第22話 祝福

 育子いくこは夫である相馬光秀そうまみつひでと無事、離婚することが出来た。


 季節は冬になった。育子と拓斗たくとが出会ってから一年が経過しようとしていた。

 少し早いかと思ったが、拓斗たくとが毎日のように育子いくこにせがむので、二人は役所に『婚姻届』を提出し、育子の苗字は『毛利』となった。

 「やっと『毛利育子もうりいくこ』の誕生だ!」

 「これからは『毛利育子』か。すぐに書き慣れるかな?」

 「これからはずーっと、『毛利育子』なんだからね、いくちゃんは!」

 「お腹の子供も、ずっと一緒ね。毛利・・・なにちゃんになるのかな?」

 「そうだ、名前決めておこうよ!男の子と女の子の。」


◇◇◇


  春になり、雪解けも終わった三寒四温の頃、育子は無事に男児を出産した。

 出産を終え、疲れ切っている育子の元に、新しい男の子の命がやってきた。

 「いくちゃん、おつかれさま。男の子だったよ。」

 優しい笑顔で拓斗が育子に語り掛けた。

 疲れ切った育子は、声を出すことは出来なかったが、笑顔になった。

 「『育斗やすと』、はじめまして。こんにちは。」

 優しい笑顔で拓斗が育斗に語り掛けた。

 これから、毛利家の新しい歴史が始まる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

はじまりは遊戯だった 冨平新 @hudairashin

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