9-2 異形
血相変えてやって来たメイミに戸惑いながら、何が起きたのか聞かねば。
「何が来たって?」
「よく分からないもんでやがりますですわ!」
「メイミの言語の方がよく分からなんのだが。ともかく落ち着け」
「餅なんてついてられませんわ!!」
おま何言ってんの?
「お嬢、とにかく落ち着け。わし等に分かるよう話さんかい」
「それどころやないってんじゃろがい!!」
騒ぎを聞きつけてやって来た整備工場の親方相手でもパニクってんなー。
1回ぶん殴るか?
「フッ……メイミ・クラウデン。状況は?」
メイミの前に立ち超至近距離でMr.Eが鋭い眼光で見下ろす………怖いだろーなー……完璧な兵士の殺意混じりの鋭い眼光。
流石に怖かったのかメイミが顔を引きつらせながら涙目になってたが、そのおかげか少し落ち着いたみたいだ。
「さ、先程見張りをしてた防衛隊からこちらに向かってくる何かの群れをレーダーに捉え目視にて確認したところ、化け物としか言えない物だったと……」
「化け物?例えば?」
「え、えっと、戦車ぐらいの大きさのタコとかバッタのように飛び跳ねる足の生えた戦車砲とか……」
「は?」
「小さい物だと子供ぐらいの大きさのポリタンクや大人サイズのアメーバ?みたいな……大きいものだと戦車サイズのタコや車サイズのハチもいましたし、それらに混ざって9門の戦車砲を搭載した車両とかも確認できましたわ」
「ほんとに訳分かんねぇな!?」
「その車両が追われいてる可能性は?」
「車両の上に約3mほどの銃器を持った猿が箱乗りしているのを確認できましたので、それは無いですわ」
猿までいんのかよ。
しかも箱乗り。
やべえ、ちょー見たい。
「数と到着までは?」
「約200。後30分ほどですわ」
「了解した。防衛隊各員に通達を。50の内30を残し迎撃を。俺は先行し気勢を削ぐ」
「分かりましたわ」
流石Mr.E。
落ち着いて……ん?昔はもっと感情的だった気が?
「何だ?」
「あ、いや。落ち着いてんなーって。昔だったら「何っ!?」とか「ふざけるな!」とか言ってたなって」
「フッ……この地に来て成長したのかもな。それに感情豊かな存在が近くにいるしな」
そう言ってMr.Eがメイミを見る。
あー……人の振り見て我が振り直せ、だったか?日本の格言?いやコトワザか。
日本人が世界的に礼儀正しいのはこのコトワザがあるからだとかなんとか。
Mr.Eもこの世界に跳ばされて、訳の分からない状況の中でメイミに振り回されたんだろう。
「オツカレサマデス」
「フッ……」
ニヒルに笑いながらジャンブルドッグ(正確にはファラゴジャンブルドック)に乗り込む。
「あ、そだ。20と旦那だけで200やれるのか?」
「……相手の殆どはマッシブアーマー程でかくはない。ならば4倍近い大きさのマッシブアーマーの火力なら適当に撃っても蹴散らせる」
「撃ちもらしても旦那がいるしな。OK!Good Luck!」
「……出る!」
キュオオオオォォォォォッとローラー音を響かせ迎撃に向かったMr.Eを見送りつつ、姉貴に連絡っと。
「姉貴ー、あたい等はどうする?」
『そだなー……俺も機体持ってきてないし、教会でジーナとテリーの機体2機で待機しとくわ』
「はいよー………ん?なんか騒がしいな」
いや、騒がしいのは元々なんだが。
それとは違う緊急的な感じ?
ちょいと耳を澄ましてみるか。
「守備隊急げ!!突破されてるぞ!」
「マッシブアーマーはどうした!?」
「相手が小さすぎて小回りがきかねぇんだ!」
「砲撃よーい!!てぇ!!!」
「残ってるマッシブアーマーも撃て撃て!!」
「狙えねぇ!」
「当たんねぇぞ!」
………こりゃあ、小型が抜けてきたか。
Mr.Eが撃ちもらしたってぇより、小型が多過ぎてこっちに回したってとこか。
あたいはジョセフィーヌ
「ボス!ジョセフィーヌ!手に乗っけてくれ!」
「え゛っ!?生身で向かうんですの!?」
『……了解にゃ!』
「助かる!」
「無茶ですわ!!」
『エンハンブレの社員にゃら平気にゃ!』
「はぁ!?どうなっても知りませんわよ!?」
言いたい事は分かるがグランドロアが無い以上こっちの方が手っ取り早い。
にしてもジョセフィーヌのエンハンブレの社員への理解度の高さよ。
あたいがジョセフィーヌの手に飛び乗るとバイオウェポンを展開。
「何時でも行けるぜ!」
『落ちないでくださいまし!メイミ・クラウデン!ジョセフィーヌ
『出るにゃ!』
格納庫から立ち上がり守備隊の元へ。
さてさて?どんなのが攻めてきてんのかな?
………何だありゃあ?
