6-12 後処理とケイト姉妹の実力
あれから2日。
エンハンブレも工房に合流し、カリンさんの部屋でグレッグ艦長に色々と報告した。
「事情は分かった。希望者はこっちでも受け入れよう」
「助かります」
教団側の100人のパイロットの内、4割ほどエンハンブレの正規パイロットとして、更に4割が工房守備隊として雇用する事が決まった。
訓練生ばかりで、20人ほどしかエンハンブレには正規パイロットが居なかったから、一気に戦力が整った事になる。
工房側も正規守備隊員兼テストパイロットを雇えたから、かなり防衛力が上がった事に。
んで。
「これは凄い!」
「俺のファナティックがやべぇ物に!」
「こいつ、本当にビリーバーか?別物じゃないか!!」
「このキャバリー凄いよ!流石ピアースの弟さんんんん!!」
今、御大将みたいな事行った奴誰だ!?
自分の機体に乗れよ!ちゃっかりキャバリーに乗ってんじゃないよ!
ったく………。
MA用格納庫に来てみたら、元教団員達がピアースやキャバリーの技術でパワーアップした事にはしゃぐはしゃぐ。
それもそのはずで、ファナティックとビリーバーは、元はかなり高性能で量産性が高く、少しの改造(主にバックパックのジョイントの規格合わせ)で、背中にピアースを背負えるようになり、キャバリーよりかは劣るが超高性能機になったからだ。
キャバリーとの違いはエネルギー量にあり、速度が第一宇宙速度を超える速度は出せなくなっている。
その代わりにビームフィールドを盾として腕部で使えるんだけどね。
「ケイト殿!貴女のお陰です!!これなら教団本部のビショップ達にも引けを取りませんよ!!」
と、副大隊長のエンリケ・メイビンス少佐がデータを見ながら歓喜。
「そいつぁ良かった。後はGキャンセラー用のボヨナの実を入れれば第一宇宙速度に匹敵する速度を出しても安全だ」
「ええ!後は機体コードと色を変えないとですね!」
ま、そこはご自由に。
で、残りの2割ほどは冒険者になったり、パイロットを辞めて工房の社員になるそうだ。
冒険者になる奴等は、機体をそのまま使ってもらう代わりに、整備や補給なんかを工房でやるようにカリンさんが契約を結んだ。
まぁ、普通の整備屋に教団と工房のハイブリッドな機体は扱えないしな。
工房の社員になった奴等は、手続きが終了次第服飾関係のラインに行くそうだ。
「後は……10000人のクルーか」
「何でも半々でエンハンブレと工房の社員になるみたいなのですよ」
「社員にか?服飾関係に行った奴等と同じく?」
「何でも専門的な技術者が必要みたいで、そっちに回すーってグレッグ艦長が言ってたのです」
人が増えるのは良いんだがな。
そんなに雇って大丈夫なのか?
エンハンブレの5倍だぞ?
「そんな人数、何処に入れるんだ?」
「ふみゅ?ケイトさんはまだ見てないのです?」
え?何を?
