5-8 歴史を揺るがす触手幼女
『そろそろ合流ポイントよ。準備して』
あれから色々と機体の特性や他愛ない事を話ながら2時間ほど。
ようやく合流ポイントへと辿り着いた。
思ったより早く着いたな。
流石に向こうはまだ来ていないか。
『リック少尉、ケイト中尉。残量は?』
マリアさんのグロリアスナイトを姉貴のフレスベルグが運び、あたいのグランシード・ディスパーサルをリックのニーズヘッグケーニッヒが運んだから、あたいとマリアさんの機体はなーんにも消耗してないが、流石に2時間も飛ばしてたら燃料底突くだろ。
『問題なく』
『こっちもだ』
そんな事は無かったぜ。
『………どういう作りなのよ』
『サユリが言ってたが、ただ飛ぶだけなら何日かはもつって言ってたぜ』
『何でも既存のエリジウムマテリアルエンジンを更に効率的に扱える様になったと言ってました』
エリジウムマテリアルエンジンかぁ。
確か、宇宙を構成する色んな物質が固まって出来た鉱物結晶(正確には鉱物ではない)エリジウムマテリアルを砕いて抽出して再結晶化してコアにして燃料にしてるんだったっけ?
「そのエリなんとかってエンジンがMAに使える様になったのって最近なんだよな?」
『そうだぜー。前は戦艦にしか使ってなかったからな』
『何でも腕の良い技師がエネルギー効率の悪さを改善したらしく、そこからMA用に使えるようになったみたいです』
ふーん、スゲー技師もいたもん……だ?
エネルギーの効率化?
『ほーんと、その技師さんスゲーのよな。その人がいなかったらMAの開発は後100年はなかったろうぜ?』
『ぜひ、
『そうよ?トップにいた私が言うのも何だけど、その技術を巡って軍の開発局の一部と企業が癒着したせいね。当時の開発局のトップがいけ好かない奴だったのは覚えてるわ』
「マリアさんはその技師と面識は?」
『無いわよ、無い無い!あったら権限使って保護してたか
んん?
既存の概念をぶっ壊すエンジニア集団?
『戦闘機1つにコストが掛かりすぎるって理由で採用されなかったけど、私的にありなプランを持ってきてたのよー。アレが採用されてたら今の部隊運用が総変りしてたわよ!』
…………
「皆さん、ちょっと良いですか?」
あたいの発言に全員がこっちを向く。
「ピフピヘット………何か申し開きしたい事は?」
『………はううぅ……兄達が御迷惑をお掛けしました……』
『え?ちょっと待って?兄達?迷惑?何のはな………あ』
『あぁ、そう言う………』
流石にマリアさんとリックは気付いたみたいだな。
『おい、ケイト!どう言うこった?マリアもリックも?』
「姉貴、マリアさんやリックが言ってた事、既に叶ってるって事だよ」
『これは帰ったら父に相談しないと』
『あら?クリプトン財団には渡さないわよ?』
『取りはしませんよ。ただ、歴史的に偉人になりそうな人材を冷遇した軍にそれなりの対応をしてもらうだけです』
『その話乗った!』
『はううぅぅぅぅ………!』
『だから何の話なんだよ!』
『ピフピヘットとお兄様集団が歴史の教科書に載るかもって話だよ。地球だったらノーベル賞もんだ』
地球で言えば、原子力に変わる既存のエネルギーが見つかって、それが強すぎて使いにくいってなった問題をいきなり一般にも使えるように解決したんだ、平和賞ぐらいは取れそうだ。
とは言え、何年経とうが宇宙であろうが人の手柄を横取りする奴はいるもんだ。
ちょいと前にお兄様に聞いた話、コンセプトが合わないって理由で不採用になったのは1度や2度ではなく、何をどう出しても全て却下されていたみたいで、その時のプレゼン資料を見せてもらったんだが、戦闘機のみならず支援機や輸送機、果ては補助用の軽車両まで却下されてたのは草すら生えんかったわ。
もし、マリアさんの耳に入ってコンタクトが取れていたら開発局のトップにでもなってたのかも知れねぇな。
『そうねぇ……現在のトップも代わって無いだろうし……ケイン使って不正の証拠集めてマスコミにばら蒔く?』
『その時は父に頼んでクリプトン財団の名で記者会見しますか?その方が後々都合が良いですし』
『都合が良いのは財団だけでしょ?』
『巡り回ってエンハンブレね?』
巡って無い気がするんだが?
むしろ今回の教団絡みで今、エンハンブレは財団のバックアップ受けてっからな?
『ついでにU(アンリミテッド)ランクの冒険者にも発言してもらえば最高じゃない?』
『なんか勝手に巻き込まれてる!?』
姉貴、諦めろ。
さてさて、そろそろ合流のお時間になって参りましたがっと。
その時ピフピヘットが何かに気付き叫ぶ。
『……!皆さん!ポイントN6から救難信号なのです!これは……合流予定の対象が追いかけられてます!』
合流はすんなりとはいかなかったか。
『アルファ部隊各機!お客さんだ!』
『アルファツー了解!』
『アルファスリー了解』
「アルファフォー了解!」
『アルファファイブ了解ですぅ!』
さて、どうなるかなっと。
――――――――――――――――――――
補足
お兄様集団の却下されたプラン
軍にいた時にピフピヘットの兄達が却下されたプランは、大きく分けて3つ。
1つ目は基本の性能を上げた機体であり、見た目には既存の戦闘機とほぼ変わらない。
2つ目は何かしらの特化性能の機体で、火力しかない機体や防御力のみの機体、速度に特化した機体。
3つ目は所謂、支援機や輸送機。
却下された時の棄却理由は以下の通り。
1:見た目が変わらないのであれば整備時に既存の機体と間違えたり、パイロットが違う機体に乗って混乱が起きる。
2:何れも特化し過ぎて扱いづらく使用目的がわからない。
3:支援機や輸送機は既存の物で充分。
どのプランもこの3つの理由で却下され続けていた。
後にケイト達がこの資料を見た感想は「バカだねー軍は」であり、マリアも「私が関わっていたら癒着してた奴等を銃殺刑にしてこのプラン全部採用してた」と答えている。
その理由として、
1はとどのつまり、最も普及している機体のアップデートであり、各パーツも一括生産の為量産しやすく、少ない資金で何段階も上の高性能機を全軍に配備できる。
2はそれぞれ、火力特化は後方に配備したり拠点に設置する、防御特化は重要人物(軍高官や指揮官など)を乗せたり(ケイト曰く「総統のメルセデス」)、拠点の前面に配備する事で拠点自体の防御力が上がる、速度特化はとにかく急ぐ時や相手の裏をかく時に使える。
3は支援機や輸送機が墜ちなければ、相手に対しアドバンテージを取りやすくなり、最前線のパイロット達の負担が軽くなる。
等々が挙げられている。
このケイトやマリア達の声に艦内に響き渡るほど号泣したお兄様集団は全ての資料をグレッグに提出。
ケイト達の補足説明により理解したグレッグがカリン工房とクリプトン財団を通して独占販売(財団にも元々持っていた工場がある為正確には独占ではない)を行い、軍以外に売り付け(←ココ重要)、エンハンブレ・フィール工房・クリプトン財団の三者が大儲けする事になった。
※技術の横取りは時代を問わないのだ!
稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!
ボーッとしてたら40000PV突破してた!感謝なのだ!
止まらない通知音に震えて眠ってるのだ!
少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!
そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!
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