6-5 成功

異様に広い製造ラインの端の見学者用の通路をしばらく歩き、ようやくカリンさんのいるオーナールームにたどり着いた。

ペギーさんがインターホンを押すと入るように促され、ドアが横にスライドする。


「オーナー、御二人をお連れしました」


「ん、やっと来た」


「どもッス。MAのライン見せてもらいましたよ」


中に入るとカリンさんがタンクトップ姿で座っていた。


「すごい?ほめて」


タンクトップで胸張んな。

机で見えないが絶対胸に引っ張られておへそ見えてっから。

下着も着けてねーし。

あたい(とピフピヘット)にはねーんだからよ!


「上の階」


「上ッスか?」


「ついてくる」


カリンさんが椅子から降りて歩き出す。

んー……多分、上の階にあたいとピフピヘットの新機体があるからついてこいって事なんだろう。

ペギーさんに見送られながら、とりま黙ってついていくと、さっきまでの量産ラインと違い、わずか数機ほどが格納出来る広さの格納庫へと着いた。

照明ついてねーから暗いな。


「此処は?」


「専用兵器開発専用ライン」


専用って事は!

薄暗い中を目を凝らしてるとカリンさんが照明をつけてくれた。

照明に照らされた格納庫にはシートがかけられた機体が……1台?


「カリンさん、新機体ってあの1台ッスか?」


「?…2台ある」


2台あんの?どう見てもシートかかってんのが1台あるだけにしか見えないんだが?


「あのー……ケイトさん。もしかして正面のシートじゃないです?」


ピフピヘットが正面にある壁にかけられたシートを指差す。

壁にかけられた、とは言ってもMA用のシートだからな。ざっと30mはあるんだが、この格納庫は専用とは言えMA用。天井も50mは当然ある。


「いや流石にそりゃねーんじゃね?」


横幅も機体を動かす事を考えてそれなりに広いし、MAの横幅だって数mはある(余程でなければ10mも無いが)

壁にかかっているシートはどう見たっていっぱいいっぱいに広げられ、10mはある。


「そりゃグランシード自体のコンセプトからしても、重量級だしデカかったけどさ。それ引き継いでいてもそんなにデカくねーって」


「そ、そうですねー」


なはははは……とあたいとピフピヘットが笑った瞬間、バッサー!と壁のシートが捲れ落ちる。

え?っと思うと同時にそのシートが中程から「くたぁ」と折れ曲がりあたいらに向かって落ちてきた。


知ってるかい?

防水加工されてるシートって折り目の部分、刺さるんだぜ☆


「どぅわあああぁぁぁ!!」


ズコーン!と折れて三角になったシートの先端(?)が床に刺さる……いや、刺さりはしないが床にぶつかるとそのままスーッと滑ってあたいの足を押しのける。


「ぶべ」


前のめりにこかされシートの上に乗ったあたいごとシートは伸びていきスススッ…といつの間にか後ろに下がっていたピフピヘットの前まであたいを搬送してくれた。


「だ、大丈夫なので…す?」


「ん。成功」


何がだ…と思わず起き上がって叫ぼうとしたその時。


「ん?……ん」


なんかカリンさんに連絡が入ったみたい。

カリンさんがしばらく端末をジッと見つめているその端末から何か叫ぶ声が……。

それを何事かと見ていると、何時もの無表情で端末を閉じた。


「ふう」


「ど、とうしたんすか?」


「緊急事態」


「緊急事態ッスか?」


頷くカリンさん。


「ピフピヘット、そっちのMAに」


「ひ、ひゃい!?」


カリンさんが指差す方にはシート掛けされてるキチンと格納されてる機体が。

アレがピフピヘット用の機体か〜……シートで見えねぇけど。

と思ったらシートを吊るしてた作業アームがシートを放し、再びくたぁとなったシートの折れ目が降ってきた。


「のっひょー!!」


折れ目の先端がズゴッと床に刺さると内側に丸まり、残りの部分がふぁさぁとあたいに覆い被さった。


「成功」


「何がじゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」



─────────────────────

補足


フィール工房の規模

小惑星型の大きさ(月の1/4ほど)のフィール工房において生産ラインは多数存在し、その大半は服飾関係のラインであり、全体の2/3を占めている。

その中でも女性向けの商品が多く、新作が発表されれば軍・民間問わず注文が殺到する。

その売り上げはMAを専売にしている企業に匹敵し、その莫大な資金を元手にヒュペリオン社から戦闘機の製造ラインを丸ごと買い取った。

買い取った当初はファイターやゴブリンの整備を請け負ったりしていたが、ピアースとキャバリーが完成した為その規模を縮小し、数カ月後にはクリプトン財団にその製造ラインを貸し出す事が決まっている。



※専用兵器開発専用ラインとカリンは言ってるが実質趣味の部屋なのだ!


稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!

スパ○ボOG観てたら50000PV突破してた!感謝なのだ!

止まらない通知音に震えて眠ってるのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!

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