8-6 フルクロス
「ふむ……そろそろか。君達の事だ、セキュリティはサポートAIとやらで完全なのだろう?」
「クソを垂らす口を塞げない超VIPルームへようこそ、中佐。外の事は丸聞こえ、中の音はライブをやっても聞こえませんよ」
「そりゃあ良い!!ではポイント119に向かってくれ」
「あいよ……そっちになんかあんの?」
「……同窓会の会場さ。ところで、君達との付き合い方が少し分かってきたのだが、まだ名前を聞いてなかったな」
そういやそうだったな。
「ケイト・アーカイブ。2人共な?」
「同じ名前なのか?」
「そ。宇宙で偶然出会った同姓同名、しかもマジで姉妹。詳しく言うとだ……」
中佐なら話しても大丈夫だろうな。
「ふむ……それは本当に偶然か?信じられんな」
あたいもそう思うぞ。
「ならば我々に協力してもらった後、そちらへの帰還方法を探すのに協力しよう」
「アザッス!」
協力者が出来たのはおっきいな。
どんな世界であれ、来る事が出来たのなら帰る事も出来るはずだ。
さて、もう直ぐレスキュー呼べそうなポイントなんだが……お?新たな機影?
「識別コードは……フルクロス!?冗談だろ!!」
海賊仕様の機体じゃねーか!
ポイントにでかい剣……ザンバーをぶっ刺して立ってるが………。
「アレか?同窓会の相手は?」
「そのはずだが……」
あたい等が近づくとフルクロスが飛び上がると同時に引っこ抜いたザンバーを叩き付けてきた!
「やべっ!ランス!」
咄嗟にウイングの内側にマウントしてたランスで迎え撃つ。
重てぇ!機体と同じぐらいのでかい剣だからか質量が有りやがる!
だが、これなら!
「バァルカン!ついでにランチャー!」
牽制用のバルカンとバックパック搭載型のランチャーの1つをぶっ放すが、前面部のクロスで弾かれた。
かってーなー!
「やっぱビーム対策有るよなぁ!フルクロスだもんなあ!!ランスショット!」
このランスはビームガンでも有るんだぜ!
当然、弾かれんだがな。
たが、この機体の欠点は知ってる。
「ランチャー!ついでにファ○ネルランス!」
この槍は自律機動兵器でもあるんだぜ!
よし!回避行動取り始めた!!
しょーじき、使いたくは無かったが……意表を突くならこれしか無え!
「シールドビーム!!」
ウイングを可動させ、特定の形を作って押し付ける。
「fire!!」
ビームではあるのでかき消されているが、勢いで盾ごと地表まで押し込む…………ハート形のビームで。
これ作った奴アホだろう………。
あたいは自律機動していたランスを掴むと、地面に押し込まれたフルクロスへと突き立てる。
「そこまで!!」
ビタッと止める。
もうちょい遅かったら胸の髑髏にぶっ刺してやったんだが……。
「もういいだろうクルツ」
『……ああ。十分だ』
低い低音ボイスが聞こえてくる。
イケオジな声だなー。
その時、ズドンと音が響いた。
『………クソッ』
今度は若いな。
振り向くと前に見たスト○イクベースの機体を姉貴の機体が踏んづけてた。
『団長!?』
『おいおいマジか!?リューはともかく団長まで負けたのかよ!?』
女性とチャラい兄ちゃんの声だ。
女性の方は……ディープアームズか?
兄ちゃんの方はまんまザ○。
溶接跡がありまくるからジャンクの再生品か?
見るからにお仲間だな?
全機同じマント着けてるし。
「おっさん、試したのか?」
「いや、顔合わせのつもりだったんだが」
『俺がその機体の性能を見たかったからだ』
ほーう?
「じゃあおメガネには適ったのか?」
『予想以上にな。機体性能よりもパイロットの腕がいいと判断した』
そりゃどーも。
「だったら、そこのディープアームズのキャノンを引っ込めてくれんかいの?避けて撃墜したくなってくるぜ?」
ずっと狙ってるし。
団長さんもろとも撃つ気かな?
『アンジュ』
『しかし!』
『止めろと言っている』
『………了解』
やっとロックが外れた。
これでやっと……
『まだだ!!』
おっと?どう見ても主人公機のパイロットは諦められてねーみてーだな。
機体フルパワーで姉貴を押し退けて起き上がろうとしてる。
『ハイハイ、ヒヨッコ新兵は大人しく寝てましょーねー』
姉貴が更に機体を押し込む。
あの主人公機体、パワーあるはずなんだが、動けなくなってるな。
ウイングの分重量増えてっけど、あたい等の機体はそこまで重くないはずだから、姉貴の機体重量の掛け方が上手いんだろうな。
『……俺はまだ……負けてない!』
諦め悪いなー。
『しゃーねーなー、ほれ立てよ。揉んでやるから掛かってきな』
あ、やべ。
姉貴の教官スイッチ入った。
そっからはもー見てて可哀想になるくらいフルボッコタイム。
主人公君が立ち上がりフルブーストで突撃パンチを放つと。
『ストレート過ぎる。相手がどう動くか予測しろ』
カウンターでソバット……姉貴、操縦桿でどう動かした?格闘プログラム入ってねーだろ?
