8-19 Mr.E

まさかの初弾で姿を見る事なく1機撃破出来たが……残りの2機はそうはいかねーんだろうなあ。

お、センサーに感あり。

とは言え、こんだけ暗いと目視は無理だな。


「グランドロア。視界なんとかならんか?」


『スキャンした地形データからシミュレートモードの画像に切り替えますね』


視界がワイヤーフレームの画像に切り替わり、周囲の状況が分かりやすくなった。

……へぇ、使いモンになりそうにないが海底にも色々埋まってんな。

マッシブアーマーだけじゃなく、戦闘機に輸送機、車輌関係もあるし艦船も当然に。


「こりゃあ……やべえな……」


障害物だらけじゃねーか。

隠れられたら骨だぞ………てかもう隠れてるか。


「こう言うのって、本来我慢大会なんだが。グランドロア、ソナー撃ちまくって?」


『釣るんですね?』


「プロの我慢大会ってのを教えてやろーじゃないか」






闘技場観客席


「こいつぁ………」


「テリーコレは何だ?もう既に30分は何も起きてねーんだが?」


「おいおいダン、分かんねーのか?俺には分かる。通信士である俺にはな」


「なに?」


「通信士ってのは索敵もやるんだが、水中で索敵って言えばソナーだ。さっきからポンポン鳴ってるのがそうだ」


「それぐらいは分かる。姐さんが索敵してんだろ?」


「そうだ。だが、コレは索敵じゃねえ……」


「だから何だ?」


「ソナーにしては間隔が短すぎる………このリズム……曲?……また変わった?……別の曲か!間隔的に大体5分前後の曲をソナーで流してるのか!ハハッ!ぶっ飛んでんな!!」


「おい、分かるように話してくれや」


「つまりだ、本来ソナーを使う側は発見次第動けるように移動しながら打つ。不意を突きたい側はその逆だ。見つからないようにじっとしてなきゃならない。ソナー自体は反響とかの差で距離を測ったりするから、一定の周期にソナーを打つ。攻撃側はその間隔を読んで仕掛けるってのは分かるな?」


「おう。海を中心に生活してるからな」


「じゃあよ。このリズム、読めるか?」


「……!」


「そーよ。このリズム、タイミングが測れねぇから、迂闊に動けねぇ!行けると思った瞬間丸裸だ!!」




機体内


「タタタンタッタ、タタンタタンッ、タタタッタッタッ、タンタタタIDOL!!」


『ノリノリですねぇ』


「次はDAEMONKINGでも行くかぁ?」


『うちとしてはBlinkBlinkしたいですが。その前に1機だけ場所が判明』


お?タイミングミスったな?

いっただきー!


「じゃ、曲終わりに……Perfectなlove!」


肩のシールド兼推進機に仕込んでる対艦用魚雷を反応があった場所にどーん。

2発しかないからムダ撃ちできねーけど、空母だって1発で落とせる代物だ。

最大の欠点は。


「……!耳痛った!!」


『至近距離で撃つもんじゃ無いですからね』


着弾と同時に他の障害物に隠れたが、ちょっと遅かったのか衝撃音がコクピット内にも響く。


「各部被害は!?」


『ケイトさんの耳鳴り以外は無し。あらゆる局面に対応できる良い機体ですねー。撃破2。後1体です』


よしよし。

それを落とせば……


『正面!?速い!!』


「なっ!?」


咄嗟に左に避けれたが、もたれてた障害物に巨大な爪が刺さってる!

しかも相手の機体が体を捻って左手をこっちに向けた!


「ブースト!」


全開で前に飛び出すと同時にマシンガンらしき速度の弾が背後を掠める。


「内蔵武器か!」


水中だと実弾でも威力が落ちるが、超至近距離だったあの距離だと無事じゃすまない。


『魚雷4!追撃来ます!』


「くっ!この!」


手持ちのマシンガンをばら撒く。

1発逃した!

牽制用のバルカンはビームだから意味無し!

なので引き付けるだけ引き付け……ここ!

機体を捻って魚雷を躱す!……近接信管積んで……無かった。良かったうおっ!

背面から衝撃!?


『蹴られました!』


「なくそっ!」


蹴られた勢いをそのままに海底を水平移動、相手に振り向くと同時にクジラさえ仕留めそうな水平銃を撃つ!くらえ!!


「……はあ?」


相手は機体を仰け反らせ水中銃の弾(銛)を両手のクローで掴んだ。

なにそのはんのうそくどー?


「うっそだろおい」


いくらズゴ○クだからって、無理あんだろ。

赤くないし。

てか、青い?

ちょい唖然としてると銛をポイして突っ込んできた!


