6-8 貫き斬り裂くは大地の腕

「さて、飛び出したは良いが、放っときゃ2時間、向かっても………1時間以上はかかるんか?」


数学は分からん。

いくら「天っ才っ」(自画自賛)と言われたあたいでも計算は苦手だ。

んな細かい事はサユリかピフピヘットその道のプロに任せりゃ良いんだよ!


『……ケイトさんは博士号持ってるってサユリさんから聞いたのですが?』


「ゲーム心理学のな!」


ゲーム心理学ってのはそのままの意味で、「こう来たらこう」とか「この状況ではこう動く率が高い」とかを纏めたもんなんだが、元々はゲーム依存とか凶暴性がどうたらとかが研究されてたのを「じゃあゲームしている時の脳波の動きはどうか」とかに特化させたのがゲーム心理学だ。

あたいがコレの博士号を持ってるのは、そう言う研究チームにいて、論文をまとめてあたいが発表したからだ。

あん時のチームはいいチームだったなぁ……

実際はプロにもなれんが腕がよく、でも仕事はしたくない奴等が集まっただけの同好会なんだが。

それでも研究費ゲーム代を奪いと…得る為にプロの思考を文章化して書籍出したり、動画配信でレクチャーしたり、医療機関にVRのターミナルケアとしての有用性をプレゼンしたりしてたんだぞ?




全部あたいがやってた気もするが。




ま、そんなこんなで気がつきゃ博士号取ってたんだが。


「と、ともかく!出たのは良いが、どうすんだ?ちんたら向かうのか?」


『そこはこのモーリアンに任せるですぅ!ネヴァンシステム起動!』


ピフピヘットがシステムを起動すると、モーリアンの脚部の根元、股関節が少し伸び、胴と肩が離れ、両脚が根元から前に折れその間に挟まると、やはり胸部装甲が上部へと可動して飛行形態に変形した。

2門のキャノンを装備したステルス機みてーな感じになるのか。


『続いて同調コード送るですぅ』


「受け取った……承認っと」


変形したモーリアンがグランドーアの背面に回るとお互いにジョイントが伸び、ドッキング。

グランシード・ディスパーサルと同じシステムだな。


「完了っと……んだこのパワー!?」


表示される出力とかエネルギー容量とかグランシード・ディスパーサルの3倍近くあるんじゃねーか!!


『じゃ、チャチャッと向かうのです』


「お、おう。んじゃブーストおおぉぉぉぉぉおおぉぉぉおおおぉぉぉ!!」


ブーストかけた瞬間、あたいは星になった。





10分後(((((((((((っ・ω・)っ ブーン




『ケイトさん、もうすぐ目標が見えるのです』


し、死ぬかと思った………なんだこの加速。

意識飛んたぞ………軽く。


「ってか、10分!?あの距離を!?」


どう足掻いても1時間以上かかる距離だったはずだぞ!?


この子モーリアンも元々はキャバリーなのです。ソレを私専用機に改良したのです。当然、第一宇宙速度を出せるのです』


「出せるのです、じゃねー!先に言っててくれよー!!」


いや、ピアースとキャバリーの時に言ってたっけ?けどよー、このコクピットに満たされてるボヨナの実を使ったGキャンセラーが無かったら加速度で圧死してたぞ!?

けどま、実際使って(浸って)みて分かったが、この液体かーなーり、いい!

入る時は不安だったが、空気の様にスッと入れるし抵抗も無い。かと言って勢い良く飛び込もうとするとめっちゃ弾かれる。

メットは無いと息できないけど、ハッチが開いてても宇宙に放り出される事も無い。

更に混ぜてあるナノマシンがこっちの動きを読み取って、腕の振りとかで実が固くなるのを防いでくれている。

固くなるのは外部から強い圧かかかった時だけで、その感じもガチッとでは無くブニョッて感じで、Gや衝撃をあたい等パイロットが感じるのはほんの僅かだ。




でないと操縦出来ないんだが。




んで〜?

そろそろ………お、流石に全長18kmもあるからよーく見えるな。

真正面から見ると丸く見えるが、横に回るとランスみてーに尖ってんな。

…………コレ、本当に自然の物か?


「……ピフピヘット、ちょいとスキャンしてみてくれ」


『スキャンなのです?』


「ああ。気のせいなら良いんだが………」


すんげー嫌な予感がする。


『少し待つのです…………………ケ、ケイトさん!大変なのです!!』


ビンゴか!?


『コレは……戦艦なのです!!所属は不明!』


「やっぱりか!オラッ!!そこのバカでかい隕石のフリした所属不明艦!!もうバレてんだよ!答えろ!何処の所属だ!応答しやがれ!!」


『……応答無いのですぅ!!』


工房で話聞いた時にちょっと考えて「ないない(ヾノ・∀・`)」って思ってたこっちが当たりとはな!!

