8-14 敗走

内部フレームやバーニアなんかは金色なんだが本体はソーンか?遠目には分かりにくいが、背部にあるコの字型の2つのキャノンの威力はなかなかなもんがある。

それにあの脚部。

足がでかい蟲を履いてるみてーに見える。

てか、でかい蟲2匹に乗ってる?


『ケイトさん、あの機体ヤヴァイです。どー見てもスコア上がっていくヤツっす』


そりゃ胸部見りゃ分かる。


「だろうけどよ……アレに乗ってるパイロットが保たんだろ?見た感じスコア1か2だけどよ」


『おいケイト!知ってんだなあの機体!』


「まーな!大分手が入っちゃいるが元の機体ってかネタはな!」


「興味深いわね……今度細かく教えて?」


カレンさんが緊張しながらも聞いてきた。


「脱出できたらっすね」


『対処法は!?』


スコア次第なんだが………。


「数で押す!だが、起動してる以上は3機じゃキツイ!今回は逃げる!」


そりゃね?操縦桿に慣れてる姉貴はともかく、機体がグランドロアじゃないあたいからしたら、あんなん相手できんて。

見た感じ、元の機体用の専用装備が無いからいけそうだが、背部のキャノンに嫌なもん感じんだよな。


『そんなにやばいの!?』


シミュレーターであんだけ動けたモルさんなら追従できそうだが……。


「調子出てきたら1対1サシじゃきつ過ぎる!見てな!」


そっちほどの火力はねーけど!

ビームキャノン2門を片っぽを相手の左に、もう片っぽを相手が避けるであろう右側に放つ。

右側に撃ったのは置きだな。

左を避けるのには右に動くか飛ぶか後ろに下がるか。

盾が無いから防ぐってのは無いし、ビームを避けるには先読みしなきゃならねぇ。

つまり、この撃ち方をしたら大半はほぼ同時に撃った右側に自分から突っ込む事になる。

けど多分……。


『嘘っ!?』


その機体は体を半身にして避けやがった。


『ケイトが言った事が分かった。ありゃ確かにやば過ぎる。DMC使ってた俺等が言うのもなんだがな』


パーメット元素がどうこうってヤツなんだが、スコア2の段階で体動かす感覚で機体が動くってのは、DMCシステムとほぼ同じなんだよな。

そんなのに操縦桿で挑むのはきつ過ぎる。


「そだね〜。でもま、元よりも鈍重そうになってるみてー……はぁ!?」


黒い機体が少し浮いたかと思うと凄まじい速度で突っ込んできた!


「ホバーかよ!」


『速い!迎え撃て!!』


モルさんが手持ち、姉貴がランスについてるビームショット、あたいはそれプラスキャノンをぶっ放すが。


『クルクル回んじゃねーよ!』


「姉貴!スコア2確定だ!グランドロア!胸のシェルユニットは!?」


『めっちゃ光ってるっす!スコア3かも!』


マジヤベー!!

てぇ事は……?

黒い機体のコの字型キャノン2つが機体から離れたー!!


「オールレンジ来る!?」


ソレ、ファン○ルだったのかよ!?

更に背面からヌッと見慣れた巨大な爪が。


「ハイ○ッグの腕まであんのかよ!?」


更に更に両腕をこっちに向けると前腕部、手首下部の一部パーツがガコッとこっち向いてビームサーベルが伸びた。


「それもありましたねぇ!!」


ファ○ネルとハ○ゴッグのビームカノンを撃ちまくりながらサーベルで斬り裂く気かよ!

撃ち返す暇ねえな!


『だったら!』


と、突っ込むモルさん。

接近戦は無理だってえ!!


「姉貴!!」


『防御は任せろ!』


ウイングシールドとフレキシブルシールド2枚の盾まみれな姉貴に防御を任せ、あたいも今思い出した最悪の武装からモルさんを助ける為にフルブーストで突撃!

予想通り相手が虫みてーな足をモルさんに向けた!


『そんな蹴りが……』


「させるかぁ!!」


モルさんに体当たり気味にぶつかると同時に、相手の虫型の足先からぶっといビームが放たれた。

ですよねー!!

ついでに左肩が爆発したー!!

けど止まってられん!!

