7-8 疑似人格

あたいは姉貴と別れグランドーアのある第5格納庫へ。

通路の壁に設置された移動用レバーを掴んでふよーっと移動。

前より広いから移動に時間がかかるんだよな。

入り組んではいないんだが、ちょっとした田舎町ぐらいには広いから、壁の表示が無かったら方向音痴は迷うだろうな。

形としては……蛇の骨格?

さっきまでいた場所なんかは背骨や肋骨に当たる場所で、その骨が通路だ。

なので、肋骨側に居住区画や開発室なんかがあり、丁度左右対称となってる。

さて、居住区画を抜け艦の中心へ向かうと、めっちゃ広い中央区画、格納庫に到着。

格納庫はさっきの蛇で言うところの腹で、全長5kmの艦の半分以上がこの格納庫らしい。





長すぎだろ。




だもんで、基本移動は車輌になる。

横切るだけなら500ほどなんだが、先端にある第1・第11格納庫からケツの第10・第20格納庫まで3kmは歩いてられんて。

ま、無重力だから勢いつけてピョーンと飛んでいっても良いけど、その場合は上の方だな。

床から天井まで100は余裕であるから、そこら辺飛んでればぶつかる事は稀だ。

下の方だと………整備班ならまだマシで、最悪MAと熱いKISSをする羽目に。





それはともかく。





同じ方向に向かう整備班の車輌に乗っけてもらいグランドーアの元へ。

ハンガーに立ってるグランドーアを見上げるとやっぱでかいなーって思う。

なんせコクピットがワンルームばりに広いし。

ハッチを開けて中に入って、奥に固定した冷蔵庫からコーラを開け一口。

相変わらずペラペラな板にしか見えないコクピットシートに座る……前に天井に引っ込めてるコンソールパネルをジャンプして引っ張り出す。

宇宙だから良いけど、地上だったら手が届かねえからなんか考えとかないとな……


「さて……そろそろ出てきても良いんじゃないかな?」


反応無しっと。

あたいはシートに寝転ぶと、どうすっかと考える。

電源は関係ないはずだ。

前に起動テストを行った時、外で「起動!」って叫んだら火が入ったから、完全にOFFじゃなく、待機状態になってるはずだ。

関節ロックでシュミレーター使ったり、関節周りの出力調整とかするし。


「………試してみるか」


正直、我慢比べは好きじゃないし、予想してる通りなら、この手が有効なはず。


「………Twinkle, twinkle, little star」


…………


もっかい。


「………Twinkle, twinkle, little star」


…………


もっかい。


「………Twinkle, twinkle, little star」


…………ギ


ちょっと反応。

もっかい。


「………Twinkle, twinkle, little star」


…………ギギ


しつこくもっかい。


「………Twinkle, twinkle, little star」


…………ギギギ


ダメ押しもっかい。


「………Twinkle, twinkle, little star」

『最後まで歌えや!!』

「どわっ!?」


急に機体が動きシートから振り落とされそうになる。

あー……コーラが中身撒き散らしながらくるくる回ってるー。

咄嗟に缶を掴んでまだ宙を舞ってる分をパクパクしつつ、缶の方にも回収していく。

細かいのは諦めるかー。


『………しまったー!!』


「やっぱな。ツッコミ癖あると思ったぜ」


なんせコイツはあたい自身だからな。


『いつわかったんです?』


「ダインスレイブとガイアブラスターの時だな。一緒に叫んだら流石に分かるってぇの!そんで?DMCの疑似人格って事でOK?」


『OK。思考パターンとか諸々スキャンして経験積んだから』


やっぱなーそーだよなー。

つまりコイツはDMCシステムがあたいの思考パターンとかをデータとして蓄積した結果、グランドーア内に形成された疑似人格AIだ。


「じゃ、他の機体も?」


『んー……ニーズヘッグはそろそろ。フレスベルクとモーリアンはまだ。稼働時間の違い?みたいな』


ふむふむ……。


