7-18 アホかと
さてさて、ようやく旗艦との御対面出来る。
んで、到着した訳だが………。
「アトゥア!DMC小隊!無事か!?」
『お姉様!』
そこには全力全開で対空砲火を撃ちまくる旗艦と、それを必死に避けるアトゥア達が。
離れてるから避けれてるが、こう撃ちまくられたらアトゥア達では近づけられない。
てか、でっかいなー旗艦。
取り巻きも同じく。
『データベースでは中型の中でも大きめの戦艦フライングフォックスですね』
「あ?flying fox……コウモリか」
フツーはBatなんだがflying foxもコウモリを指す。あー、だから横に広いのか。
『ですです。主に面制圧を目的に建造された戦艦で、エンハンブレⅡと違い横幅が4kmあります。縦は2kmですが』
ふむ……逆に高さが無いのか。
1kmはありそうだが。
『両翼の艦はどっしりしてる右のがブルフロッグで、一回り小さめの左のがツリーフロッグでして、どちらも全方向からの防御力の高さが売りの戦艦ですね。ツリーの発展型がブルらしいです』
今度はカエルかよ。
日本語にするとウシガエルとアマガエルなんだが、なんてーの?でかいはでかいんだが、どっちも見た目がなんかで見た事あんだよな…。
「うーん……あ!某バーガー店のビックサイズ用の箱!」
なんか懐かしいな……食いたくなってきたじゃねーか。
つか、なんでコウモリとカエル?
もっとこう、宇宙っぽい名前を期待してたんだが。
『ケイトさん、ナノマシンの翻訳を切ったら多分理解不能な言語になるかと』
「おお!そりゃあそっか!」
翻訳あるからそう聞こえてたんだった。
でなきゃどの機体も発音出来ねぇし、意味も分からんわな。
『そろそろ良いかい?僕等は簡単に避けれてもアトゥアちゃん達は死にそうだからさ』
んえ?
そこにはヒーヒー言いながら避けてる妹達の姿が。
あ、そだ。
「丁度いい。アトゥアとDMC小隊各機」
『な、何で……しょう!お姉様!?』
「お前等過剰に反応しすぎ。当たりそうに無い弾にまで反応して避けてんじゃん」
『お、お言葉ですが!DMCなので体で避けないと!?』
エンリケ少佐が必死に避けつつ抗議の声を上げる……そりゃそうなんだが。
「あー、もちっとシステムに頼ってみ?正確には射撃の予測線を表示させるんだが」
『やってみます!』
こう言う時アトゥアは素直だな。
『あ………コレは………』
徐々にフレスベルクの回避が全力のサイドステップからちょい避けになってきた。
『お姉様!何です?このどうぅんって言う感覚は……』
「おー!アトゥアも感じたか」
この感覚、感じ方は多分DMCによるバックアップが一定値を超えた事で起こる超集中状態、あーアレだプロのアスリートや達人達が入るゾーンってヤツ。
アレをシステムのサポートで意図的に起こす事が出来んだよ。
実際、あたいがサクサク攻撃を避けれてんのも実戦経験ってのもあるが、このサポートのお陰って事だ。
『なるほど。システムによるゾーン突入なんだね。武術家としては腹立たしいけど』
まぁ、長い修練の末に得る物をシステムで誰でも得られるんだから、分からないでもねぇけどな?
とは言え、それなりにシステムを使いこなしてないと出来ない事なんだがな。
それに慣れてくりゃ、その弾が当たるかどうか感覚で分かるし、あたいなんかは相手の銃口から予測してたりする(普通はできません)から、要は慣れだ慣れ。
「小隊のメンバーも出来るようになー」
『『『『『
さてと、あたい等が注意を引きつけている間、おっさんが小型艦の方を説得してくれてるが。
『すまん。手を止めた兵達はともかく、母艦となる小型艦は旗艦に従わざるを得んらしくて、手を止めれんみたいだ』
「それって旗艦がなんかしてんのか?グランドロア、旗艦の照準はどうなってる?」
『今調べますねー……あのコウモリ、後方と両翼の一部の照準を小型艦に合わせてるっぽいですね』
「それは左右のケロケロにもか?」
『左右のケロちゃんは……んー……通信傍受してみないとなんとも』
『姉上、左右の艦も脅されている様です』
今の声ってニーズヘッグケーニッヒか?
