7-6 ファンタジーはリアルだった件
成果か………。
確かに成果っちゃあ成果だが。
「その通りじゃ。ともかくワシはアトゥアシリーズを軍内部に潜ませ体制を変えるつもりじゃった」
「だけど、完成体3体の成長初期段階で施設をマリアさんに潰された、ですね?」
「うむ。だがな、研究過程で生まれた者達は成果を挙げておる」
「他にもいんの!?」
「おるぞ?とは言え、他の兵達と見た目も変わらんし、同一個体を造らん様にしとったからのう……本人達が造られた存在だと自ら言わん限り誰も気付いては居らんはずじゃ」
てぇこたぁ、まだ見ぬお兄ちゃんお姉ちゃんがめっちゃ居るって事か。
「はい。私が把握してるだけでも10000人のお兄様お姉様が居られます」
「だから読むなって……てか10000人も居んのか!?」
シス○ーズかな?
「その…し○たーず?と言うのは分かりませんが、エンハンブレにも何人か居りますし、教団にも居ります」
そんな所にもいたのかよ!?
「それが私という訳だ」
と、ここでドルク大隊長。
「大隊長も!?……えっと、ドルクお兄ちゃん?」
「止めてくれ、娘ぐらい離れた妹に言われるのはむず痒い」
「じゃ、パパー」
「誤解を生むからやめろー!」
アヒャヒャヒャヒャ!
「ゴホン……私は初期ロットでな。他の兵より少し能力が高いだけだ」
「故に軍内部に入れやすくてな。今日に至るまで一兵士として軍内部の実情を報告してもらっていたのだ」
「途中から教団に移りましたがね。閣下が更迭された後、軍内部よりも教団に集まる者達を纏める者が必要でしたので」
「苦労をかけたな」
ふむふむ、こりゃ結構いろんな組織にお兄ちゃん達が入り込んでるな。
その内、接触あるかもなー。
と、それより。
「邪神の件ですね?お姉様」
「そうそう。マジで邪神?ファンタジーの?」
「正確には何も……ただ居るとしか……」
「ワシの考えでは皆の思う超常の者ではなく、スピリット族の様な者と考えておる。精神生命体じゃな。それならば説明がつく」
あー……確か前に艦長が言ってたな。
神様気取りの奴等がいるって。
「だがよ。そんなヤツが何でミ=ゴに地球を襲わせたんだ?」
そこが分かんねーんだよな。
なんかあんのか?超エネルギーとか古代文明の遺産とか。
「詳しくは分からん。じゃが、軍とワシ独自のルートでの調査で判明した事がある」
「それは?」
「事象じゃ。かの星は他の星、他の星系の中でもおかしな程事象が集中しとる。先ず、我等ヒュームと同じDNA配列の種族が、ワシ等が来るよりも遥か過去に存在していた。これはワシ等の祖先が宇宙に飛び出した後、移民した事を物語っとる」
「は?」
「何じゃ?人が猿から進化したとでも思っとるんか?有り得んじゃろ。よしんばそうだとしても、その場合、文明を持った猿…猿人族になるわい。染色体の数が少し違うだけ、DNA配列が似ている、そう言う研究が地球でも有るのじゃろうが、こっちはもっと進んどる。似ているから枝分かれ進化をするのではない。有り得ん確率で変異した者が子を成すか」
「手を加えられたか……か」
「うむ。前者は変異した者との間に生まれた者は性質を受け継ぐが、代を重ねるに連れその性質が弱まっていく……稀に先祖返りするじゃろうが、その総数は?全ての猿が進化するのに足りるのか?億人に10も居るかどうか分からん者の性質は次の代では更に薄まるぞ?なれば今居る人間ではなく、喋る猿になるとは思わんか?」
むむ……コレは物議を醸す内容だな。
そう言われりゃそうなんだが、確率論的に見たら後者の可能性もある。
何故なら、「蓄積される」と言う点だ。
実際、進化論の中では、最初の人類(最初の人間ではない)は猿に近かったからで、そこから環境に適応していき今の人間になったとされている。
故に、自分達がそうだとは断言できんのだが。
それにもう1つ。
収斂進化(しゅうれんしんか)ってのもある。
この収斂進化ってのは、全く関係がない生物が同じ様な環境で進化した場合、似た姿になるってヤツだ。
手っ取り早く分かりやすいのはルーツが同じってのなんだがな。
「逸れたな。地球での文明、文化は多種多様と報告を受けておるが、各文化に伝わる伝承や伝説が全く違う文化であるにも関わらず似通っておる。人民が統一されておらぬと言うのに。更に有り得ん事象をあらゆるメディアで形にもしており、研究・開発も行っておるにも関わらず文明が崩壊しておらんのはおかしな事じゃ」
