6-9 茶番

超巨大なビームソードを振り下ろした瞬間、あたいは見た。

幅が何kmもある隕石戦艦の先端部分が、こう、スパッと、スパッとね?




コロニー斬れそう。




斬り裂かれた先端が回転しながら飛んでいく。

うん、方向的に木星に向かってるけど、今すぐどうこうはならないな。

あたいはビームグレートソード……ダインスレイブを解除すると隕石戦艦に通信する。


「次は中身ごとぶった斬る。投降しろ。繰り返す。次は……」


『き、貴様!あの有名なオレンジ色の悪魔か!この異教徒共め!!我等が聖女様を誑かしておいていけしゃあしゃあと!!』


はん?聖女?何の事だ?


「てか、その言い様……教団の奴等か!!」


量子教の戦艦だったのかよ!!

なんつーもん保有してんだよ!隕石に擬態した大型戦艦……いや、隕石その物の戦艦て、ヤバ過ぎだろうが!?


『貴様だけは許さん!量子の神の名の元に断罪してやる!!全部隊出撃!!!』


は?


『ケイトさん!熱源多数出現なのです!!数はひゃ、ひゃく!?』


「はあ!?」


いやいやいやいやいやいや!

100機って!!

おか……しくはないのか?全長18kmもあんだから、中の戦艦部分もエンハンブレなんて目じゃないくらいでかいんだろうしな!

ど、とうする!?

と、慌てるその前に。


「機体種別は!?」


前に投降した機体(ディーコン)のメモリーから教団の保有するデータを抜き取ってあるから、ディーコン以下の機体データは分かってる。


『大半がビリーヴァーとファナティックなのですぅ!新型も!?機種判明!アコライトらしいなのです!!指揮官機と思われるディーコンは数機!』


ビリーバーとファナティックは多分一般兵なんだろうな……アコライトは新型だが、階級的に考えてディーコン程じゃないはず。

イメージ的に役割はザ○・グ○・ド○か?

遠目だが、アコライトはふとましいシルエットだしな?

たが、恐らくスペックは│宇宙こっち基準。

やられ役って訳じゃない。


『待ってください!新たに機影1!データに無い機体なのですぅ!!』


ここに来て新型!?


『オレンジ色に継ぐ。私は量子教団機動隊大隊長│司祭プリーストドルク・メイビンス中佐だ。投降するのはそちらだ』


接触してきた?

声からして40〜50代ぐらいのおっさんだな。


『先程の攻撃は確認している。だが、そう連発はできまい?故に投降してくれる事を望む』


おっと、きたか。

なら、こっちもかますか……姉貴、ちぃと借りるぜ。


「ご丁寧にどーも。こちらエンハンブレ所属の。そちらが先に仕掛けてきたんだろ?」


『む……「何でも屋」とは。ふむ……こちらは教団の仕事で航行中だったのだが?そこを攻撃してきたのはそちらだろう?』


「ハッ!だったら事前に連絡入れるのが筋ってもんだ。連絡も無しにでかい隕石戦艦でやってきたら砕こうってなんだろ?対艦隊用ミサイルぶっ込んで、それでも止まんねーから新型担いで出張ってきたんだ。投降すんのはそっちだぜ?」


『まあ、そうだろうな。だが、この戦力差をどう埋める?いくら「何でも屋」とは言え、生身の白兵では無くMAによる戦闘。かつ、大量にエネルギーを使用した現状、分が悪かろう?』


このドルクっておっさん、なんだろ?戦闘を回避したがっているような?


「分が悪いねぇ……それはそっちじゃね?なんたってこっちは「オレンジ色の悪魔」って前に言われたからな。本当にこっちがエネルギー切れって思ってんなら数ですり潰しゃあいい。それをしねぇでグダグダ言ってんのはそっちが分が悪いからだろ?」


『む……』


「それに……」


『何をグダグダとしてる!とっとと異教徒を仕留めろ!オレンジ色の悪魔を滅せよ!』


「さっきからずっーとよ、おたくの指揮官様がGo sign出してんだが?」


『むむむ』


「『なぁにが「むむむ」だ!!』」


うわぁ指揮官様と被ったー!

てか茶番じゃねーかよ!

その時、整列していた機体の内の1機が、おっさんの機体へと近付く。

おん?接触回線?


『む……そうか。「何でも屋」、茶番に付き合わせてすまなかった。これより我等量子教団機動大隊100名及び突撃艦ミスティルティンクルーは民間運送会社エンハンブレの参加に入る』












……………What's?