こっちに来るまで後数分って感じだが、双眼鏡から見える景色には大量の土煙を上げながら爆走する生足の生えた爆弾(ざっと20体)やら、四脚でカサカサ動くポリタンクだとか。
その後ろにはバッタみてーに飛び跳ねてくる多分48mm砲や燃料タンクっぽいのを背負った猿が箱乗りしてる地対艦誘導弾(ドライバーは居ない)が追従している。
「びっくり博覧会かな?」
こりゃ確かにわけわかんねーわな。
どー見ても廃車寸前のタクシーとかもいるし。
とは言え、小型に合わせて車両とかがゆっくりだから割と余裕……と思ったら。
「うーわ。ここに来て鳥が先行しだしたよ」
なんの鳥かは分からんが体が注射器て。
これは楽勝だが……その後ろがヤバイ。
Mr.Eに遅れて向かった守備隊の上から爆撃しとる。
「メイミ!突っ込んでる守備隊がやべえ!マッシブアーマーがいくらでかいとはいえあんだけ爆撃されてたら保たねえ!対空ミサイルとかで援護を!」
『んなもんねぇですわ!』
「ビーム兵器は!?アレならこっからでも届くだろ!?」
『ジョセフィーヌの分しかねぇよんな高えもんは!…ですわ!』
マジか……辺りを見渡しても機体用のスナイパーライフルみたいなのも誰も持ってない。
しゃーない。
えーと?相手の速度が20km程度で?数分だから先行隊との距離的には2kmも無い。
「が……高さと旋回してんのが厄介だな」
見るにそれなりに速いし。
てか、ありゃカモメか?いやー言うても2kmやで?肉眼であの大きさに見えるって事はアレ自体が全長5m超えてるはず。
じゃ、アホウドリか。
アホウドリがそんなでかいわけねーだろ。
いや、そもそもそんな大きさ鳥なのかも怪しいのだが。
「ってどうでもいーわ!」
今手持ちにある長射程のエネルギー兵器はジョセフィーヌのビームライフルと……。
むにょんと展開させるはあたいのバイオウェポンアサルトライフルモード「ファフニール」。
ジョセフィーヌの指の間から槍の様な砲身を突き出すと、ぬんとスコープが。
「グランドロア、メイミとジョセフィーヌにあのアホウドリへの誘導支援」
『了解したですケイトさんは?』
「自力で当てる……てかファフニールがビームひん曲げてでも当ててくれると信じてみる」
実際は移動先を予測して撃つんだが。
『なんかデータが来たんですけど!?当てろってか!?』
『細かい補正はこっちでやるにゃ。メイミは照準合わせてトリガーを引くにゃ』
「こっちは自力なんだから文句言うなし!」
実弾射撃の場合、スナイパーライフルであっても有効射程距離は600〜2000m。
世界記録は2017年にカナダ軍の特殊部隊所属のスナイパーの3540m。
ま、あたいじゃ無理だな。
けどなー……コイツはバイオウェポン!
元からビームってかエネルギーだし、使用者の精神力でその性能は。
「何処までものびんだよぉぉぉぉぉぉ!!」
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補足
カモメとアホウドリ
「アホウドリ」とは、北太平洋に分布するミズナギドリ目アホウドリ科アホウドリ属に分類される鳥類で、全長は84~100cm、翼開張190~240cm、体重3. 3~5. 3㎏で飛行できる鳥類の中では最も大きい。
大柄な体のためその場からは飛べず、空を飛ぶ際には下り坂や向かい風を使って助走し、場合によっては失敗する場合もある。
「カモメ」は、鳥綱チドリ目カモメ科カモメ属に分類される鳥類で、全長は40~60㎝、翼開張110~125cmで小柄であり、「アホウドリ」とは一目瞭然の大きさの違いがある。
が、5mを超えるのがまともな鳥な訳はなく、爆撃も翼に搭載した自由落下爆弾によるものだったりする。
その正体は某戦車RPGで強襲即攻撃、即離脱、即乱入、鳥のフンを残してアイテム欄を圧迫する知る人ぞ知る難敵で、強襲→離脱→乱入→強襲→離脱→乱入を繰り返し、連続ヒットの爆撃連発でこっちが動く前に半壊させてくる。
ショートカットプレイ(正確にはイベントガン無視)時の全滅は、こいつか複数の賞金首に囲まれる(2なら2体、4なら3体)事で起こる。
尚、筆者はシリーズ殆どをやったのだが、元祖とRと2・2R、4、ゼノリターンの記憶しかない。
3もサーガシリーズもやったんだがな……。
※(ちゃーらーらーらっらーちゃーららっらーらー)巻き上がる土煙の中、多種多様の怪物達が荒れ狂い、完璧な兵士もまた荒れ狂う。
しかし鉄砂舞う中、真打ちとばかりに地獄からの使者が終焉の姿を現す。
次回「黙示録の騎士」
冥府の神を宿した騎士が死を告げる。
(ちゃんらーちゃん!)
今回(も)投稿が凄く遅れたのだ!
ちょっと書くネタが無かったのだ!
申し訳ございませんでしたのだ!
稚拙な作品をお読み下さり有難う御座います&80000PV突破感謝なのだ!
少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!
そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!
あ、カニガンとメテオマイマイ出すの忘れてた。
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