5-13 帰還

今あたいは唖然とその姿を見ている。

コウモリ男のヒーローかな?スカート履いてるけど。アレ設定上、スーパーリッチだからついにMAまで作ったのかな?スーパーな男を倒す為に専用のパワードスーツ作ったぐらいだから作りそうだしな?別会社のヒーローも自分用のスーツにパワー特化の専用アイアンスーツ作ってたしな?「いやいやまたどっかの地球人ができるからってアホな設定引っ張り出してき…」


『真っ先にアホな設定引っ張り出してきた人間に言われたくないわよ』


おっと、声に出てたか。


「アホで結構。んで?なんだその女装したヘルカス擬きは?」


『カリンさんから新機軸のパーツ依頼があってね?その中にバックパックの拡張とかあったのよ。んで、アクティブクロークの事をつい漏らしちゃった』


「そりゃ分かったけど……なんでそのデザインにしたんだよ……」


他にもあっただろうが。

ウイングにもマントにもなるヤツとかさ。


『ん~、一応私の師匠をイメージしたんだけどねー』


その師匠とやらは死神か?


「その師匠って」


『日本で戦ってた時の師匠。では「大鎌使いのシスター女王」って人で強かったわ』


はん?「で」?「の」じゃなく?

向こうって何処だよ。あ、異世界とか言ってたな。




訳がわからないよ。

えっと、識別コードは……「シスタークイーン・デス」?まんまかよ。


『それよりも随分やられたわね』


「まぁな」


連戦だったしな。それにサブアームによる隠し腕はきつい。アレはあらかじめ知っていたとしても、その軌道まで読みきれるもんじゃねえしな。


『ちっ……援軍とはな』


「さーてクラゲの。どうすんだ?こっちはコレは機能停止してるが動けんの3機残ってんぜー?」


とか言ってみたが、リックの機体は関節がガッタガタだし、ピフピヘットは新兵レベル、グランシードは動かねぇから戦えるのは実質サユリの機体のみ。


『今なら厚待遇で捕虜にしてあげるけど?』


サユリが大鎌をクラゲ野郎に突き付ける。


『わかった。どの道全ての武装が無い。降参だ………とでも言うと思ったか!!』


クラゲ野郎の機体の肩部が前後に分かれ下に折れ、前面と後面を覆う。


「なっ!?それもアクティブクローク!?」


更に剥き出しになった肩には大型ブースターが取り付けられていた。

そうか!先回りできたのはアレを使ったからか!


『さらばだ!!次こそは全員食らってやるからな!』


サユリが咄嗟に大鎌を振るとビームの刃がクラゲに向かって飛んでいく。さっきサブアームをぶったぎったのはこの攻撃か。

だが、その刃よりも速くクラゲは飛び去っていった。








「せーだいにやられたのう」


あの後、ピフピヘットが再び合体してなんとか全員で帰還したあたいは、格納庫の端で完全に動かないグランシードをじいさんと一緒に見上げていた。


「おいジジイ。なんでDMCユニットをコクピットの前面につけてたんだよ」


「コイツは試作も試作、今までお前さんの無茶な動きで戦えていたのが奇跡なんじゃ。その証拠に他のDMCユニット搭載機はシートの後方に付いとるでの。グランシードだけなんじゃ、前面に備え付けていたのは」


「だったら付け替えろよ、時間あったろ」


「軍からのテスト機体じゃから整備しかできんのじゃ。文句は軍の開発部に言え」


「うわひっでぇ」


「ついでにその軍がデータと一緒にそろそろ返せと言ってきとるでな。修理が終わったらオサラバじゃな、コイツとは」


マジかー。

その内言ってくると分かってたが今かー。

なんだかんだで専用機だったからなぁ………これでお別れかと思うと凹むぜ………。

だが、そうなるとあたいの乗る機体が失くなるんだが。


「ケイトー?あぁいたいた」


「サユリ?それに艦長?」


サユリと艦長がこっちに飛んできた。


「艦長なんぞ?」


「ケイト、今からフィール工房へ荷物を受け取りに向かってくれ。あと、このデータをそっちの端末に渡しておく」


艦長からあたいの端末にデータが送られてくるが……やたら重いな?何のデータなんだ?


「荷運びは良いけど機体が無いぜ?グランシードはこんなんだし、それに返すんだろ?」


「そうだ。前に提出したデータの関係上、アエードーンも一緒に渡さなきゃいけないんだが」


「アエードーンもかー」


「アレはこっちで作った機体だから権利はエンハンブレこっちにあるんだが、アレ有りきのデータだからな」


だよな。


「ま、工房に替えの機体を2機用意してるから、楽しみにしとけ。最高級品だぞ?」


マジで!?


「良いの!?」


「当たり前だろ?お前が今の所このエンハンブレでの撃墜王エースだからな。良い機体に乗せるのは当然だし、今更通常の機体に乗せても操縦系統が違うと新兵に毛が生えた程度だからな」


エース!このあたいが?

マリアさんとかさ、他にいんのに?

なんか申し訳無いなー薙ぎ払っただけなのにさー。

と、申し訳無さを感じながらも、今更ってとこに引っ掛かる。


「今更ってぇこたぁ、DMC搭載機か?」


「だけじゃないわよ?グランシードの欠点だった武装面を見直して改良してるし、用に1から作り直してるから、見たら驚くわよ?アエードーンの代わりもあるから取りに行ってね」


「マジか!新型が2機も!んで、んで!機体名は?」


「それは行ってのお楽しみ♪あ、受け取ったデータは新しい機体に直ぐにインストールしてね?そのデータの中にグランシード・ディスパーサルのデータも入ってるから」


てこたぁ、グランシードが無くなった訳じゃねぇーんだよな!?


「2番格納庫でピフピヘットと合流したらアエードーンで行ってくれ」


「了解。アエードーンは?」


「工房に置いといて良い。メンテしたら工房から軍に送る手筈だからな」


「了解!早速行ってくりゅー!」



――――――――――――――――――――

補足


DMCユニットの設置位置

この世界において、機体の頭脳とも言えるシステムは多くはコクピットの後ろ、もしくはシートの下に置かれている。

初期のMAはコクピットの形状上、戦闘機のコクピットをそのまま流用していた為、設置場所が少なく、前面、特にレーダー画面等、各計器と一緒に設置されており、何らかのトラブルで基盤がショートしたり、プログラムが誤作動を起こした時、パイロットが自力で予備の基盤に交換していた。

しかし、ソルジャーがロールアウトした時にコクピットをMA専用に交換し、全周囲モニターに変更された事で、基盤の小型化や耐電圧性能の向上が同時に成され、シートの下や後方に設置出来るようになった。

これにより機体前面が破損しても前面モニターと装甲が破損するだけで行動に支障は無くなった(ただしモニターとしては使えないので視界が目視のみになる)

だが、新たに博士が開発したパクったDMCユニットはコクピットその物がユニットであり、重要な機器が前面部にあり、今回の破損がそのままシステムの停止に繋がった。

サユリが新たに開発したケイト姉のフレスベルグやリックのニーズヘッグのDMCユニットはボックス化されており、シートの後方に設置されている(フレスベルグは下方)為、コクピット前面が破損しても見えにくいだけで行動に問題は無くなっている。



※そろそろ新機体を用意しないとタグ偽装になりそうなのだ!


稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!

ボーッとしてたら40000PV突破してた!感謝なのだ!

止まらない通知音に震えて眠ってるのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!

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