4-18 ケイト判別機リック

「な、なななな、何でも屋!?」


「しかも2人!?」


「増えてるでヤンスー!!」


増えてねぇって。


「混乱してるとこ悪いが、別人だ。私が「何でも屋」だ」


と言っても、見た目も声も全く一緒だから判別なんかできないんだが。

その時、艦長室にリックとレオンさんが入ってきた。


「聞き取り中失礼します。父を連れて参りました」


「グレッグ艦長、失礼する」


「あ、そうだケイト。後でニーズヘッグの調整を手伝ってくれないか?フルブースト中に少し左にズレるんだ」


「お、おう……」


え?リック、迷い無くあたいに話しかけてきた?

隣に姉貴いんのに?

リックの迷い無い行動にあたいだけでなく全員が固まる。


「あ、失礼。そちらが先でした」


「いや、それは良いんだが……」


艦長がどう言えばいいのか困ってエリーゼさんに目配せ。


「ええっと……リック少尉。その、よく見分けがつきましたね?ケイト中尉が側にいらっしゃるのに……」


エリーゼさんに問われ何故か困惑するリック。


「え?分からないですか?全くの別人ですよ?」


更に全員が困惑。

今、あたいと姉貴はお肌にぴっちりのパイロットスーツを着用し、なおかつ姉貴はわざとあたいと同じ色にしている。

自分でも「鏡かな?」って思うぐらいなのに、何故かリックは判別出来てる。


「た、例えばどう違うのだ?」


「えーと、ケイトと中尉の違いは、まず肉付きが違います。中尉は長年鍛えているのでインナーがしっかりしてまして、軸がずれてません。ケイトは地球で戦ってはいたんですが、中尉ほどではありませんし、ケイトの方が目が少し垂れてますし、髪の質も年齢差が現れてます」


言われて姉貴が髪を弄りだし、あたいは思わず二の腕をぷにった。


「あと、中尉もケイトも自由ですが、ケイトは「面白そうな事」を目で探して、中尉は困っている人を探してますよね?」


「ではリック。他の方々はどうだ?」


レオンさんが急に周りの人がどうかを聞き出した。


「他の?んー、艦長はエリーゼ副艦に「休ませてくれー」って良く目で訴えてますよね?対してエリーゼ副艦はたまにですけどアイドルでも見るような表情で艦長を見てますし」


艦長が思わずエリーゼさんの方を見て、エリーゼさんが目を反らした。


「通信士のレイチェルさんは操舵士のゲイリーさんを気にされてますけど、ゲイリーさんはオペレーターのミレイさんばかり見てますし、そのミレイさん自身はケイトばかり見て……」


「おっとそれ以上はいけない!!」


なんか本人達の居ないところで凄まじいダメージが発生した上に、あたいにまでダメージが向かってきた。


「うおっほん……と、ともかくだ。役者は揃った。今回の件についてまずは冒険者6人から経緯を聞きたい」


「あ、はい」


艦長が無理矢理話を戻す。

これ以上は何とも言えない空気になるからな………あたいが。


「3日ほど前でしたが、俺達がギルドでクエストを探していた時に声を掛けられたのが最初で、その時は海賊の真似事としか思えない依頼でしたので、断っていたのですが、詳しく聞くと友人への誕生日のサプライズをしたいとの事でしたので受ける事にしました」


「ふむ……サプライズか。確かにサプライズだったな。だが、依頼としてもギリギリの範囲だ」


「はい。ですのでギルドに許可を取っているか何度も確認したのですが「している」の一点張りでした。今となってはギルドに直接確認すれば良かったと後悔しております」


タンジの報告にレオンさんが頷く。


「そこに関しては我がクリプトン財団からギルドへ報告し役員会で対処しよう。それで、結果として受けた訳だが、依頼料が良かったのか?」


「その通りです閣下。友人を祝いたいと言う願いもあったので「安くても」とは思いましたが、まさかの破格でした」


「詳しく聞いても?」


「はい。依頼料はMAに掛かる経費全般の前払いと成功報酬としてMA6機。自分達が乗っていたソルジャーです」


うわお。

MA1人づつって、それは破格どころじゃないな。


「経費含めて8億弱か……ギルドの依頼としては有り得なくは無いが宝くじレベルだな」


そんなに凄いのか。

そもそもあたいはギルドの報酬額知らんし。

話の腰折ってもしゃーないので、後で聞くとするか。


――――――――――――――――――――

補足


ギルド報酬額

ある日の艦長室

ケイト「なあなあ。あたいは知らないんどけど、ギルドでの報酬って相場何れくらいなん?」


グレッグ「ん?そうだな……今回の事件の場合、依頼その物はC……いやDランクだな。MAが必要だからCなのだが、依頼主からの貸し出しで、戦闘は無しの可能性が高いから、D相当。その場合の正当な報酬額は500万いけば良い方だ」


ケ「Dで500万!?何それめっちゃ儲かるんじゃ?」


グ「んな訳ねぇだろ。Cランクへ行くのにMAが必須で、1機辺りいくらすると思ってんだ?中古のファイターやゴブリンで5000はするんだぞ?それに、買ったら買ったで整備代やら場所代、自分の生活費……ギルドで冒険者やるなら少なくとも1億は貯めなきゃCになれん」


ケ「MAだからそうだよな……けどさ、さっきからCに拘る理由が分かんねぇんだが?」


グ「そりゃCから報酬額が変わるからだ。冒険者のランクの下はDとZだ。このZは一般人の小遣い稼ぎみたいなもんで、報酬も1回1~2万ほどだ。で、Dは50~100万。そしてCからは500が最低ラインだ」


ケ「一気に5倍!それも最低ラインで!?なる、それでCに拘るのか。そこからならMAを使った本格的な作業や戦闘が視野に入るから、それこそ整備や弾代考えると500でも足りない可能性がある。そう考えると、宝くじってのも頷けるな」


グ「で、問題の報酬額だが。MAが6機、それだけで7億ぐらいの価値があり、経費全般の負担額が重なって8億ほど。金額としたらBかA-ぐらいの報酬だ」


ケ「Dでそれは無いだろ……じゃあさ、正しいランクのAとかって場合の依頼内容ってか危険度は?」


グ「未開惑星へのほぼ単独での調査とか他のパーティーが戦争してる所への戦闘支援要請とか?」


ケ「割りと危険だった件」


グ「場合によっては激戦区への降下もあり、Bランク辺りは報酬額も高いんだ」


ケ「ふむふむ……今んところの報酬の最高額ってどんぐらい?」


グ「うちで一括1兆だな。滅多にないが。その分分割とかで合計でそんぐらいは貰う……これでも足りないんだよな……」


ケ「まぁ、戦艦だし1000人も居るし。てか、よー回せてんのな?」


グ「そこは軍からの報酬が定期であるし?他にも色々やってるさ。だが、個人での最高報酬額はやべぇぞ?」


ケ「おいくら万円?」


グ「軍からの依頼だったから記録が残ってるはず……確か公式記録で……20兆」


ケ「アホか!?何処の誰だよそんなに稼いだのは!?」




他部署内


ケイト姉「ぶえっくしょい!!…………?」




過去に軍相手に吹っ掛けて20兆をもぎ取ったのはケイト姉でした。

MAに掛かるコストが分かりにくい場合は自動車の維持費で考えてもらうと理解しやすいです。

(自動車代、保険料、駐車場、車検、燃料その他諸々)



※ケイト姉は荒稼ぎのプロなのだ!


稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!

………まさかの25000PV突破感謝なのだ!

止まらない通知音に震えて眠ってるのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!

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