どうすっか?とか考えた瞬間、その隕石型戦艦の先端に光が灯り、こっちに先端をぶつけてきた。

細い先端とはいえ、全長18kmの先端、目の前に迫ってくるのは、ほぼほぼ壁。


「くっ………間に合え!フルブースト!!」


細い、と言ってもその幅はかなりでかい。

何十メートル、いや何キロあんだ?

普通に考えたら回避は不可能なんだが………叫んだ瞬間、視界から壁が消えた……………

いや、速すぎんだろ、グランドロア。

一瞬でキロは進んでそう……てか秒間7.9kmだったなぁ……。

そら、遠くに隕石戦艦が見えるわな。


『避けただとぉぉぉぉ!!!』


あ、相手から驚きの声が。

お兄様の時といい、こんなん多いな。

「驚く時はオープンで」って決まりでもあんのかねえ?


「ピフピヘット!人がいない場所スキャンできっか!?」


『ちょっと待つのです!………先端からこの辺りまでは武装としての区画みたいなので今は居ないみたいなのです!』


視界の端に狙うべきポイントが表示されるが、元々横からぶち抜く予定のポイントと変わんねーな?

ま、こんだけデカイと何処攻撃しても変わんねーから気にしなくてもいいんだが。


「じゃ、ド派手にかますとしますか」


えーっと?このグランドロアにはどんな武装があんのかなっと………


『でしたら、最大火力の……』


「いや、いい。どうやらあたいは勘違いしてたみてぇだ」


『なのです?』


まったく……グランシードのデータをこっちに移したんだから、ごちゃごちゃ考えなくても良いって気付けよ、あたい。

視界の端には既に今必要な火力の武器が選択されている。

つまり、これを使えって事だよな?


「信じてるぜぇ……相棒!!」


あたいは機体を一気に隕石戦艦の横へと近づける。


『!また先端をぶつけてきたのです!?』


そらそうすっよな?

わざわざ当たりに来た様なもんだし。


「だが遅ぇ!!」


ん?視界になんか…………マジで?

どうやらグランドロアコイツ、あたいと同じノリになってきたな!!


「ちぃーと恥ずいが嫌いじゃねぇぜ!!」


『何がですぅ!?』


「エリジウムマテリアルエンジン!エリジウムマテリアルミニエンジン!!最大出力!!」


『ふぇ!?不活性にしてる両肩のエリジウムマテリアルミニエンジンの出力が上がってるですぅ!?』


「”貫き斬り裂くは大地のかいな”!!」


ん?

なんか声が……?

ま、いっか。

あたいは両腕に内蔵しているビームバスタード改めビームグレートソードを両腕を横に開くと同時に発動。

機体と同じぐらいの長さのビームソードが形成される。


「”くらえ!必!殺!!”」


両腕を上げ手を組むと、2つの巨大な剣が合わさり何十倍にも巨大に伸びる。


「”ダインスレェェェェェェイブッ!!!”」


あたいアタシはその巨大な剣を振り下ろした。


————————————————————

補足


モーリアン

グランドロアとの合体を主眼に建造されたピフピヘット専用支援用MA。

全長17mの機体で、脚部を前方に折り、胸部装甲を上部に可動させる事で飛行形態に変形。その際に脚部は大型ビームキャノンとして使用する事が可能である。

また、グランドロアとの合体時には、上下反転し脚部を折り畳まずに改良型レッグキャノンとして使用する。

簡単に言えば逆立ちして両脚をグランドーアの肩に乗っけている形になるのである。

その為、コクピットをDMCや既存のコクピットでは無くテレンテテーレ人専用のコクピットにしており、常にグランドロアと同じ向きになる様に球体型となっており、どれだけ機体が回ろうがコクピット内部はグランドロアの軸と同期する(合体時のみ)。

そして、自身の制御のみならずグランドロアのエネルギー調整等サポーターとしての役割を行わなければならない為、無数の触手を使用して機体を制御出来るテレンテテーレ人でしか使いこなせない。

また、ピアースとキャバリーを元にしている為最大速度は第一宇宙速度であり、武装や攻撃方法もまったく同じである。

違いはその最大エネルギー量で、エリジウムマテリアルエンジンを2基搭載する事でキャバリーの倍以上のエネルギー量を保有する。

これはグランドロアの予備バッテリーとしての役割を兼ねている為である。



※グランドロアについては後ほどなのだ!


稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!

スパ○ボOG観てたら50000PV突破してた!感謝なのだ!

止まらない通知音に震えて眠ってるのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!

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