やけくそ気味にビームキャノンで相手の足元を撃つと勢いそのままにブーストで離脱!

建物同士を繋ぐブリッジでもある足元をあたいが撃ったから、黒い機体は足場を無くして最下層にまで落ちたが……。


『ちょっ……何今の!?って無事!?』


「……なんとかなー」


とは言え中佐とカレンさんが。


「我々も無事だ……グッ」


「あなた!……今ので頭をぶつけたみたい」


こりゃヤベーな……実のところあたいもちょいとやばい。

今の衝撃で頭と首が痛え………。


『バイタルピンチっす!相手が最下層に落ちた今の内に離脱っすよ!』


「わ、分かった……」


『ケイトさん!操縦代わるっす!』


おー……グランドロアが代わってくれんなら助かるわー……やべ、意識が……。









「んはっ…………」


知らん天井n回目……。

見た感じ寂れた建物の一室。

周囲の壁も工場の事務所。

結論。


「鉄錆団の事務所か休憩室?」


「その通りやで」


その声に顔を向けると、糸目のチャイニーズ?いやジャパニーズか?何処にでも居そうな30代?くらいのおっさんが。

なんか、南部訛が強いな(翻訳機を通してケイトには英語に聞こえてます)


「あんたは?」


「そういや顔ぉあわせんの何気に初やな。鉄錆団所長のカドクラや」


これはこれは所長さんで………?


「団長がトップじゃねーのか?」


「あはは、よー言われるけど、彼は実働のトップで社としてはワイがトップや」


「社長じゃなくて?」


「元々鉄錆団は別ん所に本社があったんやけどな、まーその本社が潰れてもーて、何故か支部のウチだけ残ったから、実質ワイがトップなんやけど。そん時の名残でなあ。せやから所長」


ほーん。

ま、呼び方はいいや。


「で、此処に居るって事は逃げきれたんだよな?」


「せやね。データ見せてもろたけど、負傷者2名て済んだん奇跡やで」


「でしょうねー」


なんせ、人と同じ速度で動く巨大兵器だからなー、洒落になんない。


「あの動き、速度もやけど何処か機械的な動きは間違い無い。中央政府軍親衛隊特務部隊ドールズや」


ドールズ?


「なんそれ?」


「知らんのかいな!はぁ……ええか?ドールズっちゅうのはな?こっちの世界に転移してきた奴等や犯罪者を集めて洗脳処理施した部隊のこっちゃ。洗脳されとるから命令違反なし乱れなしの無し無し尽くしで、正規の軍より強い。更に機体の方が貴重やから、いざとなったらパイロット自身が飛び出して自爆特攻してくる。機体はオートで帰還やな」


それあかんやつやん。


「まぁ〜いくらでも替えの効く精鋭部隊やな」


「だからか〜。スコア3確定だったしな〜」


「なんやそのスコアて」


えーと確かパーメット元素を鉱石から取り出して、様々な技術に伝達物質として使うんだったか?人体にも流用できる。

んで、パーメット1個1個が情報の伝達・共有するから、少量でインフラだとか医療・介護分野で絶大な効果を出すけど、量が多くなるロボットに組み込むと一定量を超えた段階で影響が出だして最悪死に至る。

簡単に言えばこんなとこ?


「その元素だか粒子だかの量の基準値がスコアっちゅう訳やな?ほんで、3っちゅうのはどんなもんなん?」


「先ず1は問題無い。ふつーに使うのと変わんねーから。2の段階でパイロットの視野と四肢操作が機体と同調する。つまり人と同じ柔軟な動きができる。ミリ単位で照準つけたりなー。3で自立機動兵器はAI制御するかパイロットが別枠で操作するかなんだが、それを思考だけで操れる。この自立機動兵器の欠点は小型だから推進剤が少なく、姿勢制御のちっちゃいブースターしかない。宇宙で使う前提だからな。地上じゃ使い難い……はずなんだが」


