4-10 包囲
5日後
テンダース側、てかアトランから場所の指定や時間、決闘方法がきて、今。
あたい達はクリプトン財団所有の小型輸送船に乗って、ギルト近くの宙域にいる。
小型輸送船……て言ってもMAを最大4機搭載できるぐらいはデカイ。
どうも宇宙では大きさの感覚があたい等とはズレてる気がするな………
「OK。ランデブーポイント到着。周囲に機影無し」
「「なんでも屋」直々にすまないな」
「いえ、准将を自分が操縦する輸送船に乗せれたと自慢できますよ」
「元、だがね」
メインで操縦する姉貴の横でレオン元准将がため息を吐く。
レオンさん、元軍人ってわかってたけど、准将なんだってばさ!
めっちゃ偉いさんだった訳だけどさ……
「それにしても、どういうつもりなのでしょうか……」
「……そうだな」
「決闘を。と言うのならばギルド内でも問題無いはず。何故
「わからんな……アイツにも聞いてはみたのだが、どうにもはっきりせん。ただ押しきられたとしかな」
「ま、始まりゃ分かる事ですな?ケイト、そっちの準備はどうだ?」
姉貴が格納庫へと連絡する。
さて、こっからあたい達のターン。
『あいよー。最終調整ももうすぐ終わるー』
今あたいはリック専用に調整した機体、3号機のコクピットにいる。
ま、やってる事は前に博士がやった事、つまり、機体のパイロット登録と細かい調整だ。
んで、そのパイロットは勿論。
「どうだ?リック?」
「……本当に凄いな、DMCシステムは。やはり良く見えるし良く動く」
あたいは端末を操作して数値を確認。
「正確にはDMCとリンクしてる網膜投写ディスプレイな……腕の振りの感覚どうだ?」
「問題無いよ」
DMCの状態も問題無しっと。
この網膜投写ディスプレイは、機体のメインカメラを中心に各所に取り付けられたサブカメラから送られた外部映像をシステムで1つに纏めたものを視神経に直接写している。
なので、近視、遠視問わず自分の眼で見る事ができる………正直、体内のナノマシンで眼も治せるんじゃないか?とか思わないでもないが、あくまで身体の保全が目的だから、今の分だと守備範囲外らしい。治すには義眼(サイバーアイ)に交換したり、本人用に調整した物が必要らしく、従来通りの治療法やメガネやコンタクトの方が圧倒的に安いんだそうだ。
「ん。一応言っとくが、音声認識で武装換えたりシステム換えたりするから、その分タイムラグが出る」
「了解」
「視界をコクピット内に戻す時はリンクアウト、また繋げる時はリンクって言えば直ぐに繋がる」
「了解」
「じゃ、時間まで切っとけー。慣れてないと眼精疲労が半端無いからなー」
「リンクアウト……ふう」
目を閉じてリンクアウトしたリックが目元を押さえる。
「無事か?」
「少し気持ち悪いかな……今なら分かる。ケイトとサユリが凄いって」
そうかなぁ?
「宇宙で過ごす僕等の方が三半規管が発達してるはずなのに、地球人の2人がリンク切って直ぐ動けるんだからね……」
「ま、慣れだな慣れ」
それと空間認識力。宇宙だと上下は関係無いからな。3次元的に自分の位置を把握出来ないと脳が混乱するし。
ともかく、リックがMAを扱えないってのは言ってた通り操縦系で指先が混乱するのが問題だったんよ。
そこで、操縦が思考制御と素の身体能力のDMCならいけると確信したあたいは、今日までグランシードのシュミレーションを使ってリックを慣れさせた。
元々天才肌で武術家のリックだ、きちんと回数こなしゃーあっと言う間にベテランパイロットの仲間入りって訳だ。
『お客さん来たぞ』
「あいよー」
あたいは軽くコクピットの端を蹴ってリックの機体の真正面へ。
ほい、お待たせ相棒。
あたいは念の為に持ってきたグランシードへと乗り込む。
こうして真っ正面からリックの機体を見ると真っ青。腹部まで青い。
それでいて胸部排熱口は黄色いし、赤いパーツと白いパーツまである正しくなトリコロールカラー。
頭部はサユリが言ってたけど、ソルジャーの発展機で、今後軍で各隊の隊長用に配備される最新機「ナイト」の頭部を使ってて、ソルジャーの量産型っぽい顔と違って、顎を引いて相手を睨み付けるみたいな?
