9-4 ゲロイン
さて、あーは言ったものの……どうやって近づこうか?
端末に色々放り込んだのがあったはずだが、何入れてたっけ?
「アイテム一覧!」
『このこのこのこのはいな!このこのこのこのこのこの』
なんかウイルスマジに無限っぽいな。
ともかく……一覧見てる暇ねぇ!
チラッと見えたコレで時間稼ぐか!
頭部バルカンの砲撃を避けつつトーリスの頭上へ。
コレで止まるとは思えんが。
「ありったけのグレネードだ!」
と言っても6発だけだが。
こっちの世界のグレネードは宇宙や地球ほど進んでなく、良くてWW1時のレベルだ。
500年前の大戦時に兵器開発・研究が止まって、市場に出回ってるのが簡易な物だけ。
流石に買うの諦めたわ。
今放出したのは地球で使ってたのと同じで、ファクトリーで売ってたピンとレバーが付いた
戦車の装甲ヘコませる程度のヤツがトーリスなんかに効くわきゃねぇよ!
だが。
「びっくりはするだろ!?」
トーリスの全長は22.8m。
15cm程度の手榴弾が見えるわけねえ。
人間に換算したら1~2cmの小石が飛んでくるでもなく、落ちてくるだけだからな。
パパパパンッと右側メインカメラの前でグレネードが爆発すると流石のトーリスも仰け反った。
おー、キョロキョロしとる。
よし!この高さなら!
「あらよっと!」
端末のオプションであるワイヤーを引っ張り出してトーリスの左側頭部に射出!
先端に電磁式ネオジウムついてっから引っ付く……よーしついたついた。
あたいは飛び降りてワイヤーを巻き上げ、トーリスの側頭部に着地ぃ!
「………くぅ〜……」
足首いってぇ……。
体内のナノマシンで直ぐにでも治るけど、痛いもんは痛い。
後は胸部の排熱口に気をつけながらコクピット横にまで降りるだけ。
ワイヤー外して肩に降りるとしきりに右向いて確認してる。
カサカサッと胸部へ移動し下を確認。
「………一気に行かねーとこんがりだな」
排熱口ちょい下向きに向いてるのに風に煽られてめっちゃ熱い……頭部横もバルカンの放熱で熱かったけど。
「グランドロア、コクピットスイッチ何処かわかるか?」
『このこのこのこの左側面にこのこのこのこのパネルがあるのでこのこのこのこの』
忙しそーだなー。
だが、このまま左側ね。
ワイヤーの先端を装甲に引っ付けて……右向いて動いてない今の内に……胸部の排熱怖っ!
「くぅ〜……ままよ!」
てぇーい!とジャンプ!ダンッ!とコクピット横に着地!直後に排熱ゴバァー!
あっぶねえ!!
と、とにかく、パネルパネル…あ、これか。
ポチポチポチッと。
プシューとコクピットハッチが開く。
勢いつけて中に飛び込むとワイヤーを戻し中へ入る……さっきの放熱でワイヤー熱い。
「やっぱ無人か」
だーれもいないコクピットは全天周囲モニターの球体型で、パイロット用の小型モニターに起動しているシステム名が浮かんでた。
機体が機体だし、そーだろーなーと思ってたけどそうだったな。
「グランドロア、どれだ?」
『ていていていていていシートの裏の下にパネル、開けて4番目のヤツからこのウイルスが来てるみたいですねていていていていていてい』
4番ね、4番……シートの裏に滑り込み外部パネルを外して……これね。
ストッパー外して……引っ張り出そうと取手を握った瞬間。
「どわっ!?」
機体が急に加速!?
体が一回転して壁に叩きつけられそうになるも取手を握ってて助かっ…そして急停止!!
今度はコクピットから弾き出されそうになる。
「……離すかよ!」
床にビターンしたが放り出されるのは防いだ!が、今度は左右に小刻みにい!
コンソールとパイロットシートの間でバコバコガンガン。
「がっ!ごっ!ぶっ!べっ!らっ!」
めっちゃシェイキン、めっちゃ痛い。
が、おかげで刺さってる基板にガタがきた!
「いぃぃまだぁぁぁぁ!」
体が後ろに動き出した瞬間におもっきり引っ張るとバコンッと基板が外れた。
「よっしごっふうぅ!」
外れた基板とコクピット内壁に挟まれた。
痛いです。
が、ブウゥンとトーリスの電源が落ち動きが止まった。
全身痛いですってぇ………基板を引きずりながら未だ開いたまんまのコックピットハッチへ這い出ると、勢い使って基板を投げ捨てた。
「……終わったぁぁぁぁ……ゔ」
丸いコクピット内でシェイキンされてたから…ぎぼぢわるい……。
『終わったようだな』
ずっと牽制してくれてたMr.Eがこっちに向かってきた。
「ゔ……ゔっ!オロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ」
『………そんな高い場所で吐かないでくれないか?風に舞って飛んできそうだ』
Mr.Eはそう言いながらジェットパック作動させながら全力で離れていった。
まてやこら。
『足にかかるから止めるにゃ!』
ジョセフィーヌの声がしたと思ったら止まってたトーリスが膝をついた。
あー、暴れだしたトーリスを後ろから羽交い締めにしてたのねー……じゃなく。
「ちょ!手ぇはな……」
咄嗟にハッチにしがみつこうとしたが、その勢いで体がフワッと浮き、直ぐにコクピットハッチにビターンした。
「ブべッ………!……ジョ、ジョべビィーブゥ!!」
『ちょっ!吐きながら叫けんでんじゃねーよ!守備隊呼ぶけージッとしとれや!…ですわ』
メイミ……隠しきれてないぞ。
『これでケイトさんも立派なゲロインですね』
じゃかーしゃー!
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補足
機体の制御基板などの位置
以前にも少し触れたが、機体の制御盤等の位置だが、時代や機体、メーカーによって異なるがコクピットシートの下や後方に配置される事が多い。
しかし、機体性能のテストやトライアル機等はコクピットの広さの都合上、テストパイロットが操縦しながらチェックを行う為、コクピット前面に配置される事がある。
トーリスの世界でも同じく、全天周囲モニターの普及によりより整備・調整が行いやすいシート下や背面に設置されるようになった。
それまでは(コクピット前面装甲の厚さもあり)足元や側面から後方にかけて配置されており、予備の基板も備えられている。
機体のチェックや確認作業も常に研究員や整備班がいる訳ではない為、パイロット自身がシート横に潜り込んで整備・調整を行う事が多く、作業のしにくさで概ね不評だった(0083辺りまで)。
だが、全天周囲モニターの普及、こちらの世界では特殊システム搭載実験試作機(グランシード)の大破の事もあり、安全性の確保(前面部の破損による誘爆や操作不能の回避)と研究員や整備士がサブシートに搭乗しやすいよう、現在では後方、またはシート下に配置されている。
※(ちゃーらーらーらっらーちゃーららっらーらー)世界を守る。言葉で表せばたったそれだけの事だが、その捉え方は人それぞれ。
そして導き出したその答えは、例え世界が変わろうと変わる事はない。
次回「蘇る終末」
同じ終末でも違いはある。
(ちゃんらーちゃん!)
今回(も)投稿が凄く遅れたのだ!
ちょっと補足書くネタで頭パーンなったのだ!
申し訳ございませんでしたのだ!
稚拙な作品をお読み下さり有難う御座います&80000PV突破感謝なのだ!
少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!
そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!
みんな何であんなハイスコア出せるんだ…。
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