第19話 屋台のハシゴ
「韓国旅行、何泊のツアーにしようか?」
「俺、
「じゃあ、行きたい観光スポットを決めて、その辺りのホテルに泊まれるフリープランにしようか。」
「そうすれば、ずっと二人きりでいられるね。」
二人はネットで韓国旅行の観光スポットを見てみた。
「やっぱり『
「トッポギ、食べた~い!」
「私も!」
「『
「だったら、『ソウル駅』近くのホテルにしましょう!」
「それじゃ、航空券とホテルの予約ができる全日フリーのプランがいいね!」
二人はネットで旅行代理店のホームページを見て、韓国旅行のプランを検索した。
「三日間だと、値段は三万円からかな。上は・・・ホテルによってきりがないみたいだ。あ、俺は国内旅行は一泊二日の割には高かったんじゃないかと思っているんだ。多分、旅館代が高かったんだよ。懐石料理が凄い豪華だったし、部屋もかなり広かったからね。俺、今回は格安ホテルでいいよ。」
拓斗は育子の財布に配慮した。実際、ホテルの豪華さには全くこだわりが無かった。前回の旅行が拓斗にとっては一生思い出に残るような豪華な旅行であったし、旅行はこれからも二人で楽しみたい、と思ったからである。
自分を思いやってくれる拓斗を深堀して、
拓斗は、育子の表情の変化に気づいた。
「いくちゃん。俺は独身だから気楽だけど、いくちゃんには旦那さんがいるから、海外に俺と二人で旅行をすることは、いろいろと隠さなきゃならなかったりとか、神経を使うんだろうね。」
「え?あ、そんなことないわよ。旦那はもう何年も家には帰ってきていないもの。女性の家で同居しているのよ。だから、気にしなくて大丈夫だからね。」
拓斗は育子の手を握った。
「いくちゃん、これから・・・もう一回、してもいい?」
さっきしたばっかりだというのに、信じられないことを言うんだな、と思い、どうしてよいかわからなくなった育子は、部屋の中でキョロキョロした。デジタル時計が目に入ると、時刻は午前四時を過ぎていた。
「も、もう四時になっちゃった。徹夜しちゃったね。」
「いくちゃん。もう一回。・・・いやなの?」
拓斗がカッコいい顔をして、迫ってきた。
育子は、気絶しそうであった。なんとか理性を保とうと努力したが、どうにも力が入らないのだった。
◇◇◇
その日の昼過ぎまで、二人は拓斗のベッドの上で眠った。
育子が目を覚ますと昼の一時近くになっていた。
拓斗はまだ眠っていた。
育子はとりあえずトイレに行った。
拓斗と一緒に居る時間が楽しすぎる。
辛いこともみな忘れられるし、女性として男性から愛されることを思い出させてくれる。
もう、戻れないかもしれない、と思ったが、カッコいいホストが自分のような美人でもない中年おばさんに本気になるはずがない、と思うと、覚悟を決めることは出来なかった。
育子は便意を催してきた。
「昨夜ホストクラブで食べた、野菜スティックが効いてきたのね。拓斗が寝ている間に出しちゃおう。」
便秘気味だった育子は、なかなか出すことが出来ず、退屈した。
右側を見ると、カレンダーがあった。
カレンダーの下部に日付があるが、上部の写真が美しかった。
しかし、写真の一部が、手でちぎられたように切り取られていた。
「え?なんでここだけ・・・。」
カレンダーを一ページ戻して、五月のカレンダーを見てみた。
第二日曜日の日付の部分が、手でちぎられたのか、くり抜かれていた。
「第二日曜日・・・母の日だわ・・・。」
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