8-3 アロガント
色々あったがあたい等は都市アロガントへと到着した。
この都市アロガントは巨大なシェルターであり空から見た時は箱庭ゲーかと思った。
直径はザッと20㎞ほど。
その金魚鉢に土入れてキャロットステックよろしく高層ビルをぶっ刺したのがこの都市だ。
そのステックの間をながーい入り組んだ橋で繋いでる。
んで、その端っペに輸送機が着陸、此処が警備隊とかの詰め所になってんのな。
見た感じ左右一定の距離に詰め所みたいなんがあるから、都市の外周8ヶ所に警備隊だったり軍隊だったりがあると思われる。
にしても………下みえねー。
都市を覆う壁の中央ら辺が詰め所なんだが、外壁より内壁がやべー。
この都市を金魚鉢って揶揄したが、この都市は金魚鉢の上辺だけ残して後は全部埋めたって感じだな。
なので底が全く見えない。
「此処から中央へはこれに乗り換える」
そう言ってバンマス中佐がジープを指差した。
なかなか年代物って感じだな。
促されるまま、あたい等はジープに乗るとバンマス中佐が乗り込んできた。
いや、あんたが運転すんのかい!
「……ん?あぁ、車両は自分で運転する主義なんだ。部下を信頼していない訳では無いが、車は運転してこそ……だろう?」
ただの車好き……
「では向かおう、なに、通常12分の所を数分にしてみせるだけさHAHAHAHAHAHA!」
走り屋だった!?
5分後
「さあ!ついたぞ!ここがアロガント中央政府だ!」
………ジープで橋の上を飛ばさないでくれ。
アメリカみたいに何百㎞も高速が続くのならわかるが、たかだか10㎞だぞ!?
今120㎞は出てたろ!?
信号とか無視してたし!
このおっさん、ピアースかキャバリーに乗せたらヤバイ事になりそう………。
てかグランドロアで慣れてて良かった。
でなきゃ吐く。
ともかく、来たからには色々調べねーと。
中央政府最上階
フラフラになりながらおっさんに付いて行くと最上階に到着。
さてさて、何が出るかな?
「コードCの対象をお連れしました」
おっさんの後に付いて行くと広い特別そうな部屋に入る。
プレジデントルームっぽいな。
「うむ。ようこそアロガントへ。言葉は通じるかな?」
「通じるようです」
「うむ。可愛らしいお嬢さん方。私はグリード、この国の大統領を勤めさせてもらってる」
大統領と名乗ったのは金髪サラサラロングヘアーの胡散臭いおっさん。
たっかそうなスーツに身を包み柔らかな笑みを浮かべてはいるが、目が笑ってねえ。
「色々と聞きたい事があるだろう。だけど今日の所は混乱もあるだろうし、疲れていると思うから、しばらくゆっくりしていくといい。バンマス中佐」
「ハッ!」
「彼女達をゲストルームに」
「ハッ!付いて来たまえ」
顔見せだけか。
まずは姉貴と相談しなきゃな。
おっさんに付いて行くとまー凄い部屋だこと。
ロイヤルスイートじゃん。
「夕方まで此処でゆっくりしていてくれ。ディナーの時間になったら迎えにくる」
怯えた振りしつつ頷いてっと。
おっさんが出て行ったタイミングで振りしながら辺りを見回す。
「姉貴」
「監視されてんな」
視線て言うーかな?めっちゃ感じるんよ。
ついでに振動感知………人は居ねーな。
んー……電気系の術式なら監視カメラの位置とか分かんだけどな。
「おーおー、いたる所にカメラ有りやがるな」
ん?
「うーわ、風呂ん中まで付いてんじゃん。このロリコン共め」
「え?姉貴、電気系の術式使えんの?」
「まーな?逆にそれしか使えねーが」
「レ、レベル5……ほねぇさば!?」
「それは……何のアニメだ?」
なははは!
アメリカ人的にはオロ○ン・マンローとか言いたいが、電気使いって言えば、なあ?
てか、いつの間に使ったんだ?
姉貴、あたいよりも術式の練度高い?
「どうする?このまま抱き合ってても良いんだが」
「んー……情報は欲しいわな?このままハッキングとかは?」
「流石に遠いな……いや?目の前のカメラからやりゃあいっか」
目の前にあんのかい!
姉貴があたいをソファに座らせ、自身はテーブルに腰掛ける。端から見たら姉が妹を諭してる様に見えるだろうな。
んで、姉貴がそこに座ったって事は、カメラがあんだろうな。
姉貴のテーブルに掛けている左手の指がバチッと光った。
すっげ、何処に紋章あんのか分かんねーけど、発動の兆候すら見えなかったんだが!?
