第7話 俺の好きなもの
その金曜の夜も、
拓斗のベッドの上で、衣服を着たまま二人で横たわっていた。拓斗が育子に腕枕をして、笑顔で育子の額にキスしたりしていた。育子は、至福の時間を過ごしていた。
「ねえ、拓斗。こうしていると、なんだか恋人同士みたいね。」
「え?俺たち、恋人同士だったんじゃなかったっけ?」
「そういうことにしちゃってもいいの?」
「俺は最初っからそういうつもりだよ。」
拓斗は育子を優しくハグした。
育子は、拓斗の胸に抱かれて、拓斗の匂いを
拓斗のためなら、本当に、何でもできる。
育子は、拓斗に
「今朝は何を食べようか?」
ベッドの上に、二人で並んで座っていた。
「拓斗が好きなものでいいわよ。また『リジョイ』に材料買いに行く?」
「そういうことなら・・・。」
拓斗はタイミングだ、と思った。
育子が、時々拓斗の部屋に泊まる日々も三か月が過ぎた。
拓斗は、あらためて育子の肩に手を回し、育子の目をカッコいい
「これから、いい?」
「いい、って、何を?」
拓斗は育子を強くハグすると、ゆっくりとベッドに押し倒した。
「え?ちょっと・・・私はもう、おばさんなんだし・・・。」
「俺はそんな風には思っていない。こんなに付き合っているのに、一度もしてないなんておかしいよ。そろそろ、いいよね・・・。」
もちろん、二十八歳の拓斗が、三か月も付き合った後で、そろそろ性交をしたい、などと育子の身体を欲してのことではないだろう。心の中では完全に裏切りながらも、金を引っ張るために、演技をしているだけなのだろう。
「俺が好きなものを、食べていいって言ったろ?」
拓斗はそう言うと、やや興奮したように装いながら、育子に性交を求め、ベッドの近くに用意しておいた避妊具を取って装着した。
育子は、愛されているかもしれない、と感じて目が逝き始めた。
◇◇◇
育子は拓斗と初めての性交をした。時刻は昼近くになっていた。
「あ、もうお昼ね。お腹すいてきたわ~。」
育子の腹が鳴った。
「あ、ごめんごめん。俺は食べたかったものをやっと食べれたんだけど、お姉さん、お腹すいたまんまだよね。出前でも頼んじゃおうか?」
「『リジョイ』なら、私一人で買い物に行ってもいいわよ。」
「『リジョイ』で買い物したいんだね。わかったよ。一緒に買いに行こう。」
二人はアイスクリームやプリンなどの、甘く口当たりの良いデザートと、野菜サラダの材料を買った。
育子が作ったサラダボウルをつまみながら朝のホットコーヒーを飲み、デザートにプリンを食べた。
「そろそろ帰ろうかしら?」
「まだいいじゃないか、アイスだってまだ食べてないじゃん。」
拓斗が育子をバックハグしながら、甘えた声で言った。
「拓斗が食べればいいじゃないの。冷凍庫に入れておけば。」
育子は、初めての性交の後で
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