4-16 黒き竜

決闘とか言って人雇って、後ろ楯か小飼かわかんねぇ連中引き連れて、挙げ句不意打ちとは。


『む?その声、あの時の妙竹林か!』


「誰がチビだってぇ!?んで、てめえ!何してんだよ!?何がしてえんだよ!?」


『チビジャリには関係ない!リック、リックは何処だ!?アレか!さっきの青色か!?』


リック狙いか?まぁ、決闘って言ってたし狙うのはわかるけど。


「ハッ!だったらどうしたってんだ!そもそも正式な決闘を言い出しといて人連れて不意打ちしてんだ!なら、これは決闘じゃねえ!あたいがあんたをボコる!徹底的にだ!!」


『やってみろ売女ぁぁぁぁぁぁぁ!!』


アトランが叫ぶと金ピカのバックパックに付いている2つの箱から何かが射出される。

同時にセンサーが上方からのアラートを出してきた。


「……!マイクロミサイルか!」


咄嗟に両腕で防御しながら降り注ぐアラートに対し、細かくアポジを吹か姿勢制御しながらミサイルを引き付け……


「ここ!」


一気に斬り裂く。

マイクロミサイルの何個かに上手く当たり爆発、その誘爆に巻き込まれ大半が消失する。

何発か食らったけど、マイクロミサイル1発自体は大人1人で抱えられるほどの大きさしかなく、グランシードの装甲厚なら1発2発程度なら凹みもしない。


『チィ!』


「レベルが違うんだよ!!」


あたいは一気に詰めより突きを放つと、その切っ先は肩のジョイント部を貫く。

すかさず左足で腹部を蹴り上げる。


『ぐぉぉぉぉぉぉぉ!!』


更にブーストを吹かし、吹き飛んでる金ピカに追い付き追い越す。


「………はっ!?ケイトどうなってる!?」


後ろでダウンしてた姉貴が目を覚ましたみたい。


「姉貴!これからフィニッシュだ!」


金ピカを追い越し十分な距離を取ると流石DMCシステム。

画面に『フルチャージ』の文字とカウントが表示される。

何をフルチャージしたのか分かんないけど。


「よっしゃ!いくぜいくぜいくぜー!!」


「何をする気だ?」


「必殺技さ!!カウント3・2・1……グランシードキィィィィィィィィィック!!!」


飛び蹴りの体勢で吹き飛んでくる金ピカへ向けてブースト。

あたいの蹴りが金ピカの腰に当たり、砕き、貫き、キリモミ回転しながら金ピカが弾け飛ぶと、蹴りの衝撃とキリモミ回転の遠心力で千切れた手足を周囲に撒き散らしながら別方向へと飛んでいった。


「………いや、あれ、フツーに死ぬだろ?」


あたいとしては、爆散しなかったのが不思議なんだがな。


「てか、あの機体……最新鋭のナイトの改修機みたいなんだが……」


「それってつまりさ、軍からの横流しって事だよな?姉貴、そんな事有り得んのか?」


「無いとは言えないな。何せデバイスですら市場に出回ってんだ。MA1機ぐらいどうとでもなる。それに………」


姉貴がズームであたいが倒した機体をモニターに写す。

その機体は黒地にどす黒い赤のラインが入った、既存のどの機体、ソルジャーでもナイトでも、ましてやファイターやゴブリンでもない作りで、頭部は楕円形で顔、と言うより丸ごとセンサーを顔に見える様にしただけで、色合いが白ければ猿顔に見える。

胴体は球体状の胴体部を装甲プレートで覆っただけの簡素な作りで、腰部中央に左右の股関節を守る装甲と一体になったコクピット、その装甲も後方へと流れブースターにもなっている。

肩部から腕部は既存のパーツっぽいけど、全体的に細身で何処のメーカーなのか分からない。


「見た事無いMA作ってるメーカーもあるしな」


それ言ったら、あたい等の機体も見た事無いメーカーになるんだが。


「それより、脱出したパイロットとアトランの機体を回収しないと」


えーと、確かあっちの方に………あ、いた。

脱出したはいいが、どうしようもなくなって救難信号を出していた。


「今、向かう……ん?」


その時センサーに凄い速度で飛来する機影が写る。


「……な、何だあの機体?ドラゴン?」


飛来したその機体は、倒した黒い機体と同じく黒地に赤ラインで三つ首の竜に見える戦闘機の様だった。

エピ◯ンかな?

