8-2 鉄錆の翼

えー、今ですね、姉貴と2人で御役人みてーな兵士みてーな奴等に連れられてですね、これは軍用でしょうか、輸送機に、そうです輸送機ですねぇ乗せられていましてですね、なんでもアロガント、とか言う都市にですね、向かっている最中なのですよ。




とか、動画配信者なら言うんだろうな。

あの後、呆然としながらどーすっかなーとか考えてたら遠くの方から今乗ってる輸送機がやってきたんよ。

機体としては多分量産型だろうな。

ミ○アっぽいし。

このミデ○っぽい輸送機があたい等の前に着陸すると、目がバイザーで隠れたフリッツヘルムを被った兵士達があたい等を取り囲んだ。

ザッと30人ってとこか?

兵達を見回すついでに姉貴を見ると、既にどう倒すか考えてる。

まー姉貴の戦い方知ってるし、あたいがサポートに回るんだろーなー。

念の為に腰に武器着けといて正解だったな。


「よせ!失礼だろう」


おっと?


「報告を受けて来てみたが……まだ子供ではないか」


やってきたのは周りと違い一回りガタイのでかい腕まくりした金髪スポ刈りのおっさんだ。

ガ○ルっぽい?両腕から衝撃波出しそう。

おっさんを確認した瞬間、姉貴が小突いてきた。オーケーオーケー、をやるんだな?


「恥ずかしい行為をするな!……やあリトルガール達。言葉は通じるかい?……大丈夫のようだね。驚かしてすまない。私はアロガント中央政府直轄ルスト軍所属の者だ。何が起きたのかわかるかい?」


「………わかんない」


言いながら姉貴があたいを守るようにギュッと抱きしめる。

それに合わせてあたいも俯く……右手を隠してっと。


「そうだろうとも。詳しくは中央に戻ってからだが、此処は危険だからね、君達を保護したい」


保護ねえ………どーなんだか。


「君達の身の安全は保証しよう」


「おねいちゃん……」


土石術式展開、振動感知。


「………わかった」


「うむ。よし!撤収するぞ!」


おっさんの号令と共に輸送機に乗り込んでいく兵士達。

周囲1㎞圏内に変な振動とかは無し。

スナイパーとかは居なさそうだ……2㎞以上だったら分かんねーけど。

にしてもここの大地すげーな……大半スクラップだが、1㎞圏内にアホほど機体埋まってんぞ?掘り起こして集めたらMA数機は確実に作れるぞ。

マジ、なんて世界だよ。






てー事で輸送機に乗ってんだが。

このまま中央ってとこに行ったとして、どーすっかな?

予想だとあたい等は多分、転移だかなんだかでここに来た。

最初の兵士達の感じだと、異常な現象に警戒したか多分他にも転移があったかだ。

前者だと、あたい等がこっちに来て割と直ぐに駆け付けたから、多分違う。

異常な現象の発生の場合だと、感知してから遠目で観測、その間に許可取って調査隊編成して作戦立てて………うん、次の日か夜だな。

んで、後者だと同じ波形なりなんなりを体験してるから、直ぐに行動できる。

更に自分達が引き起こしたのなら尚の事。

ま、考え過ぎかもしれねぇが。

グランドロアに繋がればなんとでも出来るんだが……。


(姉貴、どうする?)


(とりあえず中央に行くまでは猫被っておこうぜ。どうにも臭えが状況が分からんし)


(ういうい……お?)


「どうした……そちらは警備隊に回せ」


隣に座ってたおっさんに通信が入る。

なんかあったな?


「こちらはコードCの実行中だ…………なんだと?」


コードC……多分あたい等の確保か何かだろうな……あ、おっさんが窓から外を見た。

釣られたふりしてあたい達も窓からチラッと外を見てみる。

アレは……警備隊か?

