8-11 勧誘

まさかのガイアブラスターから飛び出してくるとは!

このままならぶっ刺されるが。


「アースウォール!」


『そこまで再現しろと!?やってやるです!』


肩に内臓してる使い切ったミサイルコンテナを外へ緊急排出し、右手を伸ばし土石術式で四角い鉄壁に変える。

グランドロアやるぅ。


『嘘っ!?』


ザクッとアースウォールが刺された……割りと硬くしたのに……ちょいショック。


「あっぶねえ危ねえ。なぁんて切れ味だ!」


『ちょっと!何よ今の!』


術式なんて知らんわな。

けどま、ここまでやるとは思ってなかった。

俄然やる気出てきた!


「惜しい!もうちょいだった!残念!」


『この……ふざけてんじゃないっ!!』


大真面目でんがな。


「ふざけてんじゃない、煽ってんだよ!」


『余計質悪いわよ!真面目にやんなさい!』


「良いんだな?」


『はあ?』


ではお言葉に甘えて。


「マジ中のマジで行かせてもらう!」


今出来るフルスペックで行く!!


「踊れ!Dancing Sword!」


さっき作った壁を2本の剣に変化、自機に纏わせる。


『壁が剣に!?』


「こっからは……あんたはコンティニュー出来ないのさ!!ホーミングブラスター!マルチミサイル!」


全弾でもって包囲!


『ちょっ!避けきれ』


次々と飛来するビームとミサイルに躱しきれず遂に被弾!

だが、ここで終わりじゃないぜ!


「フルブースト!」


最大速度で駆け抜ける!

こないだの巨人用に考えたコンビネーションを食らえ!!


『くっ……機体が……何?光が』


「Comet witch Strike!!」

『彗星だぁぁぁぁん!!』


アースソードと合わせて4分割!

更に通り過ぎてから振り向いてのー………!


「『ダインスレェェェェェェイブ!!』」


フルチャージではないが、ビームフィールドをそのままダインスレイブ用に転化、巨大な剣にして相手を断つ!!

普段、最大出力ガイアブラスター以外では余りまくるエネルギーを同等に消費するのが欠点だが、単体用、特に巨大戦艦相手には切り札になる必殺技だぜ!!

ビーッと音が鳴ってこっちの勝利と判定された画面が出てきた。


『いや、おま、やり過ぎだ』


「いやだって姉貴、真面目にしろって言うから。これでも手加減してたんだぜ?」


『どこがよ?』


「アースソードの数が2本!本来なら10本なんだぜ!」


『どこが手加減だよ。そんな事より外見てみ』


モニターで外見ると、中佐や整備班どころか兄妹まで唖然としとる。


「………あたいなんかやっちゃいました?」


『ここでベタなセリフ!』






「本当に君等は何なんだ………」


「何って……なあ?」


「ケイトはやらかし過ぎるが、近い将来、あれぐらい出来ても勝てるかどうかな奴等を相手にしようとしてる軍人だ」


そーなんだよなー、敵本隊が来たら10億は居るミ=ゴ相手に地球奪還しようって言ってるからな。

まだ足りんかも。


「何を相手にしてるのよ……」


モルジアナが妹のメイサに支えられながら降りてきた。


「そこは秘密。他次元の人等巻き込まねぇ為にも知らん方がいい……いや、知っといた方が良いのか?」


「アイツ等の科学力なら単独で次元越えてきそうだしな。そうなったら言わなかったせいでこの世界の住人が消えましたって後味が悪る過ぎるぜ。グランドロア、この格納庫内のセキュリティはどうなってる?」


『シミュレーターのデータを流出させない為にダミー撒いてますです』


「だったら……元統合銀河混成宇宙軍第426独立遊撃部隊フェニックス隊所属、現多目的混成混合運送会社エンハンブレ所属ケイト・アーカイブ中尉として現中央政府アロガント直属バンマス・モア中佐に要請させていただく」


へぇ~エンハンブレうちって今そう言う社名なんだねー………やべ、知らんかった。


「お…我々が飛ばされてきた、また、モルジアナ殿のような別次元からも来ている。これは偶然であれ奇跡であれ、まだ我等が技術として確立していないだけで自在に次元を渡れる技術がいずれ出来ると言う事。そして我等の次元でその技術を既に持つ可能性がある奴等が存在している」


「何よそのトンデモわ。そんなのある訳」


「無いとは言わさんぞモルジアナ殿。現に出会うはずの無い我々がこうして居る。これが偶然ならともかく、意図的なら既に互いの次元は窮地に陥っていながら気付いていない事になる。なら、我々が協力しあわなければ次元を渡った真相の解明も帰還も叶わない」


流石姉貴、公式の場での啖呵切りはかっけー。

あたいにゃ無理。

軍人としての口調出来ねえもん。


「では……要請内容は元の次元への帰還の為の協力要請、で良いのかね?」


「今の所は」


「ではこちらからは計画への参加を要請する」


「了承した。我々エンハンブレは貴殿の味方となろう。グランドロア」


『証拠映像録画したっす。帰還後艦長に提出します』


「さて、此処に居る整備士諸君とモルジアナ、メイサ両名はどうする?」


「どうって?」


「エンハンブレ…だったか。彼女達と私に協力すれば元の次元に帰還出来る可能性がある。整備士諸君等は次元を渡る技術を獲得できるやもしれん。断ってもらっても構わない」


「……メイサはどう思う?」


「1つ確認が。中佐の仰った「計画」とは?」


おー、流石に気になったか。

まあ?聞こうが聞くまいが既に包囲網は完成してるのだがな?