その竜は救難信号を出していたパイロットの近くまで来ると減速し、パイロットを回収すると今度はアトランの方へ。


「………あ、おい!まて!!」


慌てて近付こうとすると、竜の首が

その勢いそのままに機体が立ち上がり此方に振り向き様に

咄嗟に回避した時に見たのは、此方に伸びてきた腕が


「ドラゴン◯ング!?」


ドラゴ○ハングってのは、腕を伸縮出来る様に関節部を多関節構造に改良したり、伸ばせるようにサブアームを取り付けた外付けアームで竜の顔を模しており、本物よろしくその牙で掴んだり砕いたり出来る様にした物だ。

そして、そのアームの内蔵でフレイムスロワー火炎放射器が大抵ついていて、対象を燃やせたりする。

まさか、昔のアニメの冗談みたいな兵器を300年経った未来の宇宙でリアルに見れるとは………

唖然としていると再び竜に変形し、アトランの機体金ピカを咥えて飛び去っていった。



――――――――――――――――――――

補足


MA製造メーカー

現在、公式にMAを製造するメーカーはいくつかあり、軍お抱えのメーカーはヒュペリオン社。


ヒュペリオン社

このメーカーは高級志向ではあるが、様々な兵器を取り扱い、ヒュペリオン製銃器には簡易の電磁シールドが取り付けられていたり、撃てば撃つほど反動が抑えられる機能が付いていたりと、扱い易さと安全を売りに出している。

現在ではMA中心ではあるが士官学校での訓練用からエリート士官に至るまで、愛用者は多い。

欠点は安定する代わりに威力が抑えられていたり、価格がやや高く、これはMAにも言える事で、安定した性能だがやっぱり高い。

代表MAはグランシード(DMCシステム運用試験機。実質の作成はコクピットフレームのみ)、ファイター(元は亜東重工製ゴブリン)、ソルジャー、ナイト

本編未登場パラディン



亜東重工

このメーカーはMA開発においてヒュペリオン社と競ったメーカーで、性能よりも整備性の高さと量産時における安さを売りにしている。

が、整備性と量産性に特価し過ぎ、軍部が求める性能(と外観)を満たせなかった。

しかし、町工場でも作れるその安さから民間では人気で、現在、MA用外付け補助パーツや実弾兵器の性能の高さで着実に業績を上げていっている。

代表MAはゴブリン

本編未登場ホブゴブリン、オーク、オーガ



フィール工房

言わずと知れたカリン・フィールがオーナーの工房で、メーカーと言うよりは個人経営店に近い。

しかし、取り扱うジャンルは多岐に渡り、雑貨、洋服等のアパレルからMAのカスタムまで取り扱う。

今まではMAの製造は行っていなかったが、DMCシステム搭載のコクピットフレームを軍(エンハンブレ)から譲り受け、それを使用したMAを建造した。

メーカーとしてはオリジナリティ溢れるデザインが多いが、元歴戦の兵としての観点から無駄がなく、小柄な女性兵士が扱う事を念頭に置かれている為、女性を中心に信頼性が高い。

代表MAはアエードーン(便宜上)、ニーズヘッグ(リックの青い機体)

本編未登場フレスベルグ


クリプトン財団

リックの実家。

正確には製造メーカーではないのだが、護衛機等の機体の製造に最近着手した。

本編未登場ウォーリアー



※宇宙の技術は冗談でも形になるのだ!!


稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!

………まさかの20000PV突破感謝なのだ!

止まらない通知音に震えて眠ってるのだ!

少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!

そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!

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