ゴブリンよりもしょぼい作業用にしか見えないMAっぽい3機ほどが瓦礫の山を取り囲んでいるのが見える。

あ、一斉に撃ちだした。

犯罪者かなんかが逃げこんだか?


「………む!アレは!警備隊!こちら特務隊のバンマス中佐だ!今すぐそこから離れろ!」


おっさん…バンマス中佐が叫ぶと同時に瓦礫の山からMA(仮)が起き上がってきた!


『中佐!5㎞地点に熱源多数!』


「このタイミングでか!」


何か来た?

声色的に敵対勢力っぽい。

お?起き上がってきたMA(仮)の姿が……は?

スト○イク?両肩と両足にちっちゃいウイング付いてるけど、ベースはストラ○クだよな?見るからに発光しそうなパーツが各所に付いてっけど。

更に錆びっ錆びだけど。

おっと、凄いブースト!加速力!意表を突くパンチで警備隊の1機を殴り飛ばした!

今度はバックパックにマウントされてた剣を持ち出し残りの2機を切り裂いた!

おいおい!まるで新番組の第1話じゃねーか!


「ちっ……撤収だ!急げ!アロガントへ!」


機体が急上昇し、中央に向けて加速しだした。

もうちょい観たかったー!

てか中央の都市はアロガントってんだな、さっき言ってたし…ふーん。

嫌な予感しかしねーな。

ん?めっちゃ遠くだけどマント羽織った機体が複数飛んできてんな。


「……おじさん、今のは?」


姉貴がその遠くに見えた機体を指差しおっさんに問い掛ける。


「……見えたのか。ふむ……奴等は鉄錆団。中央政府に歯向かう無法者達だ」


鉄錆団……あー、この後拾われて喧嘩してなんやかんやで団結すんだな?

じゃあ、さっきの機体はあの錆具合から「鉄錆の翼」とでも言っとくか。


————————————————————

補足


土石術式振動感知

この術式は所謂感知系の術式で、地中に伝わる振動を集め、離れた場所の存在を暴き出す術式である。

その応用力は凄まじく、術者次第でミミズの排泄から隠れている者の発見まで感じ取れ、この術式が使える者が部隊に1人いるだけで生存率から戦果まで思いのままとされている。

しかし、軍での扱いは酷く、その性質上地味であり、他にも似た効果の術式が存在する為、使い手はケイトを入れても10000人前後であり、軍全体の総数から見れば逆剥けみたいなものである(相手に居たら厄介、味方に居たら別にいらない)

今回ケイトが行ったのはこの術式をソナーとして地中に飛ばし、音の跳ね返りで隠れている者が居ないかを調べた。

簡単に使用していたが、発動方法から有り得ない事をしており、通常術式を発動する時には集中・詠唱・発動時の発光があるのだが、ケイトは特に集中することも無く、詠唱せずに少しの発光(どれだけ抑えても手の甲の紋章は光る)を体で隠し、足元から地中に飛ばした。

この自在な発動方法はケイト自身がまともな講義を受けておらず、グランドロアがまとめた発動方法「イメージして紋章に気合(精神力)を集め放つ」のせいであり、本来なら「イメージを浮かべ、そのイメージを無くさないように集中しつつ精神力を紋章に集め、紋章に集まった精神力を形にし術式を放つ」であり、普通の術式使い達には難しく、この自在な発動方法をしているのは軍内でも極僅かである。



※(ちゃーらーらーらっらーちゃーららっらーらー)整った区画、整った都市。しかし底の見えぬ下層より感じるは一体何なのか。

怨念、怒り、不満、猜疑、それとも羨望?

次回「アロガント」

傲慢な都市に双子の天使が舞い降りる

(ちゃらんらーらちゃん!)


稚拙な作品をお読み下さり有難う御座います&70000PV突破感謝なのだ!

ストックがもう無いから毎日更新は出来なくなってるのだ……出来次第上げるのでまったり待っててもらえると有り難いのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!

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