第5話 困難な問題ほど、そもそも論が重要になる
殆どの人が気にしていないことですが、日本に於ける人口減少は想像以上に恐ろしいモノで、もしかしたら日本人の寿命は後100年程度かもしれないという試算を導いてしまいました。
こういう大きな困難ほど大事なのは原点に立ち返って見直すという事だと思うのです。何故なら、大きな困難ほど一朝一夕には起こらないから。それは、むしろ始まりはホンの些細なことであり、問題とは認識されないことの方が多く、だからこそ、大きく成長するまで誰も気づかないということになるのです。
従って、大きくなればなるほど、その始まりにあるそもそも論がカギを握る可能性が高いと思うのです。何事もそうですが、築くのは物凄く大変だけど、壊れるのは一瞬であり、築く時間と同じようには壊れないという事です。
現在の我々の世界を築いたモノは何なのか?と聞かれて、多くの人は資本主義とかお金という見方をするのではないかと思います。確かに、全てはお金によって作られているので、お金やそれを使った資本主義が直接的な理由となる。
しかし、お金と思想だけでそれがかなうのかと言えば、そうではないと思います。何故なら、そういうモノがポッと出現することはないからです。従って、そういうものが出現する源流を見つけなければいけない。
前にも書きましたが、資本主義というのは別名「お金教」という宗教です。お金に絶対的な権力を持たせ、全ての人にお金に服従して貰わないと機能しない。お金なんか要らないという人が増えれば一気に消えるのです。
そういう信仰を持たせるには、理論が必要であると思います。もちろん、その効果も必要であることは言うまでもありません。知論を作るのは言葉です。つまり、言葉の発明によって全ては始まったという事です。
そして、言葉が発明されて最初に登場するのが宗教です。神の話を書くことで、人々に神の存在を信じさせる。その神に絶対的な権力を持たせ、その権力には逆らえないことを分からせなければいけない。
これらを分からせるのが言葉であり、言葉が全てを作ったと言えるでしょう。その言葉の特徴として、嘘がつけるという事があります。言葉が何で発明されたのかと考えるに、真実を伝えたいというより、嘘をついて相手を騙すために作られた考えられるのです。
何故嘘をつく必要があったかと言えば、それは弱い者が生きていくためにではないかと思うのです。自分の力で生きていけない者は誰かの力を借りなければならない。しかし、誰もが自分の為に必死に生きている時代に余力は乏しいわけで、普通にお願いしてもかなわないでしょう。
だから、嘘をついて相手の助けを得るのです。そして、その先に登場するのが神という嘘の存在であり、その神の力を借りて他人を自分の助けになるように欺いたということではないかと思います。
従って、言葉がない時代には嘘は存在しなかったと思います。
嘘から出た誠という言葉があるように、人間は嘘を誠に変える力を持っている。そうやって様々な技術を現実のモノへと変えていき、その結果できたのが今日の文明ではないかと思います。
そして、言葉は最高の武器となり、嘘で作った国家や企業が、嘘を発信し続け、その嘘の分だけお金が増えていったのではないかと思います。嘘を信じさせる言葉を使って、人を集わせ操り文明は肥大化していった。
だけど、嘘に群がる人間たちは、互いに騙し合い争い合うことでエネルギーを生じ世界を動かして来たのです。そして、資本主義を支える最大の嘘が「豊かになれば幸せになれる」という教えではないかと思います。
そして、幸せになりたい人たちがこぞって豊かさを目指していき、過酷な競争社会を築いてしまったのです。そこから人類滅亡までは既に書いたので割愛します。
つまり、我々の世界は言葉で出来ているという事なのです。従って、この酷い世の中を変える方法は、そういう世界にした言葉を探して破棄することではないかと考えるのです。
言葉の乱れは社会の乱れ
という事が言われるわけですが、まさにその通りであり、言葉で作られた社会の盲点ではないかと思うのです。資本主義をお金教と言い換えるのもその一つであり、言葉を変えると随分と印象も異なるでしょう。
大抵の人は自分の努力で何かが変えられると思うのでしょうが、そんなもので何かが変わることはない。そんなことよりも、その努力の前提となる言葉の検証をしなければ、努力が無駄になるどころか逆効果を引き起こすことだってあるのです。
例えば、「豊かになれば幸せになる」が、間違いであるかを説明すると、本当は「豊かさ」で得られるのは満足であり幸せとは違うのです。豊かさを認識するのは頭脳であり、頭脳の価値評価は満足となるからです。
そして、幸せとは心が感じる感情であり、心にとって豊かさは何の価値もないし、そもそも認識することは出来ないでしょう。目に見える世界を見るのは脳であり、目に見えない世界を見るのが心だから。
何事にも役目というか意味があるのです。そうしないと存在できないから。恐らく、数多の生き物の中で心があるのは人間だけで、何故あるのか?何故出来たかについても理由や意味はあるのです。
全ては必要に依って存在する。
こうしたキチンとした言葉を用いないと、この大きな世界の現象を正確に把握することは出来ないと思います。少しでも言葉に嘘や間違いが入れば、物事への見方は間違えるので、それに対応する方法も間違えてしまう。
これを繰り返すことで、二進も三進もいかない状態を招き、最後はお手上げとるのです。そして、今や我々は、山積する無数の問題にお手上げ状態ではないのでしょうか?
それは、一つ一つの言葉を蔑ろにしてきた報いではないかと思います。そして、こういう輝かしい文明を築くために、山の様に嘘をついて人々を騙して働かせたのです。
だから、輝かしい文明を築いた割には、それを享受し楽しむことさえ出来ない。むしろ、文明を維持するために苦しい思いをさせられているのではないでしょうか?
そうした反省を踏まえれば、今後は嘘はつかないことが最重要であり、脱資本主義というのは嘘のない世界を作るという事になると思います。我々は、自分たちがついた多くの嘘によって苦しんでいるという事です。
ついでに次回は、何故嘘がいけないかということについてお話ししようと思います。
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