「んなっ!?このっ!」


対艦以外の魚雷全弾(8発)を撃ち出し、ついでの水中銃(残3発)も撃ち出す!

銛の方が先に到達し、それに対処してるとこに全魚雷が着弾する戦法だ!


「これな……マジ?」


機体を回転させ自身をドリルにして突っ込んできたぁ!?

回転するから銛が刺さんねえし、突進力もあるから魚雷が蹴り散らかされる!

ヤベェヤベェヤベェヤベェヤベェヤベェ…!


「キター!」


フルブーストかけて……前方宙返り!!


「…クッ!」


ちょっと足に掠った!

咄嗟に姿勢を制御し、機体を立て直す。

そして、海底に着地と同時に勇気の前ロリ…じゃなく、突撃ー!!

相手もドリル止めて着地と同時に反転!

海中にゴイィィィンとぶつかり合う音が響く。

長い沈黙……そして。

相手のクローはあたいの機体の頭部を捉えてたが、あたいは手持ちのマシンガンを相手のコクピットに突きつけていた。


『…………参った。降参だ』


相手から降参の通信が入ると、闘技場のアナウンスが我に返ったらしく、絶叫に近い叫びを上げた。


『………………しょ、勝負あり!!勝者!!鉄錆団特別顧問!!ケェェェェェェェェイトォォォォォォ!!アァァァァカァァァァァァァァァァイブッ!!』


おや?いつの間に名前が?

鉄錆団の使いとしか言ってないんだが。

ま、いっか。

メインモニターが潰れて前が見えない中、青いズ○ックに連れられて海上に上がると、割れんばかりの大歓声が。

お互いに陸に上がると、これ以上無い笑みのダンとこれ以上無い凹み方をしているテリーが。




テリー、相手に賭けたな?




「まさか幼かったとは」


機体を降りて落ち込むテリーをダンさんと一緒に揶揄ってると、頭上から声が。

見上げると、青ズゴから青いパイロットスーツを着た相手さんが降りてきた。

パーソナルカラーなんかな?

てか、メットが特徴的で、アイマスクみてーなゴーグルに酸素吸入機をそのまま取り付けたメット………そっちの世界の人?


「驚いたかい?」


「多少はな?だが……貴君の強さの方は心底驚かされた。懐かしさを感じるほどに」


懐かしさねえ。

多分、本人さんなんだろうが、ダイレクトに聞いてみっか?


「さよか。ケイト・アーカイブだ。「完全な兵士」じゃねぇけどよろしく?」


「な!?……君は結社の人間か?」


「ちげーよ。後で話す。んで、本名で呼べばいいのか?」


「………いや、E……Mr.Eと呼んでくれ。に負け、この地へ飛ばされてきた俺にその名は不要」


本物に負けたねえ……。

ともかく、Mr.Eの強さはこの異世界において最強クラス。

知り合えただけでも値千金の価値があるぜ。

その後、試合に勝ったあたい等はゴーンファミリーの親玉の元へ…………会えるよな?

Mr.E曰く合わせてくれるみたいなので、機体の修理を近くの整備士に依頼して、Mr.Eと話しながらゆっくり向かう。


「てー事で、本人目の前にして言うのもなんだが、あたい等の世界じゃあアニメのキャラなんよ、Mr.Eは」


「自身が架空の人物と言う事実に倒れそうだ。ならば今いる俺は何なのだ?」


「多分だがよ?あらゆる世界って誰かが考えた瞬間から存在する世界になって、それ等色んな次元から廃棄されたか、終わったかしてよ?この次元に流れてきたかしたんじゃね?多次元論的なもんとあー、あれ、空想だろうが妄想だろうが人間が考えたもんは実現するっての?」


「なるほど。一応説明はつく……色々混ざった世界か。ふむ……纏めると、俺が存在すると言う事は、あの銀河も次元は違うが存在する。そして他の次元からは創作物として観測されていた。その世界で実際の俺は死んだ後、この世界に流れてきた。何故生きているかは謎だが」


「そっそ。あたい等の世界で色んなアニメのロボットとかがこの地に埋まってるから、多分そう」


「ふむ……ならば逆も然り。戦争ばかりの我が世界の誰かが戦争の無い世界を夢想したのがケイトの世界とも言えるな」


「戦争自体が無くなった訳じゃねえがな。理論的に考えたら多分そう」


「屁理屈とも言えるな」


「違ぇねえ」


と、Mr.Eと談笑してると、ダンさんとテリーが頭抱えてた。


「な、何言ってるか分かんねぇ!!」


「理解が追いつかんな……」


「考えられるもんは実在するって事だ」


無いもんは無いって言えるのは金が無い時だけだからな。

悪魔の証明っての?

