6-13 格闘戦最強(マリア除く)は?

「何が起きてるのか全く分からなかった」

「映画かな?」


そんなにか?

割とゆっくりやったんだがなぁ……。


「ふぃ〜……こんだけ頑張ったんは母さん以来だなー」


「マリアさん?」


「そっそ。ありゃ次元が違うからな」


そうなのか?


「ギルドのランクだけなら俺がトップだが、闘技大会なんかやったら間違い無く母さんが最強だ」


「そんなに強いのか?」


「……間違っても教えを請うとか、手合わせをとか。絶対すんなよ?5……いや1秒でキル判定されるぞ?俺でも殺す気で20秒が限界だったからな」


あたいよりも強い姉貴が20秒!

それはもう人なのか?


「ケイトが倒れてるって、珍しいね」


「あ、リック」


声が聞こえたので首だけそっちを見ると、タンクトップに道着のズボン姿のリックが入ってきた。


「工房のクルー達からケイトがここに居るって聞いてね。うん………なんとなく理解した」


どうやって今の状況を把握できるんだ?

あ、そだ。


「もうちょい待ってもらえたら動けるようになるから、模擬戦やってみね?」


「ケイトと?勿論良いよ」


「ちょいちょい」


姉貴?


「だったら俺とやらね?もうすぐ動けるから、アップだけしといてくれればいいし」


おっと、そりゃ良い。

あたいに勝った姉貴が戦うなら、リックの実力が分かるしなー。


「うーん……良いですよ。でも、手は抜きませんよ?」


「疲れてたーなんて言い訳しねー…よっと」


姉貴がぴょんと飛び起きると同時に、勢いそのままにリックに飛び蹴りをかます……なんたるヒキョウ!それをリックは体を捻り回避!


「流石にこれはよ、おわっ!?」


着地と同時にリックに振り向いた瞬間、ありえん速度のソバットが姉貴を襲う!

リック、回避行動そのままソバットに持っていきやがった!


「流石にこれは避けますね?」


「き、気づくのが遅れてたら顔が吹っ飛んでたぜ………」


なんとかリックの攻撃を避けた姉貴は、今度はリックと向き合い対峙する。


「………どうしました?そこは悪手ですよ?そこもですね?」


リックの発言にエンリケ少佐達が頭に疑問符を浮かべる。

しゃーねー、解説するか。


「今な、姉貴とリックは読み合いしてんだ」


「読み合い、ですか」


「おう。相手の目線とか筋肉の動き……行動のとかを読んでな?んで、リックは先にソレを言う事で動きを制してんだよ。でもありゃー………あたいでも無理だなー」


「え?」


「横からだが、今、もしあたいが対峙してたとして、足を払うとしようとすると、その足で前蹴りか蹴り上げを顔面に食らう。腹を狙うと前に詰められて肘打ちか正拳か………ま、返り討ちだな」


「なんと!?」


じゃ、どうするか。

姉貴だったら……てか、あたいでもそうするよな?

あたいはおもむろに立ち上がると、リックに向かって拳を突き出しながら一足飛びに飛び込んだ。

リックも前にやってた箭疾歩だ。

リックは姉貴の方を向きながらバックステップで躱す。

むぅ………。


「接近戦はさせないよ」


「読まれてんじゃねーか」


だよねー。

姉貴と合流しリックに向き合う。


「2人相手なら……少し本気を出そうか」


徐ろにリックがメガネを外す。

その瞬間、リックから感じる圧が膨れ上がって全身が硬直した。

ヤベーッ!マジヤベーッ!!

今一歩でも動いたら拳が飛んでくる!!

3mは離れてるのに目の前にいるように感じるって、既にリックの手が届く領域ってか!?

こりゃ同時攻撃しかない………横にいる姉貴に目を向けると姉貴も同じ考えみたいで、お互いに頷いた瞬間。


「………その場合はまずケイトを止める」


う。


「中尉はその後、叩き落とす。逆にしても同じだよ」


なら、右からなら……スッと右足を出され考えてたラインを遮られる。

だったらスライディング……あ、踵浮いてるから踏まれるー。

それを途中で止めて鉄z、右肘で頭かち割られるぅ!