姉上って……。
『流石ニーズちゃん。だそうですよ?』
「………お前、弟に負けてね?」
『ニーズはなんでも超人リックさんが素なので……』
うん、そら勝てないな。
『君等は僕を何だと思っているんだ?とにかくケイト。どうする?』
どうしよう?
旗艦を潰せば終わる戦闘、理屈は単純だが相手が5kmの中型艦。
ブリッジを潰そうにも近づけるのは……コッチはあたい、リック、叉匡丸のおっさんの3人か?
あたいとリックはともかく、おっさんはやりたくないだろうし。
「……1回だけ脅してみるか?ダインスレイブ準備!」
『了解。エリジウムマテリアルエンジン、エリジウムマテリアルミニエンジン最大出力』
うーい、両腕のビームグレートソードをみょーんと伸ばしつつ丁度いい位置にまで前進。
両腕を合わせてコウモリの鼻っ面にまで剣先を伸ばす。
「コウモリに通達。そっちの上官が終了っつったんだから直ぐに降伏しろー」
『……………応答無し。ダメっすね』
マジかー。
何時でも撃沈出来るって言ってんのに。
『あれ?敵旗艦の内部出力上昇!』
何!?
『旗艦中央部に動きが…えっ?旗艦全体が可動してる!?』
はぁ!?
旗艦が上下に分かれた!?
てか中央部を中心にして上下に分かれて、上半分の両翼は下方へと下がっていき、下半分も下方へと下がる………。
「『………マジで?』」
目の前に現れたのは、全高9kmの超大型MAだった。
「『あ…………アホかぁぁぁぁぁぁ!?』」
————————————————————
補足
DMCによるバックアップの恩恵
DMCシステムによる恩恵は多岐にわたり、その1つが神経伝達の光速化である。
元々パイロットの動きを電気信号的に読み取り機体の動きとして同期化しているが、わずかにだがズレは生じている。
そのズレが所謂3D酔いであり、調整が甘いと目の動きよりメインカメラの動きが遅かったり早すぎたりして脳が混乱を起こし吐きそうになる。
振動においても人間の目は眼球周りの筋で常に中心を捉えるように補正を掛けているが、癖や疲労、外部からの許容範囲を超える衝撃等で目眩や吐き気を催す。
コレが宇宙軍の兵士達が扱えなかった最大の要因であり原因である。
特に軍の活動自体は様々な惑星へと赴くが、もっぱら直視、又はゴーグル越しであり、カメラワーク越しと言うのは観測機や外部カメラの遅い動きしかなかった。
その為、未調整だと眼球の動きを超える速度を出せ、焦点に合わせる時にヌルッと動くDMCシステムのカメラワークにパイロットがついていけなくなり誰も扱えなくなっていた。
しかし、ケイトが調整したデータを参考にシステムがパイロットに合わせるようになり、扱える者達が増えてきた。
そして、システムが自我を持つに至り、ケイトやリックの超人的な眼球運動にシステム自身が追従出来るように調整した事で、パイロット自身が脳の処理の高速化であるゾーン突入に自ら入れるようになった。
その超集中状態を更にDMCが読み取り反応速度を調整、新たなモードとしてグランドロアがこっそり確立し、他のDMCシステムに共有化していた為、リックはともかく(リック自身は自力でやっている)素人であるアトゥアがゾーン突入を行う事が出来た。
※ゾーン突入は様々な作品で扱われているのだ!感性に特化すると分かり合えたりゼロの領域に行ったり種が弾けたりパンツが弾け……これは違うか。紙一重で回天剣舞六連を躱したり神速の抜刀二連撃したりするのだ!
ただし、負荷は尋常じゃないので元々その領域にいるリックや小足見て余裕で対処できるケイト以外では、システムの補助がないと1歩踏み出すだけで疲労MAXなのだ!
稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!
ストックがもう無いから毎日更新は出来なくなってるのだ……出来次第上げるのでまったり待っててもらえると有り難いのだ!
少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!
そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます