9-5 蘇る終末

ひとしきり吐いた後、コクピットハッチの上でぐったりしてたが…。


「いってぇ」


流石に身体中が痛いです。

あー…後処理やらな…トーリスの動きからしてメンテチェックだけで済みそうだけど、ハデス発動してたから関節とかボロボロかもしれんし………引っこ抜いた基板を新しいのに交換して…………抜いたヤツからウイルスも調べないと………………いけな…………………


「(;°ロ°)ハッ!」


思わず顔文字出たが、気がつくとめっちゃ知らん天井が目に入った。

何時の間に気を失ったんだか……どんぐらい時間経ったんだ?


「ん〜……ももかももんか?……んっ!?」


あたい今なんつった!?

じっくりと首を……動かねえな。

腕も……動かねえ……足も……無理。

これってもしかして、もしかしなくても。


ふもーもももーも!!ミイラじゃねーか!!


えー…なんでぇ?

そりゃトーリスの中でピンボールの玉になったけどよー…受け身は取ってた……はず?

うん、取れてなかったわ。

でも、ミイラほどここまでじゃねーだろ。ナノマシンがあるからほっといても3日ありゃ動けるようになるはずだし……。

こー動けねえなら寝るしかねーなー。



次の日



うーん、暇だ。

ガッツリギブスで固められてちゃあ……ん?

前腕の筋肉は動く?

あ、そりゃそっか。

昨日は体力的に無理だったみたいだが、寝たしナノマシンが頑張ってくれてるから、固定されてても筋肉は動かせる。

それに精神力も寝たからスッキリ。

なら、前から「できるかも?」って考えてた土石術式試してみる?





第5工場「解体場」


「オーラーイ、オーラーイ、ストーップ」


「助かりますわケ…ケイトのお姉さん」


「おう、メイミお嬢、おはようさん。ま、妹がミイラだからな。しゃーねーやな」


「でも、聞いてはいましたが驚きましたわ。本当に双子だったなんて」


「正確には三つ子な。で?グランドロア、鹵獲したコレ、どうする気だ?」


『はいな。機体制御用基板を抜いただけで何処も壊れてませんので、新しい基板があればケイトさん用にしようかなと』


「わかった。つーか、そこらの量産機用の基板じゃダメだろ」


『そこは時代やら世界やらが違う機体のを使おうかと。前に見つけた兵器開発研究所にもありそうですし。あ!あとあと、研究所から南西と北に旧軍事施設があるらしいです!』


「研究所から北……海沿いの軍港ですわね。あそこは私達ゴーンファミリーが既に調査済みですわ。もう碌な資材も残ってませんわ」


「となると、南西の方か。メイミお嬢、今動かせる人員は?」


「復旧作業と警備で無理ですわ」


「じゃあ、あたい等鉄錆団が行きゃいーんじゃね?」


「そうだな俺等ならっておい!?」


「ケイトさん!?」


『ケイトさん!』


「何日振りかは知らんけど、チーッス」


おー、なんか驚いとる。

あたいはいつもと違うからみんなを見下ろしてるから、新鮮な驚きがあるんだが。


「あー……妹よ、何時の間にそんなでかくなったんだ?」


「ついさっき」


「てか何じゃいそのパワードスーツは!てか動けんのとちゃうんか!?お!?」


「メイミ、口調」


「………ですわ」


まー驚くよねー。

ちょっと説明すると、あたい自身はまだベッドに寝てる状態で、全身を覆うザッと2mほどの大きさのパワードスーツ(モ○ピーダ風って言えば分かる人は分かるか?)はそのベッド。

最初はフレームを土石術式で変形させて体を固定してえっちらおっちら部屋から出てきたんだが、外に出たら廃材があったからキチンと形作ってみた。

関節面とかちょいと大変だったが、慣れてきたら移動ぐらいなら余裕よヨユー。


「また無茶苦茶な……」


「前からやってんの見てたがなるほど、土の中身に鉄も含まれてるから土を操る=鉄(砂鉄)も操れるって寸法か。だったら俺の雷でも…」


おっと?姉貴が徐ろに廃材に向かった?