まぁ、それはなぁ………。
よく「想像できる事は実現可能」と言われてるから、ちょっとした事故で地球がぶっ壊れててもおかしかぁないが。
「シンギュラリティに到達してねーからじゃね?」
シンギュラリティってのは科学技術の特異点ってヤツ、でそこに到達すると人類は爆発的な進化をすると言われてる。
………目の前にそこを通過した存在がいるが。
「本来、そこに到達するには宇宙に進出し生活圏を広げた後、行き過ぎて起こるもんじゃ。だと言うのに宇宙に出ただけで、その後に必要な技術が地球内でしか進んでおらんのはワシ等から見れば歪なんじゃよ。何故、危険な細菌兵器にも成り得る研究を宇宙でせん?エネルギー開発も地球内では無く宇宙ですれば効率よく、かつ、安全に行えるというに」
「いやーそれはまだ宇宙で快適に過ごせるコロニーとか造れてないし、重力発生装置とか造れてないし?」
「何故それを先に開発せん?足場を固めるのは基本中の基本じゃろ?ステーションを造れるのならそれを広げれば良いだけの事。だと言うのに利権やら他国への攻撃や牽制に注力し、ワシ等からすれば宇宙開発が遅すぎる。まるで宇宙に出たくないかのようにの」
言いたい事は分かるんだが……そこ考えるの政府とかだし?
「あたい等にゃ分からん」
「じゃろうな。故におかしいのじゃ。未だ判明しとらん事象もたんとあるのじゃろう?ワシ等から見ても多過ぎる程にの。例えば未確認飛行物体……コレはワシ等の事やも知れんが、政府は把握し、交渉等を行っておるのじゃろうが、民間では信じとらん奴等もおったのじゃろ?ミ=ゴに攻められておる時にも」
………居たなー、ミ=ゴを指して某国の生物兵器だと喚いてた奴。
目の前になんかグロい肉と金属が融合した宇宙船があるのに。
「他にも何らかの能力を持った者達の集団がおったり、明らかに生態系から外れた生物が少数認識されておるにも関わらず、伝承や都市伝説として扱われておるしの。そう言った事象が解決に向かっとらんのじゃよ、地球は」
言われりゃそうなんだが……。
じゃあ、何か?
あたい等がファンタジーとして認識してるものはこっちじゃ解明出来てんのか!?
「はい、お姉様。一部を除いてこちらの技術で再現可能な技術として扱われております」
マジかー。
マジかしか言ってねぇ気がしてきた。
「いかんいかん、また逸れるのう。年を取るとくどくなるわい……ともかく、特異点よろしく地球に集中しとる。そこに何か有るのじゃろうな?ワシ等では分からん何かが。それ故に軍を離れ対抗勢力として教団を作ったのじゃが…」
「乗っ取られたと」
「うむ」
「ですのでお姉様。未来の為にも御力をお貸しください……」
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補足
技術格差
現在、地球における不可思議な現象・事象は様々な形で伝承や都市伝説として噂されているのだが、宇宙に進出して1000年近く旅をしている軍の技術はその大半を科学的に解明しており、理論的に説明されている。
その1つがスピリット族で、神を名乗る存在の大半が彼等だと判明している。
また、未確認生物等は造り出された、突然変異の個体、しぶとく生き残った個体と研究結果が出ており、他の惑星に普通に繁殖していたりしている。
その為、霊的な現象は残留思念が起こすものとして扱われ、炎を出す、凍らす等の魔法的なものは脳の機能拡張、超能力として研究・開発されている。
本編では未だ他の惑星での仕事をしていない為、ケイトは魔法が技術としてある事を知らない。
※魔法は現象改変体系として存在してるのだ!
向き不向きもあるから、使えるかどうかは分からないのだ!
ついでに、収斂進化はスパ○ボOGでもでてくるのだ!
稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!
RGゴット○ンダム作ってたら60000PV突破してた!感謝なのだ!
止まらない通知音に震えて眠ってるのだ!
少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!
そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!
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