「……後は端末から偽装データを送って……やっぱ音声は無かったか。詰め甘ぇな」
音声無しか。
じゃあ自由に喋れるな。
「姉貴、すげー練度な。術式発動すら見えなかったんだが」
「そこはなー……長年の経験ってやつだなーと、やり方はケイトがやってるのと一緒。ただもっと抑えつつ必要なリソースだけに絞って発動な?」
ふむ……やってみる……ぬぐ!
めっちゃ簡単に言うけど、難しいぞこれ!
言うなりゃ、20kgの水が入ったタンクの口にスポイトくっつけてひっくり返して水を押し出す………スポイトの口どころか受け皿も吹っ飛ぶぞ。
『いやー!やっとおしゃべりできますねー!』
………………なんか聞こえたが気のせいと言う事で。
『無視しないでくださいよー』
「姉貴、此処のサーバーに入れる?」
「ちょっとしんどいな。結構分厚いセキュリティだからな……正規パスハックして行くか?ログでバレそうだが……」
『ねえねえ』
「こっちのIDは存在してないけど、あたい等がいるタイミングでバレそうだな」
『それならうちが引き継げばバレないかと』
「「よろしくお願いします」」
『うわお』
「てーかグランドロア、繋がってたん?」
『繋がってたんじゃなく、端末に置いといたサブプログラムっす』
なるほど?
『何かあった時の為に端末だけでもサポート出来るように置いといたんですよ』
ふーみゅ、グランドロアのサポートがあるならなんとかなるか。
「じゃあ頼む。とりまどの情報から行くか」
「まずこの都市の事からか。どーにも胡散臭いからな」
『りょーかいです。ついでに元の場所への帰還方法も探しとくです………ほうほう、うわー腐ってますねー。引っこ抜いた一部データ出すっす』
流石にはえーな。
どれどれ……500年前にAIの反乱で世界を巻き込んだ戦争があって?マザーコンピュータを倒したはいいけど荒廃したと。
で?この辺りの人々が集まって都市ができ、代を重ねる毎に発展してきたと。
んー……そこはともかく、何年か毎の大統領選挙だな。
今のグリード大統領、既に5期以上大統領やってる。
それも全て圧倒的な票を得て。
「どう考えても不正じゃねーか」
「ケイトもそう思うか。毎回まともに選挙してるみたいに見えるが、対抗馬がぽっと出ばっかで碌な公約も掲げてねぇ。票の割合も毎回同じ割合、8:2だ」
『追加情報っす』
えーと、今度は………へえ。
「旧文明の復活にそれを扱えるパイロット探しに、部隊編成………うーわ、強化兵士増産計画書だってよ」
「俺等みたいな出自不明な人間を洗脳してパイロットにする計画だな」
「それって次の計画実行日は何時?今日か?」
「この後飯食ったら」
ワオ、せっかちさん。
「眠らせてヘッドギアつけて地下の機体に乗っけるんだとよ。ほい、機体データ」
「はいよ。ナノマシンで睡眠薬とか効かねえのにな……へえー、武装は少ないけどふざけた機体。こっちの赤いのあたいがもらう」
「なら青い方もらう。じゃ、時間までシャワーでも浴びるかー」
「録画されるぜ?」
ロリコン共に。
「映像データのフォグと解像度弄ってピンボケにするー」
なら安心。
じゃ、あたいも入るかな。
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補足
コードC
中央政府直轄のルスト軍が行っていたコードCは本編にあった通り、適当な人員を集め(拉致し)洗脳して兵士にする作戦である。
人員の対象は主に(政府にとって)犯罪者であり対外的には犯罪者の公正プログラムとなっているが、実情は発掘された兵器に乗せる為の駒であり、突如この世界に転移してきたケイト達も「よく分からない存在」として対象になっている。
※(ちゃーらーらーらっらーちゃーららっらーらー)先の見えない暗闇を、狂気に駆られた箱庭を横目に双子と姉妹が出会う。
今はすれ違うが後に交差するであろう予感を感じながら、双子が向かうは封印されし双子の天使。
次回「プリマヴェーラ」
踊りたい?それなら一人でやってくれ。
(ちゃんらーちゃん!)
稚拙な作品をお読み下さり有難う御座います&70000PV突破感謝なのだ!
ストックがもう無いから毎日更新は出来なくなってるのだ……出来次第上げるのでまったり待っててもらえると有り難いのだ!
少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!
そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!
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