「そ、それよりも本当にその格好で向かうんですの?」


「体内のナノマシンがあるっつっても、まーだ回復しきってないし念の為」


「いえそうではなくて!まだしか経ってませんのよ!?あの状態から動けるはずないですわ!」


どんな状態だったんよ。

はぁ、全身バッキバキに骨折。

全身打撲ですか。

全治半年から1年ですか。


「あたいよく生きてたなあ!?」


「むしろこうしてお話してるのがおかしいんじゃい!……ですわ」


「体内のナノマシンによる修復もあるが、俺等はそういう風に出来てんだ、気にすんな」


おっと、姉貴が戻っ……はあ!?

あたいよりもより金属的……ってかがっつり金属なパワードスーツを着た姉貴がそこに。


「コレ良いな。消費がでかいが一度作れば維持自体は大した事ねえし、コレならコクピットの調整しなくて済みそうだ」


「コクピットの調整……気づかなかった。天才か?」


「もうやだこの姉妹……」


がっくりきてるメイミをよそに姉貴からグランドロアを返してもらい、念の為トーリスをトラック(キャリアーって言うらしい)に乗っけていざ鎌倉もとい南西の旧軍事施設へ。


「姉貴のローラー滑らかでいいな!」


「そりゃ電磁式だしな」


電磁式とか関係無くスゲー速度出てるな。

岩ってのもあるが追いつくので精一杯だ。


「こっちはどう足掻いても岩だし……あ、金属でレール作りながら行けば……!」


結構消費でかいが、ローラーを鉄に配列変換しレールも精製。出したレール部分が後ろに行った瞬間に前に回してやれば……ん?レールを前に戻すのに消費がでかいが、輪っかを縮小したら消費が軽くなった?

だったらローラーのとこで回せばいいんだ!



キュラキュラキュラキュキュラキュラキュラキュラ



うん、キャタピラだこれ。

めっちゃ踏破性高いし姉貴についていけてる!

てか、姉貴はどうやって……?

あ!砂鉄をレール代わりにして電気流して磁力を発生させてるのか!

一人だけリニア!!

追いつけない訳だ……ようやく気づいたかって顔すんなし!


「で、着いたのは良いのだけど」


キャリアーから降りてきたジーナとメイミが呆れた顔してる。

ジーナは運転手として来て、メイミは視察。

メイミが乗ってなくても動けるジョセフィーヌとMr.Eに街の防衛を任してこっちに来た。

戦力がジーナの機体しかないからジョセフィーヌが心配してたが、あたいと姉貴のバイオウェポンがあるから問題無しって事でボス自ら着いてきた……新しい発見をしたいだけじゃ?


「時速60km超える速度のパワードスーツって何?」


「私は突っ込む気にもなりませんわ……」


「まーまーとっとと行こうず」


えーと?此処は見渡す限り荒野だが……地下かな?

振動検知術にもそんな反応があったし。


『えーと……2時の方向に人用の入り口がありますねー』


そっちを見ると岩がポツンと。

おーこれなー。

対ノヴァ用にカモフラージュしてたんだっけ。

入り口のドアが埋まってるが、土石術式の前では無力!圧倒的無力!


