8-20 ゴーンファミリー

海洋都市レヴィア。

その中心に位置する一際大きな建物。

この都市…てか街レベルだが、此処ら一体を仕切ってる代表で、反政府組織でもあるゴーンファミリーの本拠地だ。

そしてMr.Eに案内され、そのMr.Eの雇い主でもある元締めと会合したのだが………。


「よく来ましたわ!凄腕のパイロットさん!」


………なにこの金髪ドリルツインテは。

辺りを見回す。

お嬢の後ろに燕尾服を着た枯れ木のようなおじいちゃんが1人。


「どうかしましたの?」


「いや、ハゲデブで厳ついスーツ着た海賊とか、落ち着きのある眼光鋭いナイスミドルとか居ないなーって」


「それは誰の事ですの?」


マフィアのボスってんだからそう言うもんだと思うのだが。


「えーっと……ゴホン」


自分でゴホンって言っとる。


「ワタクシがゴーンファミリーを仕切らせてもらってるメイミ・クラウデンですわ!」


ん?クラウデン?どっかで聞いたな?

てーか。


「ゴーンじゃないのか?」


「ゴーンはお嬢様の御先祖様のお名前で御座います」


後ろのおじいちゃんが補足してくれた。

ゴーンファミリーはならず者が群雄割拠していた時代、100年ほど前にこの地レヴィアを纏め上げたゴーン・クラウデンが初代らしい。

んで、今目の前にいる金髪ドリルツインテが5代目だそうだ。


「それより前は?」


「軍人であった、としか。何分500年前の大戦以降は100年前までは復興と混迷の時代でしたので」


「歴史のお勉強はよろしくて?本題に入りますわよ!」


「ほいほい」


「なんでも都市アロガントの中央政府を倒すのにうちの手し…部下達を借りたいそうね?」


手下言おうとしたろ今。


「正直、先日の決闘デュエルはお話になりませんでしたが、今日のは合格ですわ!うちのMr.Eと渡り合える実力を見せていただきましたので」


「そりゃどうも。しかし、驚かねーのか?」


あたいの見た目とか。


「見た目の事でしたら聞いておりましたし、そちらも我がゴーンファミリーの組ち…トップが10代の小娘とは思わなかったでしょう?」


組長言いかけたろ今。


「まーな。ま、お互い様ってね。そんで、どうなんだ?」


「もちろんよろしくってよ!決闘デュエルで破損したそちらの機体の修理代もこちらが出しますわ!」


「ほいほい……ではこちらの書類にサインを」


と、端末の画面をお嬢にぺっと弾くとちょいビビってた。


「な、なかなか珍しいのをお持ちのようね……アセッター」


「そんぐらい進んだ技術を持ったとこに居たんでなー……確認完了。さて、当初の目的は終わったが」


「これでサヨナラはつまらないでしょう?修理も含めて数日はゆっくりしていきなさいな。別世界のお話も聞きたいですし。爺?」


「はい。お部屋をご用意しておきましたのでご案内いたします」


数日は流石に居すぎ感があるが、テリーの機体の修理があるしな……お言葉に甘えとくか。


「ではよろしく……そだ。ボスに渡すもんがあるんで先に格納庫良いか?」






てーことでやってきました格納庫。

ふむ……スペース的に空いてる場所はあるな。


「それで、ワタクシに渡す物とは?」


あたいは自身の端末を操作すると、空いてる場所にマッシブアーマーの胴体が現れた。

ま、あん時の勇者の機体なんだが。


「どぅえっ!………コホン。お、驚きましたわね……マッシブアーマーが急に出てくるなんて」


このお嬢、時々素が出てないか?


「……あー……ちょっと離れた場所で埋まってたのを回収した機体なんだがよ」


ほいっとこの世界に合わせたデータチップをお嬢に差し出す。

あたい等の技術との差があるから、普通に渡すと使えないからな。


「コレは?」


「500年前の地形や機体データ。ついでに音声データもある」


「なっ…!?じい!!」


「早速移し替えておきますじゃ!」


「そのままやるよ。必要な分はコピーしてるしな」


「ではありがたく。それで……」


「多分だが、この機体と中のスケルトン、ボスの御先祖様だ」


同じクラウデンだしな。

直結でなくても親族の可能性がある。


「本当ですの!?」


「さっき渡した中の音声データがな。確かアイファズフト軍マッシブアーマー部隊所属ジョニー・クラウデン少尉って名乗ってたか?」


「ジョニー……じい!」


「流石に500年前ですからな。記録はございませんが、他の分家の方々も居られますがクラウデンの名は正式に跡目を継いでおられるお嬢様にのみ許されたゴーンファミリーの一族の証でございます。ですのでほぼ間違い無しで御座いましょう」