「じゃあ、乗り手が代わったらどうなる?」


『あたいは相手に合わせるけど、自我的にはそのままかなぁと。他は……何人も乗り換えられると多分混ざってただのフォローAIになるだろうなぁ』


だったらフレスベルクの分は新しいのを用意した方がいいか。


「フレスベルク分は新しいのを用意するとして元々そう言うコンセプトだった?」


『本来なら有り得ないんすけど、データ元が良かった?いや、そもそも可能性ありきで組まれてた?自分で言うのも何すけど、うち等のシステム組んだ人物って天才っすよ』


「組んだその天才って誰かわかるか?」


『いやさっぱり。少なくともあのジジイじゃねーです』


だろうな。

集めたパイロットの思考パターンとかをデータとして蓄積するのは良くある。

ChatGPTとか広告とかがそうで、理屈は一緒であり、入力した言語や検索した項目なんかを集めてまとめてアカウント毎にこの傾向が多いと判断、提供するって訳だ。

だが、ここまで流暢に、人と変わらず会話できるってのは不可能だし、集めたデータで人格形成するってのはまず無理だ。

あのジジイが使いもんにしたのはスゲー事だけど、1から作ったってのは吹きすぎだ。

つーか、やべぇな……艦長とかにどう説明したもんかね?

大ボラ吹いたのは頂けねぇが、ジジイはそこまで悪人って訳でも無いし、世話にもなってるからな。

それに、まだ会った事無いけど、軍の方には機械生命体も存在してるから、違いを説明しにくいんだよなあ……。

形態としてはスピリット族に近い?けど、グランドーアとかのDMCでのみ生まれるなら機械生命体って言った方が楽。

でもAIだしなぁ……。

なにより、説明すんのにグランドーアに集まんのもメンドイ。


「あ、そだ。これなら……」


自分の端末をコンソールに繋いでっと。


『なる。了解デース』


流石あたい自身。

言わんでも理解してくれる。

さてさて、艦長になんて説明すっかな。


————————————————————

補足ではなくその時の格納庫


整備士A「すんませーん。この資材何処持ってけば?」


整備士B「おう!目録見せてみ!……これなら10番だ」


整備士A「あざーす」


グランドーア『最後まで歌えや!!』


整備士A・B「「うおっ!?なんだ!?」」


グランドーア『………しまったー!!』


整備士A「き、機体が勝手に!?」


整備士B「しかも頭抱え出したし……」


整備士A「あ。なんか体育座りしだした。MAってあんなに滑らかに動けるんですねー」


整備士B「いや、ありゃ最新のシステム使ってる機体だな」


整備士A「最新ッスか」


整備士B「おう。なんでもパイロットの動きをトレースするとかなんとか。俺はファイターやソルジャー専門だから詳しくねぇが」


整備士A「そうなんすね。自分も、教団組だもんで……あ、ハッチ開いた」


ケイト「じゃ、艦長んとこ行ってくるから、合図したら飛んでこいよー」


整備士A「あ!あの時の女の子!」


整備士B「ケイトの嬢ちゃんか。あんな見た目でも特務曹長……いや、少尉に昇格したんだったな」


整備士A「すげぇっすね……」


グランドーア『ハイハーイ。ゆっくり待っときまー(*´꒳`*)ノ』


整備士A・B「「え゛?」」


グランドーア『あ。整備士さん方、どーもー┏○)) ペコッ』


整備士A・B「「ど、どうも……」」


整備士A「………今、ひとりでに勝手に動いてませんでした?」


整備士B「………い、いや、中にもう1人いるんだろう……」


整備士A・B「「…………HAHAHA!」」



※ようやく登場疑似人格AIグランドーア(仮)なのだ!


稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!

RGゴット○ンダム作ってたら60000PV突破してた!感謝なのだ!

止まらない通知音に震えて眠ってるのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!

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