8-13 蜘蛛
エンジン全開で合流ポイントへと向かうあたい等だが……おっさんどんだけ飛ばしてんだよ!全く追いつけねえ!
いや、良いんだけどさ。
「これいいな!バズーカで空飛べるのは!」
「長距離には向かないがな!!追いついた!」
と言うか到着した。
たかだか300mだしな。
中佐達は降りて周囲を警戒してるな。
「なんだそのバイクは?何処で入手した?」
「自前っすよ。それにコレはバイクじゃなくバズーカっすよー。ついでにアサルトライフルにもなる」
シュパッとライフルにチェンジするとカレンさんの目が輝いた。
「なんて技術なんだ……ありえん」
「良いわね、技術者として興味があるわ」
宇宙の技術っすから〜。
そん時、端末のグランドロアが叫んだ。
『整備班が足止めを食らった!?予想より展開が早い!?合流ポイントを駐車場に変更、少しだけ籠城戦ヨロです!中央にいる整備班の援護をするっす!』
駐車場にか……パッと見で一般市民が少ないのが見えたから被害抑える意味でもそっちに変えたんだな?
「中佐!駐車場に変更!迎えが来るまで応戦する!」
「了解した!皆もう一度乗れ!」
全員がバタバタと車に乗り込み、あたいと姉貴はもう一度バイクモードのアジ・ダハーカにタンデム、百貨店外の立体駐車場へ。
「グランドロア、何階だ!?」
『出来れば最上階に!流石に4機分の制御は動きが単調にぃ!』
こいつ、1人で4機分操ってんのかよ。
てっきり自動制御に働きかけてんのかと思ってたら、割りと無茶してたな。
「サブのサブ作って応戦しろ!出来んだろ!」
『その手があったか!………ふう。大分楽になったっす』
宇宙でも屈指のAIなのにたまに抜けるのはなんでなんだか。
笑えない冗談だ。
『まー、機械生命体としては禁忌らしいんすけどね』
「際限無くなるからな。向こうに帰還する時に纏めるかしてバレなきゃ良いだろ」
『……消せとは言わねーんすね』
「後々役に立ちそうだしなー。統合も出来んだろ?だったらバグが出ない限り置いといても大丈夫だろ」
『了解っす。あ、整備班、輸送機で脱出したっす。1機だけ護衛につかして3機でこっちに向かうっす』
「あいよ。こっちももうすぐ最上階だ!」
つっても1個下で止まるがな。
流石に上空からの攻撃が怖いからな。
ハンドサインで中佐に止まってもらい此処で待つ事に。
「ケイト、俺は道路側見とくから上か下見とけ」
「じゃ、下見とくか。姉貴よろー。中佐と少尉は上の階からを警戒よろ。カレンさんとメイサさんは横からを警戒してて。モルさんは2人をよろ」
「了解した。少尉」
「ハッ!」
これで一応四方は警戒出来てるな。
後は相手の特殊部隊次第かな?
ピュイッと口笛が鳴り、姉貴がハンドサインで下から部隊が左右に展開、上?腕ブンブン回しだからヘリか!
「中佐、下の部隊が左右展開、降り口と昇り口からの挟撃狙い。ヘリで上からも」
「なら降下部隊が先に来るな。手間取っていると下からの部隊ですり潰されるか。定石なら道を潰して絞った後一点突破だが」
普通ならそうなんだが……こっちの勝利条件は迎えが来るまで耐える事。
その為には相手を一点に絞るのが最も楽。
うん。
「姉貴!戻って!みんなも!」
こっからはタイミングが重要。
下手すりゃ降下部隊とガチンコだが。
耳を澄ます………丁度真上に来た!