「他の分家が主張してきたら?」


「それこそ他の方々が主張したとて別に構わないでしょう。騒いだとて問題はございません」


「そうね………この機体はこちらで引き取らせてもらいますわ」


「ほいさ。あー……この型式のパーツあれば修理出来そうだからボス専用にしちゃって?」


レヴィア産の機体のはずだからパーツはあるはず……ま、元々互換性ある現地改修機だからなんとでもなる。


「そうですわね……倉庫を当たらせてみますわ。そういえば発掘兵器のプロだとか。修復も含めて何機か作ってもらえませんこと?」


「無茶言うなよ。何日後かには戻んなきゃなんねーんだ。近くでパーツ埋まってる場所教えっからそれで勘弁な?」


海中のもんは使えそうにないが、地中のは使えそうだからな。

地図を引っ張り出してっと。

んーと?今度は遠慮せんでいいから10km圏内だと……。


「ココとココ、ココにも。単機で良さ気なんはココかな?」


「まだ埋まってましたのね。深さはわかりますの?」


「どれもさほど深くねぇな。5mほどで顔出すな」


「じい!各発掘業者に連絡を」


よしよし、後はファミリー側でなんとでもするだろうから、機体の修理終わるまでゴロゴロすっかなー……………とか思ってた時がありました。


「だーっ!そこっ!ちんたらやってんなよ!玉掛なにやってんの!人殺す気か!?その資材はそっちゃない!北の工房だってんだろ!まともなんは溶接工だけか!?」


「姐さん…これを!」


「………1000分の20超えてるじゃねーか!許容範囲は1000分の5までって言ったろーが!関節部ならともかくエアー循環器なんだぞ!パイロット窒息させる気か!やり直し!!」


「いやー。監督役が来てくれて助かるわー」


「ざっけんな!?」


————————————————————

オマケ


所長「んー………何がどうなっとんや?」


トニー「どしたんです?」


所「いやな?9億の収益あったやろ?その後、さっきからやが分単位で額はちぃさいんやけど細々と入ってきとんや」


ト「そうなんすか?………マジっすね。内訳分かりません?」


所「内訳は……発掘と組立報酬?何やっとんのや?」


ト「それと整備班講師料もですねー」


所「らしいっちゃらしいけどもや。あいつ、どんだけ稼ぐ気や?」


ケイト姉「どしたー?」


所「あぁ、姉貴はん。これ見てーな」


姉「………俺の稼ぎ抜く勢いだな。まだまだ負けてねーけど」


ト「と言う事は姉貴さんも?」


姉「こー見えて俺個人の資産やべーぜ?その分税金めっちゃ引かれるが」


所「お前等の次元どーなっとんじゃ……一軍人やろーが……」


姉「軍は辞めてるから一社員な?払いが良いのはうちの会社だけだ。働きに応じて追加報酬が有るから、開発班とかパイロット達はかなり持ってるし、普通のクルー達も割りと給料良いぞ」


ト「運送会社って言ってましたっけ?そんなに儲かるんすか?」


姉「運送だけじゃなく要人警護、傭兵、工房と提携してMA…マッシブアーマーの開発に販売と軍依頼で新兵の訓練、シミュレーターの開発に……最近は格闘技のイベントとマッシブアーマー使ったレースなんかも主催してんな」


所「何の会社やねん………それもう巨大複業企業やん」


姉「でも子会社は無いんだよなー」


所「………うちを子会社にしてくれへん?資金難やねん!!ゴーンファミリーとはビジネスなだけの繋がりやねん!!掘り出したもんマーケットに売ってもきっついねん!!と言うかそれしかでけへん弱小会社やねん!!」


姉「だぁっ!!しがみつくな!反乱に勝ったらバンマス中佐の元での復興事業やりゃあいいだろうが!?」


所「そんなんで足りるかいな!なーなーたすけてーなーなー」


姉「わーった!分かったから!向こうに帰れて自由に行き来出来るようになったら未開惑星の調査及び開発の現地スタッフとして雇えるか聞いてやっから!!」


所「ほんまに?」


姉「お、おう」


所「ほんまのほんまに?」


姉「やるっての!特に団長や副団長はうちの守備隊か新兵の教官役に欲しいし、トニーのメカニックとしての腕は開発班か整備班に欲しいくらいだしな!」


ト「自分がっすか!?」


所「いや、3人も引き抜かれたら潰れるんやけど?」


姉「抜かねーっての!子会社になったら、鉄錆団の役回りはこの未開惑星の発掘と新兵の地上での訓練……重力下での運用訓練、他の地域の勢力とのつなぎ役になるだろうから、面子は必要だろう。どの道、向こうと繋がんなきゃ妄想で終わるがな」


所「よーしトニー君!!今すぐ次元を繋げるゲートを作るんや!」


ト「出来ないっすよ!?」


数年後、宇宙に進出した地球と惑星として別次元の知的生命体として最初に国交を結んだ惑星ルフトの使節団に、鉄錆団の名が入っていたのだが、それは別のお話。


※(ちゃーらーらーらっらーちゃーららっらーらー)かつて大戦があった。

数多の地に伏し、埋もれていった。

そして今。

その骸鎧ガイガイは受け継がれ、生まれ変わる。

次回「リビルド」

受け継がれし願いは、万象森羅を駆け抜ける。

(ちゃんらーちゃん!)


稚拙な作品をお読み下さり有難う御座います&80000PV突破感謝なのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!

やべっ、ボディに合うバックパックどこ行った!?(なお頭部も決まっていません)

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