4-14 アンチビームコーティングマント
やべぇな。
コンテナに直撃しなかったのは幸いだが、センサーの範囲ギリギリからの長距離射撃。
近づかなきゃ数も把握出来ねぇ……
「あのロングライフル、厄介だな……」
「ケイト。こっちにはねぇのか?」
「残念ながら。アエードーンがありゃあちょっとは変わるんだが」
後ろの補助席の姉貴にゃ悪いが、アエードーン置いてきてんだよな。
それにグランシードは機動性は有るんだが、推進力が普通のMAとそんなに変わんねぇから、あの射程距離で撃たれ続けたら近付くのもキツイ。
「くっそ、姉貴の機体かリックの機体が完全なら問題無かったんだが……」
「無いもんはしょうがない」
そなんだけどね……
その時だった。
『ほいっと』
あたい等を包囲していたソルジャーの1機がいきなりライフルを撃った。
当然届かない……と思ったら。
遠くの方でふんぞり返ってた金ピカの機体のロングライフルが爆発した……
『流石アン!俺はお前ほどのスナイパー見た事無いぜ!』
『いえーい。ほめてー?』
「おい!?今何した!?」
『ん?何って……スナイプ?』
スナイプって………あ。
そっか!
「実弾か!」
確かにこの距離はビームは減退するから届かないが、実弾なら慣性で届く!
「いやいやいやいや……アンっつったっけ?すげえ腕してんな。フェニックス隊にもスナイパーは居たけど、アレは無理。砲身、それも銃口狙ったろ?どうやった?」
「姉貴、マジ?」
この距離狙ったの?点にも見えないライフルの銃口を?
『んー……感?これくらいの角度で撃ったら入るんじゃないかなーって』
『アンはこう言う直感はずば抜けてんだ』
いや、マジで凄くない?
しかも計算したとかじゃなく直感で。
「何でそんな凄腕が海賊みたいな事してんだよ……」
『ちゃんとした理由があんだよ!それより来たぞ!』
その声に前を見ると、金ピカを中心にフード付きコートみたいに布を被ってる機体が20機突っ込んできた!
『トウ、ヘン、ボク!3人はコンテナを護れ!アン!予備のライフルを!』
『はいな』
『『『りょーかい』』』
『アンタ等はコンテナを安全圏へ!』
へー、判断はやいな。
このリーダーっぽい人、かなりベテランじゃね?
頼れそうだから頼らせてもらうとすっか。
「頼らせてもらう!リック!」
『分かってる!フルブースト!!』
リックがコンテナを押すと同時にギルドへ向けて加速していく。
あたいと姉貴はそれを見届けると謎集団に向き直る。
「……ケイト!アイツ等の狙いはコンテナだ!」
流石姉貴。
今の一瞬で動き読むとは。
確かによく見ると金ピカと10機ほどがこっちに寄ってきてんな。
そう簡単にコンテナへとは向かわせねえ!
あたいは進路を塞ぐようにブーストを吹かせ接敵する。
「数を減らす!ホーミングレーザー!!」
全部の指先から対象を追従するビームが放たれ、金ピカ以外の全機に向かう。
だが、ビームが機体に当たる直前に弾けるように消えた。
思わず姉貴が叫ぶ。
「はぁ!?対ビームバリア発生機!?」
いや、違う!これは!コイツは!!
「姉貴!アレは……アンチビームコーティングマントだ!!」
「んだそりゃ!?」
アンチビームコーティングマントはビーム粒子を弾くコーティング材を塗り込んだマントだ。
基本布で粒子の熱量で燃え尽きるから消耗品なのだが、アレを一発で消耗させるにはランサーショットや金ピカのロングライフル並みの威力かビームサーベルでぶった斬る、もしくは布だから物理には弱いので実弾か実体剣で直接攻撃するしかない。
「なんつー骨董品レベルのもんを……」
「コストが消耗率と比べて高いからもっと頑丈な物でやるんだが……見た感じそんな事無いみたいだな」
姉貴に説明しながらもあたいはマイクロミサイルで応戦。
けど、サブウェポンだから弾数は多くない。
このままじゃジリ貧だが、相性が悪い。
グランシードはビーム主体の機体だから弾かれる弾かれる……
コンテナを守りに来た3機も上手く行く手を塞いではいるものの、3対16では歩が悪く、あの3機は防御はめっちゃ上手いんだが攻めは上手くない。
こーなったらあたいが突っ込んで斬り結ぶしかないか?
でも1機を斬ってる間に他の機体に抜かれるから、結局射撃するしかない。
離れた所では、うって出た3機が5機を相手取って押し返しているが、やっぱアンって人のスナイプ以外はビーム主体だから手間取ってる。
「くっそ!面倒くせー!!」
さっきからホーミング当ててるから徐々にマントが千切れていってるが時間が掛かり過ぎる!
マイクロミサイルも連続で当てないと1発の威力が低いから先に弾切れになっちまう。
足止めしないでいいんならランサーショットやビームバスタードでぶった斬るんだが……
「姉貴!リック達は!?」
「……OK!安全圏へ離脱出来た!」
よっしゃ!反撃開始といきますか!!
――――――――――――――――――――
補足
アンチビームコーティングマント
正式には対ビーム粒子分散コーティングマントであり、ジェネレータや冷却システムが向上しビーム粒子を携行兵器として小型化し用いれるようになった時、開発部はこのビーム兵器が相手側の手に渡った時に対処出来るように盾や機体にコーティング出来るコーティング材を同時に開発した。
元々ビーム兵器は技術的な問題もあり発生器が大き過ぎた為、装置を搭載しても余裕の有る戦艦の主砲にしか使われてなかった。
しかし、装置を小型化したりエネルギー効率を上げる事が可能となり、主砲から副砲、対空兵装と応用が効くようになっていった。
それに対して防御面に関しては、耐熱性合金であろうと余裕で貫くビームに対し、戦艦用の電磁バリア(戦艦用シールド)か粒子を細かい金属片で分散する撹乱幕しかなく、ようやく完成した対ビーム粒子発生器はビーム粒子を散らすだけなので効果の割りにコスト面や装置の大きさが完成と同時に問題となり、より安価でMA用の物が必要とされた。
それが対ビーム粒子分散コーティング材であり、速乾性に優れ見た目も損なわず安価で、あらゆる場面で使用できる為、各方面で重宝された。
だが、安価、と言っても軍からすれば安価であり、機体に直接塗装するだけでも数百万はかかり(ペンキ代、技術代含む)マントの場合は布地に染み込ますために大量に必要で、1枚作成するのに同じだけのコストがかかり(大量の場合多少下がる)軍備としては現在、未開惑星へと赴いた時用の迷彩シートとして備品に有るだけである。
が、1度でもビームを無効化出来る性能は変わらない為、民間では保護シートとして多少売れてはいる。
なお、ケイト姉が驚いたのは、存在その物は知っていたがMA用が少数生産された時には軍を辞めてた為、実践配備しているのは初めてだった為。
※サンド○ックとかブラック○ッターとか格好いいのだ!
なお、サンド○ックのは元々の設定では防塵・防砂装備だったのだ。
稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!
5000通り越して6000も通り越して7000すらも通り越して8000越えて9000貫いて10000PV突破感謝なのだ!
止まらない通知音に震えて眠ってるのだ!
少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!
そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!
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