「なるほど……コレは確かに私達では見つけられないはずですわ」


まー金属探知機きんたんで地面を調べはしても岩を調べはしねーだろーしな。

さて、人用のっつってもそれなりに大きさはあるがパワードスーツ入るかな……行けそう。

あたいは姉貴に声をかけてパイロットスーツを着用、ガス溜まりや低酸素に対処する。

………やっぱまだ完治してないから全員に手伝ってもらって着用したが、他人に着替えさせてもらうのは恥ずいわ。

念の為、メイミとジーナは地上で待機してもらい姉貴と2人で突入。

さーて、此処は何の施設かな〜。


「こりゃ兵舎か?案内プレートがボロボロだから分かりにくいが、結構広いぞ」


「姉貴、錆びてっけど地下1階部分は駐屯所みてーにみえるから下に行ってみねえ?」


「だな。グランドロア、酸素濃度はどうだ?」


『この1階部分は大丈夫です。設備は止まってますが地表に近いので外の風が換気口から入ってきてるので換気はできてます』


運良く換気口があいてたのか。


「じゃ、2人に1階部分の探索してもらってあたい等で下見に行ってみる?」


「うむ。グランドロア、2人に連絡を」


『了解です』


これでよし、地下2階は……階段にプレート発見。

上より広いぞ……あ、備蓄庫か。

いくつかの部屋に分かれているが、ジャンル別って感じか。


「ケイト、電子機器はこっちみたいだぞ」


「あいよ」


色々見てみたいが先ずは基板だ。

ん?入り口にあるのは静電気チェックの検査機か?てことは……お、静電バンド発見。

パワードスーツに意味あるか分かんねーけど、一応手首につけて確認……問題無し。

外して棚の方へ。

えーと……型番的にここらの棚かな?

三段棚の下と真ん中の棚にズラリと並ぶ大量の基板。


『型番的に真ん中の棚、左から3つ目からの4つがトーリスに使えるやつっす』


この4つねー、どれも埃被ってっけど使えそうだ。

一応チェックしとくか。

えーと静電バンド付ける場所は……机の下にあった。

静電バンドを装着しなおし基板を近くの机に持っていって、入ってすぐのとこに有った棚から取り出した検査機で確認……通電確認っと。


「後は埃落とすだけか?姉貴ー、そっちなんか有った?」


「今見て回ったが、更に下が面白そうだぞ」


マジで?

あー……でも、先にトーリス動かしたいな。


「姉貴、地下は任していいか?先に外でトーリス動かしたい」


「OK、トーリスが動けば外の安全度が増すからな」


てことで。


「やってまいりましたトーリスのコクピット!(2回目)」


基板は既にセット済み!(埃はエアーでぶっ飛ばしました)

パワードスーツはでかすぎたのでスリムに!

後はスイッチ入れるだけ!


『一応、この3日間で変なのが残ってないかの確認済みなんで、ポチッと起動しちゃってくださいな』


「おうさ!うひぇひぇひぇ……さあ!蘇るのじゃ!この電撃でー!!ポチッとな」


低い唸りを上げて機体内に火が入っていく。

中央の小型モニターにシステムやらなんやらが映り、コクピット内が外の景色に彩られ、ガコンと揺れながらモニター越しの視界が更に高くなった。


「おー!蘇ったぞ!成功じゃ!」


『起動スイッチ押しただけですよね?』


電気で動くんだからいーじゃーん。


————————————————————

(どーでもいい)補足


備蓄庫の静電対策

ケイト達が探索している備蓄庫は、扱う部品によって部屋を分けており、最初に入ったのはギアやネジ等の細かい部品の備品室で、ネジとギアは径毎に分かれている。

ただ、機体用は一部しか置いていない(基本大きいので)

次の部屋が電子機器中心で、ケイト姉は見て回るだけだったので気にしてなかったが、ケイトはキチンと静電対策をした。

どーでもいいですね。



※(ちゃーらーらーらっらーちゃーららっらーらー)500年前。

かつての大戦の折、異世界より迷い込んだ1人の男がいた。

その男は大戦の元凶がかつて自身が倒した相手だと知り、再び立ち上がった。

多くの犠牲の元勝利した男は、三度甦るかもしれぬ宿敵に相対する為、眠りについた。

次回「ハンター」

車両に乗らないハンターはヒヨッコだ。

(ちゃんらーちゃん!)


今回(も)投稿が凄く遅れたのだ!

書いてる途中でトーリス起動じゃなくなりそうだったのだ!

申し訳ございませんでしたのだ!

稚拙な作品をお読み下さり有難う御座います&なんと90000PV突破感謝なのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!

最近SAOFBばっかやってる気が。

集団戦にアサルトライフル、ボス戦にダブルウェポンハンドガンが楽しいけどエキスパートは敵が強すぎだろ……。

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