「えーと、つまり?あんた等は端から寝返る気だったと?」


『うむ。我等量子教団は本来、争いを否定する教団であり、相互扶助を掲げている。だが昨今の教団は武装化の一途を辿り、我等の様な機動部隊をも設立しだした』


「つまり信じるもんが変わったから離れるってのか?」


『端的に言えばそうなる。それに、のは確認済みだ。ならば信者としてはそちらにつくべき……であろう?』


む……教団の協力者がいるのは知ってたが、そっか、あの船には教団の象徴が乗ってたのかー………………………。


「工エエェェ(ºдº)ェェエエ工!?」


『そんなに驚かなくても。と言うか聞かされてなかったのか?』


「協力者の事は知ってたよ!?エスコートしたのはあたい等だからな!?それが象徴みたいなお偉いさんとは思わんがな!」


そういやあの時の龍人が言ってたな…………

(面白い、面白い面白い面白いっ!を連れ戻すだけかと落胆していたが!!)


その家出娘ってのが量子教団の象徴だったって訳か。

艦長とか今頃驚いてんだろうなぁ………。


「だがよ……どう考えても教団のトップシークレットだろ?大隊長とは言え一部隊の兵士が良く知ってたな?」


『私は雇われでね。伝手もあり冷静なのだよ、アレと違ってな』


アレってのは隕石戦艦の指揮官だか艦長だかの事だな。

ずっとオープンで叫んでいるが。


『ええい!何をやって……き、貴様等!?』


『ふむ。ブリッジクルーも立ち上がった様だな。我等の監視役も抑えられたと言う事だ』


うわぁ……指揮官の人かわいそー。


『上手くいったようだ。それとだが、教祖殿とは古い付き合いでな。隠れてだが相談も受けていたのだよ』


ふーん、タイミングを見計らって反旗を翻そうとしてたって訳ね。


「で、今が好機と感じた訳か」


『フィール工房と木星の駐留軍を粛清せよと言われたからな。監視もそれなりにいたが反旗を翻そうと考えていたのが100人以上居るとは思わなかった様だ。スパイ含め10人程度で止められるものか。出港直後に拘束させてもらった。今あの艦に居るのはさっきから叫んでいる狂信者の指揮官殿と拘束した者達だけだ』


『ケイトさん!新たな熱源出現!輸送艦多数なのです!』


ピフピヘットの報告にその方向を見ると、結構な数の輸送艦がわざわざ白旗引っ付けてこちらへ向かってきた。


『こちらは突撃艦ミスティルティンの元クルーだ。10000人全て脱出を完了した。これより輸送艦エンハンブレへと進路を取る』


『了解した。聞いての通りだ「何でも屋」。彼等をそちらの旗艦エンハンブレへと向かわせる』


いやいやいや、有り難いがちょっと待て。


「いや、流石に10000もの数は受け入れらんねぇって。んー……ピフピヘット、カリンさんに伝令。工房で受け入れらんねぇか聞いてくれ」


『了解なのです』


工房でなら10000人ぐらいなら受け入れられるだろうし、問題無いはず。


『済まないな』


「良いって」


更に輸送艦の1つから通信。


『私は突撃艦ミスティルティンの艦長、ゲイブ大佐だ。急な事ではあったが受け入れ感謝する。これは合流を希望する全クルーの名簿だ。受け入れ先へと送ってくれ』


「了解した」

————————————————————

補足


ダークマタープリースト

量子教団所属のこの機体は、量子教団機動部隊の主に大隊長クラスに支給された機体で、ビリーバーやファナティックとは違い、軍の最新鋭機ナイトを上回るスペックと量産性を兼ね備えている。

教団の一般機との主な違いはその汎用性にあり

単独による大気圏突入は無理だが、そのままの状態で無重力・重力下問わず運用できる点にあり、また、簡易の装備変更だけでその場の状況に合わせた運用が可能となっている。

ケイトが某ロボットアニメに照らし合わせて教団機を表したが、それに倣えばこの機体はゲル○グの立ち位置にある。

主な武装は以下の通り


80mmブルパップ方式アサルトライフル

アサルトライフル付属グレネード

腰部マウント式超鋼メイス

高収束ロングレンジスナイパーライフル(ア、ア、アー…アト、アット?クソ虫の金ピカが装備していたのは初期型のテストタイプ)

背部マウント型120mmロングレンジキャノン

ドルク専用装備超大型超鋼メイス「グレートメイス」



※実は補足はケイトが纏めた備忘録と言う体で書いていたのだ!


稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!

スパ○ボOG観てたら50000PV突破してた!感謝なのだ!

止まらない通知音に震えて眠ってるのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!

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