「あ、そっか。艦長達が来られた時、ケイトさんはグランドロアの調整してたのです」
そういやグランドロアの整備と気になる事の調査をしてたんだったな。
「船外出たら嫌でも見えるですよ」
何がだよ。
ま、後でグランドロアの可動テストで外出るから分かるっしょ。
「あ、ケイトさん、ピフピヘットさん」
「なんぞ?」
「なのです?」
「この後、可動テストで我々も同行してもよろしいですか?自分達の機体の感覚も確かめておかないといけませんし」
「問題ないぜ。特にピアース装備の機体は今までとは全くの別もんだしな」
「助かります」
あ、そだ。
パイロットは全員試さにゃならん事があるんだった。
「エンリケ少佐、数名集めてくれないか?特に腕の悪い奴」
「腕の?」
「最終的に全員試すんだけどな?」
30分後
「バ、バカな………」
「これが、これが最強の冒険者……」
「勝てねぇー!!」
「ハンデってなんだっけ………」
「だらしないぞお前等!!」
「「「「倒れながら言われても」」」」
今あたい等がいるのは、工房守備隊のトレーニングルーム。
その中の組手なんかが出来るマット敷きの広い部屋だ。
此処に集まったのは日本人顔のムラノ伍長、リザード種族のボボンボ上等兵、猫獣人のマリー上等兵、カリンさんと同じドワン族のタミー上等兵のムラノ小隊4人にエンリケ少佐を含めた5人だ。
「おいおい………あたい1人に何で負けてんだよ。少佐もよう?」
エンリケ少佐に集めてもらった100人のパイロットの内、落ちこぼれと言われた4人の身体能力を手っ取り早く測る為に、組手をしたんだが………。
「避けるだけのあたいに負けるって…………少佐も弛んでんのか?」
「僕は文官でね!肉体労働はからっきしさ!」
倒れながら威張んなよ。
とは言え、この中ではエンリケ少佐が1番マシなんだがな。
「まぁ、少佐は及第点だが、他は本当に訓練学校出たのか?あたいの知ってる限り新兵でも少佐ぐらいは強いぞ?」
「くっ………」
「返す言葉も出ない……」
「いっっっっらっ!」
「ちくせう」
「返せないなあ……」
これは予想外だったなぁ……。
「ダメダメじゃねーか」
「お、姉貴」
「よ。トレーニングルームで適性試験やってるってピフピヘットから聞いてなー。見に来たぜ」
姉貴が来た瞬間、全員が驚愕の声を上げる。
テンプレみたいになってきたなー。
とりま全員に事情を話し、教官の経験もある姉貴に後を任せた。
あたいの時より酷い事になったわ。
「文官のエンリケ少佐はともかく………よく訓練学校出れたな?俺が教官だったらもう一度1年からやり直させてたぞ」
姉貴マジで強いな。
あたいやリックみたいに武術を学んだ強さじゃなく、戦場で培った強さだ。
こりゃ1回手合わせしないとな。
「姉貴、1回やってみない?」
「お、ゲームん時のリベンジさせてくれんの?やろうやろう!」
「お前等はちゃんと見とけー」
で、やってみた結果。
「クッッソ………!あたい必殺の超低空鉄山靠が………!」
「マジかぁー……あそこで変則アッパー躱されるかー」
あー……痺れて動けねぇ。
姉貴は息こそ上がってるが、動けそうだからあたいの負けだー。
「引き分けだな」
「何言ってんの。動ける姉貴の勝ちじゃんよ。戦場だったらこのまま鉛玉食らってあたいの負けじゃん」
「「「「「何、今の戦い」」」」」
少佐達がなんか唖然としとる。
アレぐらい普通なんだが?あー……床冷てぇー。
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補足
MAの規格
一般的にMAに使われているパーツの規格はユニバーサル(世界共通)であり、ネジやボルト・ナットであればゴブリンの物でもナイトやグランドーアにも使用できる。
しかし、教団のMAはフレームやジョイント部分がオリジナルの物であり、本来であればピアースをバックパックとして装着する事は不可能であった。
その為、フレームの設計から見直し、大規模に改修しなければならなかったのだが、以前、サユリがプラモ作りでフレームの延長等を行っていたのを覚えていて、MAにも応用出来ないかと提案、それを受けフレーム強度、エネルギー循環路をピフピヘットが見直し纏め、工房、元教団員クルー総出のマンパワーで安全かつ効率的にピアース装備をわずか2日で100機分の改修を実現させた。
この改修での失敗は、ダークマターシリーズのバックパックが不良在庫になり、ピアースも外せなくなった事で、ダークマターシリーズのバックパックは同じダークマターにしか使えず、今後、倉庫の肥やしになったバックパックをどうするかを工房整備班が悩む事になった。
※不良在庫分は後々ケイトがなんとかするのだ!!
稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!
スパ○ボOG観てたら50000PV突破してた!感謝なのだ!
止まらない通知音に震えて眠ってるのだ!
少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!
そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!
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