「……………姉貴、コレ無理だ」


「奇遇だな。俺も同意見だ」


「「ムーリー!!」」


姉貴とあたいは背中を合わせてその場にへたり込んだ。

もうね、汗だくよ。

姉貴も同じく汗だく。


「何が起きてる?」

「ぬう、分からん」

「え?え?え?」

「中佐、分かります?」

「はっはっはっ!分かる訳ないだろう!」


「じゃあ、全員で掛かってみー分かるからー」


疲れきったあたいは解説する気失せたから、焚き付けてみた。


「うん、何時でも良いよ」


リックのその声にエンリケ少佐達が立ち上がり一斉に襲いかかる。


「足元に意識が行ってない、腰が入ってない、狙いがガバガバ、芯がぶれてる、スキを付けてない」


鎧袖一触とはこの事か!

あっさり転がされたり受け流されたり押し倒されたり蹴り飛ばされたり叩きつけられたり。

一瞬で終わった。

しかもリックはメガネを掛け直しながらだ。


「姉貴、もしかしてだけど……」


「おう、リック中尉が格闘戦最強だな」


強い強いと思っちゃいたが、ここまでとは。

そりゃDMC搭載のMAに乗ったら強いわ。

何でも超人2号だわ。

後で知ったんだが、入隊試験の時にリックは規定時間内(1時間)で教官を178回キル判定を叩き出したらしい。





化物め。




さて、少し休憩したら次はMAの試験だ。

DMC搭載型に適応出来んのかな、こいつ等。

やってきたのはシュミレータールーム。

何台か丸い筐体が並び、正面には巨大なモニターがある部屋だ。

モニター正面の5つが従来の操縦桿で、真ん中の列がDMC、手前の5つが急遽コクピットの予備(教団辞める奴の機体をバラした)を並べたダークマターシリーズのシュミレーターだ。

この部屋はかなり広く、数が増えたのにまだ余裕がある。

カリンさん曰く「工房に遊びに来たお客様用」として広く作っていたらしく、パッと見た目はゲーム大会の会場みてーだ。

んで、DMCの動きの体験としてフリーで動いた後にコース有りきの普通のレースをやらせてみたんだが。


『くううぅぅぅ!あと少しだったのに!』

『いよっしゃぁぁぁ!!ステージクリア!!』

『こっちもクリアだ』

『イエーイ!』

『たっのしいぃぃぃ!!』


………………なーんでDMCに適応出来てんのかね?


————————————————————

補足


各々の格闘戦における戦い方

軍隊において、戦場で丸腰になった時に重要なのがCQC(近接格闘Close quarters Combat)であり、戦場で生き残る為に必要な技術とされ、国によって様々な戦い方がある。

その中でも正統な(ある意味邪道な)ナイフ、小銃等を用いて戦うのがケイト姉であり、体の小ささを利用して戦う。

そこにストリートの戦い方が入るのがマリア流であり、ケイト姉は幼少期に叩き込まれた。


一方、CQCに空手、ブラジリアン柔術、プロレス、中国武術、ストリートが混ざるのがケイトであり、相手の意表を突く戦い方をする。

これは地球にいた時にストリートで培い、レジスタンス時代に戦い方を教えてくれたのが元レスラーや元アクション俳優であり、特に競技武術の長拳(武術太極拳)を基本とする元アクション俳優の教えが色濃く根付いている。


リックは軍では珍しい武術「流麗蚩蓮流りゅうれいしれんりゅう」の使い手であり、動き自体は中国武術によく似ており、形としては太極拳と八卦掌に近い。

違いとしては「」の字の意味の1つである「(ムジナ)と通じ、はうようにゆく」を取り入れており、地を這う様な超低空攻撃が中心にある(太極拳、八卦掌にもあるが)

また、「蚩」の字の一般的な意味合いの「あなどる」も入っており、リックが普段強そうに見えないのは、教えの中に「弱者を演じ、侮らせ、ムジナの様に相手をばかせ。さすれば始まった時には勝利する」があり、それを体現しているからである。

また、リックが対峙した時に相手に指摘を入れるのは、相手を煽る為である。



※リック一人だけガン○ムファイターなのだ!

ムジナはアナグマを指すのだ!ハクビシンやタヌキがそうなのだ!


稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!

スパ○ボOG観てたら50000PV突破してた!感謝なのだ!

止まらない通知音に震えて眠ってるのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!

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