次に回り込んで横から殴りかかると。
『直角過ぎて草。足元見えてないだろ?』
軽く後ろに避けてすれ違いざまに足引っ掛けて転ばす。
転んだ状態でフルブーストで突っ込むが。
『打点が上過ぎ』
パンチを掴んで上に上げ、腕を後ろに回しフルブーストの勢いを使ってそのままに回す。
すげー……機体ってバク宙するみたいに1回転するんだ。
『ほら立てよチェリーボーイ。まだクソ虫の方が根性あるぞ。そうか、わかったお前はクソ虫以下なんだな』
『ク、クソッ……!』
『クソを垂れる前に立てよドサンピン。ピクニックにでも来てるつもりか?そんなにママのランチが楽しみか?』
あー……コレしばらく続きそう。
その間にこっちはこっちで進めとくかー。
『そんなに地面ばかり見て何かあるのか?虫さんの行列でも見てるんでちゅか〜?あ、それとも俺にサーフィンを提供してくれるのか?良い季節になったな』
こっわ。
————————————————————
ほそ…オマケ
その頃のDMC小隊
エンリケ少佐「これより定例会議を行う。先ずは各方面の状況から」
ムラノ曹長「では昨日の演習でありますが、各防衛隊及び警備隊のレベルですが、概ね上昇傾向にあり、先の戦いを模したシミュレーションにおいてもケイト殿が居なくても勝利する事が出来るとなってます」
ボボンボ軍曹「続いて機体性能なんだな。改良を加えた事で第一宇宙速度に到達するのが0.5秒早くなったんだな。他のピアース装備機も同じく。これについては技術班が少し暴走気味で全機改良したからなんだな」
エンリケ少佐「技術班については……何も言うまい」
タミー軍曹「はいはーい!次、個々の兵士のレベルだよー!ケイトさんのお師匠であるリー先生とドボルグさんが直接指導して、実践のみならず皆でアクション映画作れるってさ!」
エンリケ少佐「映画作ってどうすんだ……」
タミー軍曹「希望者には演技指導もしてるってさ!でも、1番はリックさんとリー先生の組手だね!もう何やってるか分かんないレベルで動くから、その記録映像だけで既に億単位の売り上げが出てるってカリンさんが言ってた!」
エンリケ少佐「マスターワールドだよね。値段が高いけど一部出しの無料版も広告収入が凄い事になってるみたいだね」
タミー軍曹「ドボルグさんが開いたUWEも広まってきて、殺し合いと勘違いして乗り込んできた輩をノックアウトしまくってるってドボルグさんが言ってた!」
マリー軍曹「次に工房の事業だけど、MA産業は少し詰まってるわね」
エンリケ少佐「詰まって?順調に見えるんだけど」
マリー軍曹「理由は簡単。丁度良いのが無いのよ。ピアースやキャバリーは最高クラスだけど普通の企業にそんな高性能いらないじゃない?じゃあ防衛用ってなると、最近出てきたクリプトン財団の子会社が防衛用を専売してる」
エンリケ少佐「あー、リックさんのご実家の。確かお兄さんが代表だったね」
マリー軍曹「近日中に提携予定らしいけど、機体自体のコンセプトが違うから難しいって。サユリさんは手一杯だし、ケイトさんが居なくなったから発案者が居なくて頭が痛いらしいよ」
エンリケ少佐「ポポルポットさんがケイトさんが残した映像資料から探すって言ってたけど、時間が掛かるだろうね………う」
ムラノ曹長「い、今何か……」
タミー軍曹「お、悪寒……したよね?」
マリー軍曹「この感じ……ケイト中尉の…」
ボボンボ軍曹「新兵育成プログラム!」
エンリケ少佐「………み、みみ皆!手が空いてるなら少し訓練でもしないか!?」
全員「「「「賛成!!」」」」
その日、シミュレータールームは大盛況だったという。
※(ちゃーらーらーらっらーちゃーららっらーらー)昨日の昼、頭のイカれた男が鶏とヤっていた。
今日の朝、出てきた廃材の奪い合いが起きた。
明日の夜、共倒れの機体ごと廃材を回収しに行く。
惑星ルストには質を問わなきゃ大破壊前の物が何でもある。
次回「鉄錆団」
明後日、そんな先の事は分からない。
(ちゃんらーちゃん!)
稚拙な作品をお読み下さり有難う御座います&70000PV突破感謝なのだ!
ストックがもう無いから毎日更新は出来なくなってるのだ……出来次第上げるのでまったり待っててもらえると有り難いのだ!
少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!
そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!
某2サイトにて鉄錆の世界での機体を上げてるのだ!良かったら見てくださいなのだ!
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