「なに、大した事ではない。現中央政府に反旗を翻すのさ」


中佐が事も無げに言い放つと整備士達から怒号のような歓声が挙がった。


「中佐!ついに!」

「流石中佐だ!!」


「ちょっ!何が大した事ないよ!!クーデターじゃない!!」


「革命と言ってくれ。支配層の内部闘争では無いのでな」


「あんたも支配層じゃないの!!」


「私は元平民だ。それに私はレジスタンスの協力者ではあるがリーダーでは無いのでな」


「じゃあ誰よそのリーダーは!」


「教えられる訳がないだろう?」


「ったく!あー!もー!!乗るしかないじゃない!!」


クケケ。


「とか言って、割りと乗り気なんじゃね?」


「そうよ!これじゃ道化じゃない!」


「姉さん、仕方が無いわ。面と向かって話せる内容じゃ無かったし」


よーし、パイロット2人ゲトー!

鉄錆団のメンツ入れてかなり頭数揃ってきた。

とは言え、それでもまだ少数。

仮にも一国の軍を相手にするんだ、もっと数が必要だ。

それこそエンハンブレぐらいの戦力が。

…………この中央政府相手の場合過剰過ぎる気がするが。


「そんで中佐。いつ決行すんの?もう決めてんだろ?」


あたいの問いにあたいと姉貴、中佐本人以外に緊張が走った……そら、政府に尻尾振ってるわんわんおが何処に居るか不明な状況で中佐と姉貴が密約?したんだ。

ならば、大まかな段取りが決まってると考えた方が自然だ。


「そうだな……まだスラム側との交渉が出来てないが、早ければ3ヶ月後、遅くとも半年以内には行動を起こす予定だ」


う〜ん……ちょい遅くない?


「えらいゆっくりな気もするな。1〜2ヶ月くらいで出来そうだが」


「外の連携がな。野盗等が多くレジスタンス側の戦力が集まらん。それどころか中央政府…大統領と癒着してる街もある」


「てなると中央政府以外に存在する勢力が問題になるか。手前勝手な勢力もあるだろうし、変な宗教団体とかもいそうだな」


「ケイト君……いつこの世界の情勢とかを調べたんだ?全くもってその通りだ」


やっぱなー……。

あたいの好きなゲームの設定と良く似てるってか、ポストアポカリプスだと大体そうなるんだが……まぁあっちは反応兵器が落とされた後のボストンが舞台なんだが。

そう考えると中佐に拾われてなかったら姉貴と2人、リアルであのゲームやんないといけなかったんか。



……ちょいやりたかったかな?


————————————————————

補足


クーデターと革命の違い(教えてケイト先生!)

姉貴と中佐の交渉後

モルさん「ケイト……だったかしら、少し良いかしら?」


ケイト「あいよ、どったん?」


モ「恥ずかしい話なんだけど……クーデターと革命の違いって分かるかしら?」


ケ「まぁ簡単には」


モ「教えてもらえないかしら。よく理解できてなくって」


ケ「え?じゃあさっきはノリで返してたん?あんたも支配層のーって」


モ「そ、そうよ!知らないんだからしょうがないじゃない!」


ケ「うわー」


メイサ「我々も通常の教育は受けてるのですが」


ケ「そっちの教育体制がどうなんかは知らんけど、学校で教えるもんじゃないしなー。しゃーねー、んじゃま、簡単に」


モ・メ「お願いします」


ケ「まず革命なんだけどよ。これは現状上の体制に下の市民が不満を持って「かえてやるぞー!」って起こすのが革命で、大体、上が独裁政権してたりする。んで、暗殺されそうになってた王子様とかを中心に反旗を翻すのがよくある物語だな」


モ「ふーん、じゃ、その王子様役が今回は中佐さんって訳ね?」


ケ「まぁそうなるが。ただ、革命の場合、起こした側の政権になってからが大変で、重税だったのが調べてみたら国力自体が無くって、倒した王様が上手くやっててソレだった、とかあって結局新政権でも何も変わらないどころか悪化する場合もある」


モ「意味無いわね」


ケ「国の運営なんて素人が出来るもんじゃないからな。革命起こす側も市民運動から始まってるから、優秀な政治家なんていないしな。とは言え、たった一人で自国を独裁国家に作り変える悪魔みたいな奴もいるがな」


みんな知ってるちょびヒゲのおっさんだな。


ケ「次にクーデターだが、これは言ってしまえば政治家同士の内部抗争だ。定義としては暴力的手段で行うって事なんだが、例えば邪魔な政治家に対し完全包囲で従わざるを得なくするってのもクーデターだし、軍人中心のクーデターで内戦に発展したりする。今回のも中佐の立場からみたらクーデターだなー」


モ「じゃあ合ってたんじゃない」


ケ「合ってはいるがイメージてきなもんかな?中佐が始めた事じゃなく、軍人でも政治家でもない別の誰かだから、そういう意味では革命だし、事情を知らずに見たらクーデターだし。だからどっちも正解」


モ「歴史的に見たら革命になるんでしょうね」


ケ「事情知らない整備士達からみたらクーデターだなー」



※(ちゃーらーらーらっらーちゃーららっらーらー)何かを成そうと決める時、辿る道程は無数にあり、常に最良の選択肢を人は選び続ける。

右が正解か左が正解か。

天使達の導きが希望となるのか絶望となるか。

次回「脱出」

正解、そんな物有りはしない。

(ちゃんらーちゃん!)


稚拙な作品をお読み下さり有難う御座います&70000PV突破感謝なのだ!

ストックがもう無いから毎日更新は出来なくなってるのだ……出来次第上げるのでまったり待っててもらえると有り難いのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!

中佐の機体なんにしよう………

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