無いって言い切るんだったら無い証明を宇宙の果まで行って証明しなきゃならず、有るって言い切る場合も同じだが、マジもんだろうがパチモンだろうが出せばいいだけ。

ややこしいし嘘くせえがそう言うもんで、否定する奴だけが馬鹿を見る。

前に日本に行った時にホテルでたまたま見た特番かなんかで、はなっから否定するお偉いさん(笑)が叫んでたが、冷静に見てるこっちからしたら、否定する証拠を出せない(例え0.1%でも有り得るなら無いの証明にならない)から、キレ散らかして誤魔化してるとしか見れない。

「それもあるかもですね」って言っときゃ良いだけなんだがな。

番組的に紛糾するのが狙いなんだろうが、サユリに聞いたらその先生は権威ある凄い人らしいのだが、リアリスト過ぎて人としての底の浅さを晒してるだけにしか見えんかった。

また、出す方も出す分が中途半端な上、碌な下調べ無しで出してるのが多かったからメッセンジャー足り得なかった。

番組開始10分でチャンネル変えたわ。

ᗷ級(ほぼC級)映画の方がおもろかったわ。


「戦い以外の事がこれ程面白いものとはな。もっと聞きたいのだが、到着だ」


さて、ファミリーのトップとご対面だ。


————————————————————

オマケ


ケイト姉「お?ケイトからメール?どれどれ?ふーん、ほーん。トニー!スクラップの中にこんなパーツあったろー?ケイトから引っ張り出して組んどいてくれーってよー」


トニー「はいさ!えーと?……コレとコレと後コレ……割りと小さいパーツっすね」


姉「4mぐらいだからな。腕部なんか団長ぐらいの大きさだし」


ト「脚部は……なんすかこれ?タイヤ……ローラーか。俺のグーデンにも付いてたな……この図面だとブレーキ無いっすね」


姉「コアレス使う……訳ねぇな。動力は……何気に永久機関じゃね?」


ト「コレの中に流れてる液体、既存の物で配合出来そうっすね……問題は動力を伝えるシリンダーっすね」


姉「おいおい……この大きさで使われてるのオーバーテクノロジー過ぎやせんか?」


ト「同じスクラップのを使えるっすけどなんすか?材料的に食えるっすよね?味はともかく」


姉「どころか使えるパーツ結構多いぞ?劣化してる液体もろ過したら使えるから……この一山で10機以上は作れそうだ」


ト「ガワだけ作って中身移し替えるだけでも良さそうっすよね。何この整備性の高さ」


姉「だが、パイロットの事は配慮されてねーなこれ。機体の大半がコクピットだし、頭部撃たれたら頭ぶち抜かれるぞ」


ト「しかも構造的にローラーで移動したら曲がれねーし」


姉「確か元ネタのヤツだと、足の横にパイルバンカーが着いてて打ち込んで曲がるんだったか?死ぬって」


ト「マッシブアーマー以上にエグい。ほぼ使い捨てじゃねえっすか」


姉「機体、パイロット両方共な?あいつ何考えてんだ?コクピットもシンプルだし。いや元ネタのはあいつから観せてもらった事あっけどよ。現物が目の前にあると頭おかしいのがよーく理解できたわ」


所長「にょうほおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


ト「所長!?」


姉「意味不明な雄叫び上げてどした?」


所「………き」


姉「き?」


所「きゅうおくふりこまれとった。ごーんふぁみりーから」


姉「あー……な?言った通り帰ってきたろ?アホみたいな金額で」


所「おわた……まちがいのぉふぁみりーにめぇつけられた……ほふん」


ト「所長、倒れましたね」


姉「正規の方法だから睨まれるだけだと思うんだがな」


バンマス中佐「ん?何故所長が倒れてる?」


姉「ケイトが稼いだのをやらかしたと勘違いしたんだろ?寝かしとけー」


バ「君等双子がやらかしたり稼いだりすると規模が天変地異レベルなのをいい加減自覚してくれ」



※(ちゃーらーらーらっらーちゃーららっらーらー)人は、戦場に何を求める。

ある者は、ただその日の糧のため。

ある者は、理想のために。

また、ある者は、実りなき野心のために。

雨は汚れた大地に降り注ぎ、流れとなり、川となって常に大海をめざす。

人もまた同じく。

次回「ゴーンファミリー」

集いし思いは果て無き地平を開拓する。

(ちゃんらーちゃん!)


稚拙な作品をお読み下さり有難う御座います&80000PV突破感謝なのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!

海洋都市レヴィア来た段階で章区切ればよかた (;・∀・)

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