最上階に居なくて良かったー、居たら上空から撃たれまくってたぜ。
「確か手持ちに……あった!」
こう言う時に物品を量子化して保存できる端末は便利なんだよなー。
取り出したコイツのセンサーセットして……屋上階からの降り口近くにぽーい。
「姉貴ほい。モルさん達も」
「おう……ほーん。大体分かった。俺もそうするな」
「何よコレ……地雷?」
「スイッチ入れて敵が近付かない限りは、ぶん殴っても放り投げても何故か爆発しない意味不明な地雷ー」
しかもスイッチ入れてても、投げたぐらいじゃ爆発せず、スイッチ入れた段階で使用者登録されるのか使用者が近づいても爆発しない……何だこれ?再利用出来るのは有り難いが。
多分中身C4みたいなプラスチック爆弾だと思うのー知らんけど。
「本当に君等の技術はどうなっているんだ…」
カレンさんの目が怖い事になってるが今は放置と言う事で。
「姉貴」
「おう、ヘリは1機だけだったぜ。俺等を舐めすぎだな」
「全くだ。姉貴はどう考える?」
「俺ならこうだなー」
「あたいはこうだなー」
「「なら折衷案で」」
「……端から見たら子供が地面にお絵かきしてるふうにしか見えないのに、書いてる内容が特殊部隊を叩き潰す内容なのが笑えないわ」
モルさんうっさい。
ともかく、迎え撃ちますか。
しん……と静まり返った駐車場。
その中で屋上階からの降り口と昇り口にわずかにだが複数人の影。
そろそろか?
ドゴンッと降り口でさっき投げた地雷が爆発!
降り口側から来たか!
反対側の地雷は……中央政府軍、がんば。
「中佐今だ!!」
中佐がエンジンを掛けると後輪滑らせながら降り口側へ吶喊!あたいもアジ・ダハーカをバイクモードにチェンジさせつつ姉貴と共に飛び乗って加速!
特殊部隊、完全に足止まってんなー。
「オマケだ!」
地雷と車両の爆発で動きが止まった特殊部隊に対し、姉貴がグレネードをばら撒く。
バババンッと爆発すると同時にバッチバチと音が聞こえた……姉貴、今プラズマグレネード投げた?
「対機械生命体用プラズマグレネードとEMPグレネードだ!そこで痺れてな!!」
姉貴よーしゃねーなー。
EMPまで使ったから相手の通信機ぶっ壊れたろうなー。
ともかく、時間は稼げるな!
『後、3分で到着しますので耐えてて下さい』
「カップメン作れても食う時間ねーな」
お湯を沸かす時間もないが。
後ろは警戒してるだろうが真っ先に来るはず。
駐車場中央に陣取って中佐達には昇り口側を警戒してもらう。
「アジ・ダハーカ最大出力!」
バズーカで天井崩せば問題無い!
ドンッとエネルギー弾を天井に向けてぶっ放すと、天井に当たるなり半径5mのエネルギーの球体が出現した。
「……ほえ?」
エネルギー渦巻く球体がうねりを上げて内部を焼き尽くしスンッと消えた………。
わー、てんじょうきえたねー。
唖然としつつ目線を感じて目をやると、めげずにやって来た特殊部隊さん達数名が。
「…………」
「…………」
あ、武器をその場に置いて土下座しだした。
「………か、帰っていいと思う……よ?」
数名の特殊部隊さん達が勢い良く顔を上げると笑顔のまま後退りからの全力バックダッシュで帰っていった。
敵前逃亡は重罪だろうに……でも口裏合わせて乗り切ってね(はーと)
「今のはねーわ」
「あたいもそう思う」
これは……もう一つの全力とアサルトライフルであるファフニールの全力見せたら完全撤退すんじゃね?
「お前等の世界どうなってるんだ!?あれでないと勝てない化け物でも相手してるのか!?」
中佐が叫んだが、言いたくなる気持ちは分かる。
「ち、地域によって…は?」
実際、ニコイチにするのに苦労した分、威力自体は弄ってないんだよな……。
つまり、この過剰な威力は元々の素の物と言う事………。
「あー……勘違いしてるようだが、バイオウェポンってのは持ち主の力量で威力が変わるから、ケイトがそんだけ強くなった証拠だ」
姉貴マジで!?
「実際俺のもヤベー威力があるから、通常の実弾も持つようにしてんだ」
新しい端末に変えてからは実弾はそっちに入れてんだと。
あたいもそうしよう……個人で持てる銃器の威力が局地的反応兵器を超える銃器なんて危険極まりないからな。
通常兵器も必要かー。
と、運良く(悪く?)時間が稼げたから、あたい等の機体が見えてきた。
下の特殊部隊もそれに気付いたみたいで、ダッシュで向かってきたが……。
「じゃ、今度は俺だな!」
姉貴が嬉々として自前のバイオウェポンを展開しだした。
へー、姉貴のは機械っぽいんだなー…って!