分かる人にはペ◯ルライダーって言えば分かるか?
そして体全体は細くシャープ。
サユリ曰く「ボディは最低限、足は細目に、それでいて既存のイメージを損なわないを形にした」らしい。
既存てなんだよ。
だけど一番目立つのは肩。
通常の肩部装甲の上に追加でブースター兼装甲を着けたみたいで、両肩がかなりでかい。
これもサユリが「アサルトパーツ着けてみた」って言ってたな。
これだけでも機体としては完成してそうなもんなんだが……
『リック、そいつは未だ未完成だけど、性能はソルジャーより上だ。とは言え、今は武装もサーベルと手持ちのライフルしかないし、弾もペイント弾。大丈夫だとは思うけど気を付けてなー』
『了解した』
『うっし!あたいは念の為に此処で何時でも出れる様に待機しとく!姉貴!相手の機体はなんだ!?』
……………?
返事が無い。
『姉貴?』
………………?
やっぱり無い……いや?なんかトントンと音が聞こえる?
これって………
『!』
あたいはすかさず自分の端末で音の解析を始めた。
『ケイト?ブリッジと繋がらないん……!』
あたいはグランシードのライトを使ってリックに光信号を送る……帰ってきた。
リックも状況が飲み込めたみたいだ。
さてさて?姉貴からのモールス信号はなんて言ってんのかね?
……マジか。
そのモールス信号で伝えられた言葉は。
『ワレラホウイサレタシ』
――――――――――――――――――――
補足
ナノマシンの適応範囲と医療費
軍主体で行われているナノマシン摂取は、本来軍による管理社会の為に行われたのだが、現在はそれを良しとしなかった民間企業達の尽力によりただの健康管理となった。
この事は既に公表されており、人口の管理も民間企業が行っている。
その為、同じ管理でも戸籍や健康保険証以上の意味合いは無い。
しかし、その性能は正に「医者いらず」であり、癌や腎不全等も治してしまい、一般的に言われる医者は現代社会ほどの権威は無い。
だが、食べ過ぎによる肥満や痩せすぎ(染色体異常による物は除く)や本編にあった通り、近視、遠視、乱視、緑内障や色覚異常等、眼の治療はナノマシンの適応範囲外であり、基準として生命活動に直接関わるかどうかで判断されている為、治療するには専用のプログラムを組んだナノマシンを摂取しなければならない。
更に、ナノマシンであっても心的外傷や心的外傷後ストレス障害、精神疾患等は治療できない為、範囲外となる。
その為、専用薬の調剤やこのプログラムを組む、または監修を行えるのがこの作品での医者であり、軍医である。
そして軍医等の医療従事者の仕事は、戦闘や事故による部位欠損も欠損部位があればナノマシンで治せるが、損失した場合、義手や義眼、義足を用いるしかなく、軍医であればその調整や製作(製作自体は機械)、町医者等はそれが飯の種となる。
そしてその治療費はナノマシンで100万単位、義手、義足の場合は高性能(思い通りに動く)で数十万、義眼はほぼ一律で十万単位でかかる。
リックが義眼や専用ナノマシンを用いなかったのはこうした理由であり、3万ほどで購入できるメガネの方が圧倒的に安いからである。
※ナノマシンで視力回復しようとすると実費になるのだ!
稚拙な作品をお読み下さり有難う御座いますなのだ!
4000PV突破感謝なのだ!
少しでも笑ってもらえたら大変嬉しいのだ!
そしてより多くの方に読んで頂けるように☆とかツッコミとか下さるともっと嬉しいのだ!!
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