来るのか?という疑問が出るわけです。


 我々は、宗教や学校で教わることで人生を生きている。それはある意味、そういうモノに操られているとともいえるわけです。そして、この資本主義というお金が全ての世界の中で、その思想を守るために本当の自分を殺し、嘘によって誘導されて人生を誰かに奪われる。


 誰がそんな極悪非道なことをやるのか?何のためにそれをやるのか?


 きっと、そういう首謀者も策略もないと思います。有るのは、個々人が自分を守るために、自分を良く見せるためにつく嘘ではないかと。そういうたくさんの嘘が時間と共に大きな流れを引き起こし、我々を思い描く世界とは全く異なる世界へと誘うのです。


 そして、多くの人が「こんなはずじゃなかった」という最悪の言葉を囁く。


 もちろん、資本主義もお金という嘘から始まったと言えるのです。そして、その嘘に依って人類そのものが亡き者にされようとしている。しかし、資本主義が作り出した余りにも豪華な世界がそれを隠しているのです。


 嘘は何時かはバレるし壊れるのです。逆に言えば、壊れていくモノは全て嘘だったという事です。だけども、それは確かに我々の目に見える形で存在しているので、それに気づくことは難しい。


 そして、資本主義という嘘が今壊れ始めているのです。ある意味ボロボロと言っても良いでしょう。人間を幸せにすることがないばかりか、人が人を殺せる鬼に変えているのです。


 見た目に騙されるのはソロソロ卒業するべきではないでしょうか?


 その為には、これ以上嘘をつかないことだと思います。何故なら、最終的に嘘が全てを消し去るからです。


 ついでに、次は嘘が消えるとどうなるのか?ということについて書こうと思います。それは、ある意味、脱資本主義構想が目指す世界となるからです。


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