同じバズーカ!?カタログで見たバイオウェポンの中でも超高級品のヤツ!?
「おっとり刀で駆けつけてご苦労さん!ほーらよ!」
ドンッと姉貴が撃つとエネルギー弾が上空へ飛んでいき、パーンと弾けて地面に降り注いだ。
クラスターだと!?うわー……エネルギー弾の雨えっぐー……降り注いだエネルギー弾で辺り一面、車も地面も穴だらけ………。
あ、地面が崩落した。
敵さんだけじゃ無くあたい等全員が震え上がる中、姉貴だけが「クカカカ!」って笑ってた。
怖えーよ。
知らずに撃ったあたいよりヤベー。
と、姉貴以外がガクブルしてると、あたいと姉貴、それとモルさんの機体が到着、特殊部隊達がどうぞどうぞと促す珍事の中、機体に乗り込んだ。
特殊部隊達とドンパチするはずだったのに。
『ともかく脱出すっぞ』
『ハ、ハイッ!』
モルさん畏まっちゃったよ。
しっかし、狭いな……。
あたいの方に中佐とカレンさん夫婦と、姉貴の方にヘンリー少尉とメイサとチビ共がそれぞれ乗ってる。
手に乗せても良かったんだが、そんな状態でドンパチする事になったら洒落になんねぇからな。
『!後方より砲撃!』
グランドロアの声に咄嗟にウイングシールドを後方に向けると、2発のビーム!
パァンと弾けて消え、事なきを得たが……アンチビームフィールド付いてなかったらやばかった……何気に結構な威力じゃねーか。
ジョイント部分ぶっ壊れるかと思ったぞ。
『何よ、あの機体……』
中央政府の塔の下、格納庫とは別の場所から突然現れたのは黒い機体。
人型だが……脚部が蟲っぽい?蜘蛛?
大統領、何隠してんだ!?
————————————————————
補足
宇宙軍における地雷等爆発物技術
人類史において手榴弾や地雷の技術は、戦争と切っても切れない技術であり、様々な種類が開発されている。
その中でも宇宙軍内で使用されている物はより高性能かつあらゆる状況に対応できる物となっている。
種類としては、通常のフラグメントのみならず、光と音のフラッシュバン、対電子機器(機械生命体)用プラズマ、瞬時に凍らせるフリージング等がある。
手榴弾自体の技術は中身以外は現代と大して変わりがない(変える必要性がない)為、運用時の安全度ぐらいしかないが、地雷は様々な面において改良が施されている。
その際たるが安全面であり、本編でもあったように簡単には爆発しない。
仕組み的にはC-4(軍用プラスチック爆弾)とほぼ同じであり、起爆用の雷管を刺し通電しないと爆発しない。
その為、スイッチが入り起爆する前に雷管を抜けば解除が可能であり、その仕組みを地雷として応用している。
また、センサー式であるためスイッチさえ入れていれば踏む必要はなく、設置式時限爆弾としても使用可能であり、ケイトが車の下に放り込んだのもそれを応用したものである。
なお、中身を噛んでも有毒性は無い。
派生としてマテリアル(小型反応兵器級)、空間圧縮、消炎、燃焼、マヒ、睡眠等がある。
※(ちゃーらーらーらっらーちゃーららっらーらー)人は必ず誰かを思い描き行動する。
それは愛であり信頼であり願いであり。
怒りであり疑念であり憐憫であり。
例えどんな思いであっても行動するに足る理由になる。
次回「敗走」
それが妄執であったとしても。
(ちゃんらーちゃん!)
稚拙な作品をお読み下さり有難う御座います&70000PV突破感謝なのだ!
ストックがもう無いから毎日更新は出来なくなってるのだ……出来次第上げるのでまったり待っててもらえると有り難いのだ!
少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!
そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!
中佐の機体なんにしよう………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます