8-5 エンジェルズ

「さて、着いたぞ」


格納庫に到着したのか。


「とりあえず君達を機体に乗せるが……」


「あ、だったらあたいは赤い方の機体で」


「俺は青い方で」


「……何処でその情報を……いや、今は詳しくは聞くまい。この後の段取りは?」


あー……そうだな……機体奪って逃げる事しか考えてなかったな。

とりま安全な場所で決めれれば……あ、そっか。


「とりま機体に乗っけて?多分、機体の中が1番安全になるから」


「了解した。ヘンリー少尉」


「ハッ!」


兵士君、ヘンリーって名前だったのか。

しかも少尉ってあたいと同じ階級だし。

ともかく、全ては乗ってからだな。


「サンプルを機体に乗せるぞ!」


おっさんが声を上げると整備班の人達が慌ただしく動き出す。


「アレが次のサンプルか……」

「まだ子供じゃない」

「チッ」


聞こえてっぞ整備班。

ふむ……整備班の何人かは不満があるようだってか?


「ぶひ、今度は幼女」

「お楽しみが増えたでござるな」

「大統領様々でごわすな」


……ギリ聞こえたな。

振動感知で位置は把握したから、機体に乗り次第今の奴等ブタとゴザルとゴワスを処そう。

そうしよう。


「今、君の右手が光った気がしたのだが…?何を?」


そこは気にしないでもらいたい。

さてさて?

乗っけてもらった機体のコクピットシートはどんな感じかな〜っと。

………ちょい硬い。

オケツ痛くなっちゃうよー(棒)


「装置を取り付ける……電源は入れずに」


いや、それはバレるって。

絶対さっきのジジイがデータ取るのに監視してるっての。

………しゃーない、バラしたくはなかったが洗脳されんのも癪だしな。


「……グランドロア、洗脳装置にアクセスしてダミーデータを流せるか?」


『ホイホイ……大した事無いプログラムなんでよゆーっす』


「い、今のは!?何処から声が!?」


「『サポートAIです』」


「は?」


「『サポートAIです』」


「あ、あぁ……」


何も間違ってない。

さて、操縦系統はどうかな?

ふむ……左右に操縦桿、ボタンがいっぱいあって、わりかし一般的なもん……一般的ってなんだ。

ソルジャーやファイターとほぼ同じか。


「姉貴、めんどい」


『まー、DMCに慣れてるとなー俺はそのまま使えると思うからグランドロアにサポートさせれば?』


さっすが姉貴!


「グランドロア、どう?」


『タスクが多くてしんどいんすけど……そこのコネクタに繋いでもらえます?』


端末からジャックを伸ばしてっと。


『はいな。火気管制はこっちでやるんで武器使う時は叫んでねー』


音声入力ね。

武装は、頭部60mmバルカンにバックパック搭載型大型ビームキャノンが2門、自立稼働可も出来るランスに………ウイングを特定の形にし可動させる事でビームが出ます?



???????



い、一応ビームも弾ける盾にもなるからいっかな………恥ずいから使わんとこ。

あー、やっぱシステムの大半が死んでんな。

見た事ある機体に似た機体だからもしやとは思ったけど、本来のコンセプトから逸脱してるから変形機能が使えないし、本来の武器も無い。

まー、世界が違うから似てる別の機体なのかもしれないが。


『2つほど分からん武装があるがシンプルだな』


「多分、知ってる機体に似てるからシンプルじゃないとダメなんだよ」


サブコンのスイッチをパチパチパチ。


『そうなのか?』


「本来なら武装てんこ盛りで換装したら50m超える化け物になるんだが……」


カチャカチャとモニターのチェックに各計器チェック。


『なんだそりゃ?』


「バックパックをつけたせいで変形もできねぇな。その分、長時間のフライトが可能になって意味不明な武装が増えたんだな」


操縦桿の確認とついでにハッチを閉めて。

おっさんが焦ってるが無視。


「姉貴どう?」


『シート代えないと無理だ。立ち漕ぎしかできねぇな』


「だよな。おっさん、シート交換の手続きよろしくー。操縦桿握れても足届かん」


「わ、わかった。手配しておこう」


『システム掌握終わりんしたー』


これでコクピット内があたい等のセーフティルームになったと。

それより………


「ちょいとテストしてえ」


「元々その予定だったが……行けるのか?」


「詰めまくって限界まで下ろせば……それでも立ち漕ぎかい!」


っても太腿裏が当たってるから、ちょっとは楽なんだがな。


「ふむ……少し待っていてくれ」


おっさんが外に出てしばらく。

片手に2個ずつクッション持ってきた。

おっさんが姉貴の方に2個ヘンリー少尉に渡しあたいにも挟み込んでくれた。


「応急処置だがどうだ?」


「これなら……ちょっと楽」


立ってるよりかは、だけどな。


「テストプランはどうする?初日で君達に無理をさせたくはないのだが」


「フツーに行けるぞー」


『こっちも同じく』


「なら、少し先までの飛行テストも含めた動作確認ではどうか?」


「それでOK」


『了解した。ヘンリー少尉はサブシートへ』


「バンマス中佐も」


うむ、とおっさんがサブシートへ座るのを確認すると、機体を稼働させた。


『バンマス中佐だ!これより機体のテストを行う!総員速やかに退避せよ!繰り返す!総員速やかに退避せよ!』


おっさんが外の整備班に伝えるとハンガーのロックが解除された。

もう動いていいかな?