「パーメットはそれが無い?」


「アニメじゃ何で飛んでんだか不明な上に使ってたな」


パーメット粒子で飛んでんだろうな多分だが。

問題はそっから先なんだが、まー気にしなくていいだろ。


「そないに強力やとデメリットも有るんちゃうん?」


「3あたりから情報の逆流現象が起きる。精神や肉体が保たなくなって心臓麻痺とかであの世行きさ」


「えっぐいな〜……とは言え2の段階で洒落にならへんな」


それよりもあたい的には対抗する為の機体の方が問題なんだが。

明らかにダンチな性能の相手に対抗するには手数がいる。


「それよか、あたいの機体は?」


左腕吹っ飛んだまでは覚えてるんだが。






「あー……これは」


格納庫までやって来て分かった。

爆散して無くなった左腕。

その爆発で破損した胴体。

上部からの爆風でガタついた左股関節。

後ろに回って……少しメゲたバックパック。

メゲた事でひん曲がって、あたい等を外に出す為に引き千切られたコクピットハッチ。


「大破だな!」


————————————————————

おまけ


サユリ「なんとか戻りました」


グレッグ「戻ったか。それで成果は?」


サ「こちらが次元転移システムの設計図になります」


グ「おお!」


サ「しかし、いくつか問題が……」


カリン「言って」


サ「動力に魔力が必要なんです」


グ・カ「は?」


グ「使えねぇな」


カ「この辺りの宙域に魔力ある惑星、無い」


サ「はい。ですので、エリジウムマテリアルを代替として使うのですが、物が違い過ぎて1から設計を見直さないといけないんです……」


グ「まあ……持って帰ってきてくれただけでも有り難い。しかし、このシステム、作るのが骨たぞ……軍の中枢のメインコンピュータと同規模の物を作らなきゃならん」


カ「プログラムもアタマオカシイレベル」


ポポルポット「艦長。少し見せてくれないか?ふむ……ピフピヘット、どう思う?」


ピフピヘット「これは……ここのプログラミング辺りから書式が変わってる気が」


ポ「正解だ。ここまでは基本みたいだが、この先に進むに連れ書式が変わってる。なんと言うか……ポエム?」


ピ「この部分に至っては言葉で遊んでるような似た単語の繰り返しで構成されてますね」


ポ「ふむ……構成的には各ネットワークのバグの仕分けみたいだな。なになに、「あなたはこっち、君はあっち、ぶつかる君達アッチッチ」?」


ピ「こっちは……「転送開始、転移開始、転生開始で七転八倒、振りかぶるバットで悪党倒そう」?」


サ「あ、そこは「バッドガイズ」だそうです」


ピ「あぁ〜八倒とバットとバッドをかけてるんですねー」


グ「ざっけんなや!!なんやねんそのプログラムは!驚きすぎて訛ったわ!」


サ「うちの協力者がスミマセン……」


ポ「まあまあ艦長。ふざけてはいるが使われているのだろう?」


サ「はい。実際、地球から30光年離れた魔力ある世界と繋がってます」


ポ「ふむ……ならばこの装置を作れれば我々もそちらと繋がるな」


グ「なんだと!」


カ「その惑星行きたい!てか今すぐ行く!」


グ「先ず作ろうぜ。それと、ケイト姉妹の救出が最優先だ。ポポルポット、その装置が完成した場合、どれほどの規模の人員や設備を送れるか分かるか?」


ポ「作ってみなければ分からんが、図面通りなら人1人ずつ。エリジウムマテリアルを増設すればMA数機か?」


グ「だったら、先ずグランドロアを送りたい。その方が1人ずつよりも安全面が上だ」


ポ「了解した。最終的にはエンハンブレⅡで良いな?」


グ「それで頼む。軍に渡すと何しでかすか分からんからな」


カ「しばらくは身内のみ。言い訳は危険性があるから」


グ「それでいこう。全社員総出でやるぞ!!」


※(ちゃーらーらーらっらーちゃーららっらーらー)かつて世界を滅ぼした大戦があった。

大空の覇者達は大地に堕ち、大地も穿つ王者達も地にひれ伏した。

永劫とも思える時を過ぎ、全ては夢の跡と化した。

翼を失くした天使は、大蜘蛛への対抗手段として夢の跡から未だ潰えぬ不屈の魂を探す。

次回「発掘」

夢の先で出逢うは、神か悪魔か。

(ちゃんらーちゃん!)


稚拙な作品をお読み下さり有難う御座います&70000PV突破感謝なのだ!

更新遅くて申し訳無いのだ!

その分、文章量は増えてるのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!

中佐の機体、アレにしよう………


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る