ペダルを軽く踏んで前進……結構揺れるな。


「いきなり歩けるとは……そこを右に行くと都市の外周にある発進口への移送用貨物列車がある。そこに向かってくれ」


あたいは頷くとそっちに向かっていく。

此処は都市の中央だからな……外周りは列車でもないと無駄にエネルギー消費するしな。


「都市部の警備とかで出る時は?」


「その時は列車に乗らずそのまま出る」


なるなる。

お、貨物列車発見。

あー……確かに列車に乗らんでいいな。

ステーションから外見えてる。


「貨物列車のプレートに脚部固定する装置があるのが見えるか?そこに両足を乗せてしゃがんでくれ」


足ロックかー……落ちない様に止めるのな。

てかこれ、カタパルト用じゃね?

利用してんのかな?

貨物列車に乗ってしばらくすると外周部の地下に入る。

へえ、貨物列車に乗った部分がそのままエレベーターになって発進口へ向かうのなー。


「上昇が止まったら立ち上がって踏ん張ってくれ」


は?


ガコンッと止まると少しずつ上昇していくレールが見え、そこに機体が前に進み出す。

これってもしかして?

機体1台分進むと、後ろに壁がせり上がってきた!!

慌てて踏ん張るように前傾姿勢に。


「バンマス・モア、他テストパイロット。これより出撃する」


やっぱカタパルトだったー!!

あたいは驚きながらもなんとかタイミングを合わせブーストをかけると、レール上を一気に滑り出した。

カタパルトの勢いもあってすんげー加速度!

スキージャンプみてーにポーンと外へ飛び出すとそのまま機体を飛行させる。

うっは!宇宙で散々飛んでたが重力下ってのがたまんないね!

上昇すると重力感じるし、正に飛んでる!って実感できる!


『ケイト、何気に重力下は初だったか?』


「おうさ!姉貴は?」


『何回かなー。てか、DMC以外も上手くなってんじゃん』


「まーなー!練習しといて損はねーからな!そういやカリンさんがMA使ったレースを興行にしたいって言ってたぜー」


『こないだDMC小隊がやったヤツか?めっちゃ楽しそうじゃね!?俺等も出れるかな?』


「しばらくは解説と実況になりそう」


『ありえる。ま、その為にも』


帰らねぇとな!


————————————————————

補足と言う名のオマケ


私はバンマス・モア。

中央政府軍に所属している軍人だ。

私は現在の中央政府の有り方に疑問を抱いていた。

だが、声を大にすると粛清対象になる。

幼い頃、酔った勢いで政府や当時まだ若かった大統領を批判した近所のおじさんが次の日には姿が見えなくなった。

当時は分からなかったが、軍に入って階級が上がるに連れ何が起きてるか理解できるようになった。

その裏で行われている事についてもだ。

その事実に恐れ、ずっと悩んでいた。

ある日、同期だった仲間の一人の家族が対象となり、彼は抗議するも聞き入られず、罪状そのものは軽度だったのにも関わらず長期の投獄となり、ようやく刑期を終えたと思ったら廃人となっていた。

その事実を知った彼は次の日には居なくなり、私は彼の捜索を命じられた。

捜索は長期に渡ったが見つからず、その長期に渡っての従事が認められ何時しか私は佐官となっていた。

大隊を指揮する立場となり、荒廃した世界で好き勝手する盗賊共を取り締まる中、とあるジャンク屋からコンタクトがあった。


バンマス「それが鉄錆団団長、行方不明となっていた同期の友だ」


ケイト「よくそいつに撃たれなかったな?」


バ「年甲斐もなくお互いに殴り合ってなんとかな」


ケ「I trust you forever〜♪」


姉『また何のアニメの……あ。アレか』


ケ「じゃあ…揺るぎーない本能ちからと意志貫くーようにー♪」


姉『ソレは知らんぞ!今度観せろ!』


ヘンリー『中佐……彼女達は何を言ってるんでしょうか……』


バ「知らん!聞くな!」


※(ちゃーらーらーらっらーちゃーららっらーらー)怒りは衝動となり突き動かされた歩みは飛翔へと変貌し、恨みは願いへと転化する。

胸に抱いた錆びた髑髏が目覚める時、王の器が立ち上がる。

次回「フルクロス」

地獄はもう見飽きた。

(ちゃんらーちゃん!)


稚拙な作品をお読み下さり有難う御座います&70000PV突破感謝なのだ!

ストックがもう無いから毎日更新は出来なくなってるのだ……出来次第上げるのでまったり待っててもらえると有り難いのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!

某2サイトにて鉄錆の世界での機体を上げてるのだ!良かったら見てくださいなのだ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る